ゆでガエルにならないために

There's an old folk warning that if you throw a frog in boiling water he will quickly jump out. But if you put a frog in a pan of cold water and raise the temperature ever so slowly, the gradual warming will make the frog doze happily . . 
in fact, the frog will eventually cook to death, without ever waking up.


イギリスの人類学・社会学・言語学者、グレゴリー・ベイトソン(Gregory Bateson)が紹介した有名な寓話です。

蛙を熱湯に放り込むと、熱さに吃驚して蛙は直ぐに飛び出します。

しかし、水の中に入れて、ゆっくりと加熱していくと、蛙は水温が上がっていることを感じ取ることができずに、茹で上がって死んでしまうというものです。

状況を的確に捉えて対応することができず、遅々として入る情報に対処療法的にしか対応できない組織と、それに属する人の心理を説いたものです。
何とかなるだろう、たぶん大丈夫・・・事実の深刻さに気付くのに時間がかかり、気が付いた時には手遅れになってしまうという警鐘です。


日本人は世界各国より大震災の際も「冷静でパニックを起こさない」「怒鳴り合いもけんかもない」「本当に強い国だけがこうした対応ができる」と報道されています。
とても素晴らしいことだと思います。
誇るべきことでもあります。

しかし、それゆえの短所もあります。
「何とかなる」「喉元過ぎれば暑さ忘れる」「長いものには巻かれろ」「皆で渡れば怖くない」・・・・


本当はとても深刻な状態なのに、その事象を少しづつ悪化しているような捉え方をしたり、オブラートに包んだような表現をしたり、すぐ身近まで迫って来ないと気が付かない。
そして気付いた時にはもう手遅れ。

そうならないことを願います。

 

 

政府が世論に押されてようやくSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の被曝予測図を出したのは3月23日になってからのことです。
つまり予測ではなく、事後発表。
事故発生から一週間ほどの東電、政府、原子力保安員の記者会見を改めて振り返ると、それらが適切だったかどうか疑わしいことも多い。

 

海外ではいち早く被曝予測を行って公表しています。
例えば、一週間も前にワシントンポスト紙で出されていた潜在被曝予想図、フランス原子力安全研究所の拡散予想、オーストリア気象台の拡散予想、ドイツ気象台の拡散予想 などなど。
海外メディアは早い段階から詳細に分析し、その結果を踏まえて今回の原発事故はスリーマイルでの事故を超えてレベル6と報じています。
対し、政府は、最初はレベル4、その後レベル5に引き上げ。現在ようやくレベル6への引き上げを検討中としています。


事故の重大さを適切に捕らえ、迅速な事後対応が適切に行われていれば、事態が深刻かつ長期化しなかった可能性があります。
原子力発電所への対応が障害になり、政府がなかなか被災地復興に全力を注げない状況にも、もどかしさを感じます。
今一度、災害復興に立ち向かう体制をきちんと見直す時期ではないでしょうか。

投稿者: kameno 日時: 2011年3月25日 13:54

コメント: ゆでガエルにならないために

昨日熊本から横浜国大に入学する為に、来浜した学生に話を聞いたところ、熊本から羽田に来る便は空いているのに対して、羽田から熊本に行く便は親子連れの客で混んでいるそうです。危険を察知し首都圏から避難する人が出てきている様です。

投稿者 ハマちゃん | 2011年3月25日 16:23

ハマちゃん様
放射性物質拡散により、どの地域にどれだけの危険性があるかという予測システムを運用しているにも関らず、政府はそのデータを生かすことをしていません。
データを公表しないことが、危険性の無い地域にまでも不安を広げ、風評被害を起こし、さらに、危険性のある地域の住民には適切な非難措置を取らなかった事による被曝の源となっているのだと感じます。

投稿者 kameno | 2011年3月26日 02:00

福島原子力第1発電所で復旧作業中に被爆をされた従事者の方々にお見舞い申し上げます。非常に高い(1万倍)の濃度の排水・溜まり水での中での作業をされていたとは驚きの限りです。その際に安全管理者が立ち会ったいなかった事は企業責任を問われると思います。この事故により、一般市民は「やっぱり放射線は怖い!」になります。
一方で、路地物ほうれん草や搾り立ての牛乳に含有されていた放射能測定値は規制基準値を超えていた為に廃棄されています。その規制基準値は人が判断基準として取り決めた値です。
水道水の中に含有している放射能数値然りです。
矢張り、測定値と規制値の値について、一般市民に誤解を与えないような解説をする事が大切と思います。匂わず、見えず、刺激を与えない放射線被害に対して、風評被害を防ぐには、一般市民に判りやすく、学会・事業関係者、報道関係者が説明をし、尚且つ事象について発言される方は、その表現について慎重にあるべきものと思います。

投稿者 ちのしんいち | 2011年3月26日 13:19

ちの様
事前に高濃度の水溜りがあることが判っていながら、現場の作業員に周知されていなかったという、あってはならない「人為的ミス」には呆れるばかりです。命を懸けて現場で作業している方々を何だと思っているのでしょうか。
また、未だ自主避難のエリアには1万人もの人が居住されています。その方々は本当に安全なのでしょうか。
また、福島・北関東産というだけで農作物が売れないという現状に、きちんとしたデータ公開とそれに基づく説明をきめ細かく行っていく必要がありますね。

投稿者 kameno | 2011年3月26日 15:11

亀野さん、本当に先程のTV NEWSを見ていて、驚きました。風評被害の元を作っているのは、当事者である東京電力です。本当に福島第一原子力発電所の3号機はプルサーマル機なのでしょうか?若し、こう言う事が停め難い、冷やし難い原因の一つであるとしたら、大変な問題です。情報は隠す事無く、正確に公開して欲しいものです。

投稿者 ちのしんいち | 2011年3月26日 18:15

ちの様
依然、
http://teishoin.net/blog/004152.html#c7743
のコメント欄でも書いたとおり、3号機がプルサーマル機であることは周知の事実かと思っていました。
そういえば、そのような報道は無いですね。敢えて報道しないのでしょうか。
プルサーマルでの使用済み燃料を六ヶ所村に運ぶ計画が進んでいないために、仕方なく使用済み燃料を核燃料容器の真上に蓄積せざるを得ない、それが状況を悪化させている原因になっています。
原子力発電計画全体の歪が生み出した人災とも言えますね。

投稿者 kameno | 2011年3月26日 20:49

亀野さん、早速のご返事有難う御座いました。私は亀野さんのブログを読んでおりましたが、周辺の誰もが福島原子力発電所はウラニウムによる軽水炉型であると言っていました。Wikipediaにもその様に書いてあります。東京電力の2010年10月26日のプレスリリ-スにプルサ-マル開始と公開しています。多分、この公開だけと思います。ここへ来て、フランスでも現行の原子力発電所の順次廃炉を決めました。わが国でもプルサ-マル型の玄海原子力発電所の再開を延期しました。如何に冷却が難しいかですね。福島原子力発電所でも津波対策で、かって防潮堤の高さについて検討されていたとの報道がされています。全て「後の祭り」となってしまいました。残念です。矢張り迅速且つ正確な情報公開が求められると思います。関係者だけではなく、メディア関係者にも訴えたいと思います。

投稿者 ちのしんいち | 2011年3月26日 23:24

ちの様
いつの間にか、厚生労働省医薬食品局食品安全部長から、都道府県知事・保健所設置市長・特別区長宛に通達が出されています。
食安発0317第3「放射能汚染された食品の取り扱いについて」(福島原子力発電所事故関連3月17日付)
その内容は、食品に含まれる放射能の指標値が、これまでの基準よりも大幅に引き上げられていること、ウランやプルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種が検出されていても基準値以下ならOKという指標です。
安全基準を後だしジャンケンのようにどんどん引き上げていってしまっては、では「本当に安全なの?」という疑問が残ります。
もし、疑問を抱かないとすれば、ゆでガエル状態なのかもしれません。

投稿者 kameno | 2011年3月27日 01:24

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