風評を吹き飛ばせ!#smile_japan

東日本大震災の影響によって、日本に訪れる外国人の数が依然少ない値で推移しています。
特に、福島第一原子力発電所の事故が完全に収束しておらず、日本に対する安全、安心に対する懸念が残されていることが大きな影響を及ぼしています。
福島県、東北地方のみならず、全国規模で風評被害が広がっている現実も垣間見えます。

 


旅館・ホテルの被害の概況
福島原発事故に伴う放射能汚染の風評被害が福島県を中心に全国規模で拡大しており、全国各地の旅館・ホテルが大変厳しい経営環境に直面している。
1 福島県の風評被害
・福島県においては、3月12日以降の宿泊はすべてキャンセルされ、観光客ゼロの状態が続いており、長期化が予想されることから、旅館・ホテルの経営が困難な状況にある。
・政府の金融支援策があっても旅館・ホテルがないことから返済計画が立たない状況となっている。
・一日も早い福島原発事故の収束と風評の除去により旅館・ホテルの再生を図る必要がある。
2 福島県近隣での風評被害
・福島原発事故の風評被害は、野菜・牛乳、魚介類の出荷停止のあった北関東(茨城・栃木・群馬等)においても発生しており、宿泊客の減少が大きい。
・茨城県の施設でも、休業となっていたり、5月のゴールデンウイークでさえも売上げが昨年の5割となっている。
・栃木県では風評被害による老舗大手旅館の倒産も発生している。
3 全国的規模での風評被害
・日本は放射能に汚染されているとの風評から訪日外客が全国的にストップした状態が続いている。
・事故当初においては、東京以北の日本が危ないということで外国政府が日本への渡航を注意喚起されたことが訪日外客が少なくなった原因である。
・外客受入中心の旅館・ホテルは4月になっても外客がほとんどなく、休業を余儀なくされたところもある。
・都心においても、4月の売上げが対前年1割から5割に満たないところ、ゴールデンウイークにおいてもが売上げが対前年5割以下といった施設が多い。

旅館・ホテルの被害状況
福島原発事故の終息に向けた先行きの見えない状況が福島県への旅行を敬遠させており、他の地域が4月と比べてGWの売り上げが回復傾向にある中、福島県や福島県に近いイメージのある茨城県では厳しい状況が続いている。

福島原発事故による旅館・ホテルの被害について(平成23年5月23日全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会資料)より引用

 

さらにここ数週間で急速に進行した円高の影響も少なくないでしょう。
実際に日本に訪れる外国人の数がどれほど減少しているのかを日本政府観光局(JNTO)の統計データをもとにグラフにしてみました。

hounichi

やはり2011年3月11日を境に大きく減少していることが分かります。
日本に訪問する外国人もそうですが、日本から脱出する外国人も加味すると、震災直後に外国人の姿をほとんど見かけなくなったという状況を端的に示しています。
ようやく少しづつ回復基調にあるようですが、それでも、6月になっても主要諸国では

中国:日本各地(深刻な被災地を除く地域)への安全に関する注意喚起、深刻な被災地への訪問自粛勧告
タイ:東北3県からの退避勧告、被災地への渡航延期勧告
カナダ:東北の被災地への旅行回避勧告、福島第一原発から80キロ圏内からの退避勧告
シンガポール:東北3県の沿岸地域への渡航回避勧告、福島第一原発から80キロ圏内への渡航回避勧告、同圏内からの退避勧告
オーストラリア:東北沿岸部への渡航再考勧告、福島第一原発から80キロ圏内からの退避勧告
イギリス:東北などへの渡航自粛勧告、福島第一原発から60キロ圏内からの退避勧告、東京以東のイギリス人在住者への注意勧告
韓国:福島県全域、岩手県・宮城県の各沿岸地域への渡航自粛勧告、福島第一原発から80キロ圏内からの退避勧告
フランス:東北1県、関東2県への観光自粛勧告、福島県への渡航自粛勧告、福島第一原発から40キロ圏内からの退避勧告
ドイツ:福島第一原発から30キロ圏内および隣接の1市、2村からの退避勧告
香港:東北3県、関東1県への渡航注意勧告、福島第一原発から80キロ圏内への渡航延期勧告
台湾:福島県からの退避勧告
アメリカ:福島第一原発から80キロ圏内からの退避勧告
日本政府観光局(JNTO)の2011年 6月推計値 11年4月暫定値 (平成23年7月14日発表)より引用

といったさまざまな制限が続けられています。
信頼を回復するまでにはまだまだ時間が掛かりそうです。

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もっと身近な例を出してみます。

個人的に、二年前から外国の方が日本で暮らしやすい場を提供するために、浅草でゲストハウスを運営しています。
下町にゲストハウス構築中
ゲストハウス下町にオープン

私が運営しているゲストハウスには6部屋あり、その入居率の推移を見ても概ね日本政府観光局(JNTO)の統計データと合致します。
sakurahouse

東日本大震災直後は、入居者のキャンセルが相次ぎ、新規入居者もほとんど無い状態でした。
ようやく、夏になって入居者は上向いています。しかし長期滞在者の割合が少なくなっていることを実感しています。

 

風評を吹き飛ばす、ゲストハウスの取り組みをご紹介します。

ゲストハウス発“正しい情報を海外へ ” NHKニュースおはよう日本 2011年6月3日 放送
#smile_japanプロジェクトは日本各地の宿泊施設からお客さんの笑顔の写真を届けることで、海外で過剰な報道がなされがちな日本の本当の状況、そして「私たちは大丈夫!」というメッセージを世界中に伝える活動です。
ホステル、ホテル、ゲストハウス、旅館など全ての宿泊施設の参加を歓迎いたします。
NHKのニュース映像はこちら

 

#smile_japan project
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食に関しても、観光に関しても、居住に関しても、日本に対する安全、安心に対する信頼が回復していくためには長い時間がかかるかも知れません。
地道な道のりですが、着実に出来る活動を進めていきましょう!


■関連ブログ記事
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ゲストハウス下町にオープン

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【Official Twitter/公式Twitter】
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投稿者: kameno 日時: 2011年7月31日 21:56

コメント: 風評を吹き飛ばせ!#smile_japan

正しい情報が、今の政権にとってマイナスに働く場合・・・やはりそれを意図的に隠蔽することがあるのでしょうか。
最近感じることは、目先の痛さから目を逸らすことにより、後日痛みが倍増されることが多々あるということです。
まさに正しい情報こそが風評被害を防ぐ手立てになると感じます。
最近この種のコメントばかりでスミマセン(汗)当事者ゆえに・・・。

投稿者 叢林@Net | 2011年7月31日 22:56

叢林@Netさま
メディア多様化の時代、誰でも情報発信ができます。
個人の力も集まれば大きな力となります。「ありのまま」を伝えることが風評を吹き飛ばす原動力になると考え、活動に賛同しています。

投稿者 kameno | 2011年8月 1日 08:56

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