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小惑星:アマチュア天文家・佐藤さん、「Tohoku」と命名 3.11南の空に輝く
アマチュア天文家で埼玉県入間市職員、佐藤直人さん(58)が5日、盛岡市の県庁で記者会見し、東日本大震災の犠牲者への鎮魂と復興への願いを込めて、自身が発見した小惑星に「Tohoku(東北)」と命名したことを明らかにした。肉眼では確認できないが、3月11日の夜には最も地球に近づき、真南の空に獅子座の中できれいに輝くという。
佐藤さんはこれまでに100個以上の小惑星を発見し、「はやぶさ」や「かぐや」など宇宙航空研究開発機構(JAXA)から依頼を受けたものも含め、今年2月までに計46個の小惑星に命名。Tohokuは、1997年に埼玉県秩父市の天体観測所で発見したが、これまで命名はしていなかった。
震災で、佐藤さんは天文仲間だった宮城県石巻市の友人を津波で失った。また、入間市の避難所でも福島県から避難した被災者たちを行政職員として支援し、命名への思いを強くしたという。これまで発見した小惑星の軌道を計算した結果、Tohokuが偶然にも今年3月11日に太陽や火星などとほぼ一直線に並び、最もきれいに輝くことから選んだという。
今年2月に仙台市天文台が東北最大の天体望遠鏡(口径1・3メートル)で撮影に成功した。直径数キロで、公転周期は3・69年。17・7等級。米国の国際天文学連合小惑星センターも正式に認定した。
佐藤さんは、震災で甚大な被害を受けた岩手県を記者会見の地に選んだ。「大震災で亡くなられた幾多の魂がこの天体に宿っているような気がする。被災者の精神的な安らぎにもなってくれれば」と話した。
(毎日新聞 2012年3月6日)
偶然にも、来る2012年3月11日に 太陽-地球 と一直線上に並ぶ小惑星が、発見者の佐藤さんにより「東北」と命名されました。
NASAのサイトに、その軌道要素が公表されていますので、実際に一直線になるかどうかを検証してみましょう。
23649 Tohoku (1997 CJ5)
Classification: Main-belt Asteroid SPK-ID: 2023649
Reference: E2012E20 (heliocentric ecliptic J2000)
Element Value Uncertainty (1-sigma) Units e 0.1522596 n/a a 2.3879266 n/a AU q 2.0243419 n/a AU 0.43595 n/a deg node 290.19947 n/a deg eri 306.98144 n/a deg M 309.71101 n/a deg tp 2456188.7783110
(2012-Sep-18.27831100)n/a JED period 1347.8137450
3.69n/a
n/ad
yrn 0.26709922 n/a deg/d Q 2.7515113 n/a AU
これを元に軌道を計算してみます。
2012年3月11日の惑星の位置情報です。
(一応、道元、瑩山も入れておきました)
↑は天頂からの視点です。
見事に直線状に並んでいますね。火星も僅かにずれているとはいえ、ほぼ直線状に近い位置にあります。
さらに凄いのは、太陽-地球-東北の延長上からの視点で見ると、水平方向から見ても直線状に乗っているということです。
これだけ離れている天体が一直線上に並ぶというのは奇跡といっても良いでしょう。
すなわち、もしも小惑星東北から地球を見ると、太陽面を通過して(もしくは、ほぼ太陽を掠めて)見えるということです。
おそらく、このような感じ。
小惑星の発見者、佐藤さんが「大震災で亡くなられた幾多の魂がこの天体に宿っているような気がする」と思われるのも頷けます。
3月11日には、世界の様々な場所で祈りが捧げられることでしょう。
その時にも、この小惑星「東北」のことも改めて想い返してみたいと思います。
※この日、地球から見て火星と東北は太陽と正反対の方向にあるということですので、ほぼ真夜中、真南の方向に火星が見えます。
その付近に東北があるはずです。
但し、少し大きな望遠鏡で無いと確認は難しいでしょう。