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コーヒーを専門ショップで注文すると、大体1杯 330円くらい。
その売上げは
(1)コーヒー農家
(2)輸出業者、地元の貿易会社
(3)カフェ、小売業者、輸入業者
にそれぞれどれくらい配分されているのでしょうか。
私たちがコーヒーを飲むときには、あまり頭に浮かばない問題ですね。
しかし、改めて考えてみると、消費者には生産者の姿がほとんどといって良いほど見えないことに気づかされます。
逆に、生産国のコーヒー農園で働く人にとって、目の前のコーヒーがどのように飲まれているかということを想像することも困難なことなのでしょう。
後に紹介する映画『おいしいコーヒーの真実』の中では、コーヒーを消費する先進国と、コーヒーの原産国の生活の光景とが同時進行で淡々と映しだされていきます。
同じコーヒーで結ばれた始点と終点の光景が、なぜ別世界となってしまっているのでしょうか。
その答えは
「私たちは経済的な援助ではなく公正な貿易取引を求めている」
というコーヒー生産国代表の言葉に集約されています。
例えば、コーヒー豆がエチオピアから輸入国の焙煎業者に渡るまでには、6業種ほどの中間業者が取引の段階に関わります。
各段階で、業者は利益を上るために、仕入れ単価を可能な限り下げようとします。
結果、産地農園の労働者たちは、日給0.5ドルという不当に安い価格で、しかもその状況に不信感すら抱くことも無く働かざるを得ない状況に追い込まれています。
エチオピアでは、緊急支援を必要とする人々が年間700万人も生み出されているともいわれます。
全世界で毎日20億杯も飲まれているコーヒーですが、飲まれれば飲まれるほど貧困を生み出すという構図です。
それを解決する手段の一つが公正な貿易取引、フェアトレードです。
きちんと生産者に正当な代価が届くシステムを作り上げることにより、問題は少しづつ解決の方向に進むはずです。
映画『おいしいコーヒーの真実』では、スターバックスが名指しで批判の対象にあげられていますが、スターバックスでもフェアトレード製品の選択肢があります。
⇒(例)カフェ エスティマ ブレンド
敢えてこのようなコーヒーを選ぶのも必要な行動なのでしょう。
『おいしいコーヒーの真実』の予告編はこちら。
冒頭の答えもでてきます。
この事例はコーヒーばかりではありません。
先日の記事、原油高騰でもサンマは安値 でも同じように考えてみることができます。
流通の仕組みは国内でも同様です。
いくつもの市場などの段階を経て消費者に届く複雑な構造です。
サンマのような生鮮品の場合は特に流通業者は鮮度のリスクを考え、買入れ価格を安く抑える傾向にあります。
一尾50円のうち、漁業生産者に届くのはどれくらいなのでしょうか。
従来の流通の段階は
(1)水揚げ産地
(2)産地市場(卸売業者⇒買受人)
(3)消費者市場(卸売業者⇒仲卸業者)
(4)小売店
(5)消費者
でしたが、高度経済成長期以降、道路網の整備や冷凍技術の進歩、冷蔵庫施設の整備、そして都市部における大規模小売店の展開などにより変革が起きました。
消費地市場を経由しない「市場外流通」の仕組みです。
(1)水揚げ産地
(2)産地市場
(3)大規模小売店
(4)消費者
市場外流通は、段階が削除されるため「安い」という先入観がありますが、しかし現状では価格が適正に生産者に届く仕組にはなっていないようです。
大規模小売店が出漁の前に予め価格を決定してしまい、そこには生産者の意思が反映する余地が無いからです。
実際に、漁業者が受け取る金額は、小売価格の24%程度にとどまっています。
私たちにできることは、さまざまな商品の値段を目にしたときに、その価格の内訳がどのようになっているかを考え、調べるという習慣をつけること、そして、生産者が見える商品や、フェアトレード製品を意識的に購入するという行動です。
その一つひとつの積み重ねが歪んだ流通構造に改革をもたらすかもしれません。
貞昌院本堂において、
クラフト・エイド(SVA)などのフェアトレード製品を展示・頒布しています。是非お手にとってご覧ください。
■おすすめの本
フェアトレードの時代
みんなの「買う」が世界を変える
顔と暮らしの見えるこれからの国際貿易を目指して
著者/長尾弥生/著
出版社名 日本生活協同組合連合会出版部 (ISBN:978-4-87332-267-4)
発行年月 2008年04月
価格 1,365円(税込)
コーヒー危機 作られる貧困
著者/訳者名 オックスファム・インターナショナル/著 日本フェアトレード委員会/訳 村田武/監訳
出版社名 筑波書房 (ISBN:4-8119-0238-6)
発行年月 2003年10月
価格 1,050円(税込)
>一尾50円のうち、漁業生産者に届くのはどれくらいなのでしょうか。
コーヒーの生産地の賃金には驚きました。まさに、資本側の搾取ですね。
ところで、引用部分には少し誤解があると思いますので、もと販売従事者として申し上げます。
私どもも「バケツ一杯100円」などの目玉でよく販売していました。これは、毎月の販売促進の費用を決めてその中から赤字分の補てんをしていました。
おそらくは、流通業界の仲間内の話を聞く限り、どこのスーパーでも同じだと思います。
生産者側を泣かしているわけではありません。
卸やがダブついた分やサービスで買値以下で出してくれることもありましたが、これはそうそうあるものではありません。
投稿者 うさじい | 2008年10月27日 05:54
うさじいさん
小売の立場からのご意見をいただきありがとうございます。
いただいたコメントについて考えてみました。それを踏まえて補足させていただきます。もし考えが違っていたらご指摘ください。
こちら(横浜市南部)では、写真のサンマ価格は特に目玉商品ということではなく、この価格で日常的に買うことができます。
近隣のスーパーでも大体1尾50円?100円です。
この原因を考えるに、やはり主因としては小売価格が大手スーパーに「仕切られて」しまっているという流通の構図があると思います。
単純に
魚の小売価格=小売+加工+輸送+手数料+卸値
魚の卸値=漁業者の所得+燃料費など諸費用
として考えると、魚の消費量の減少、円高、外国からの安値の魚の輸入、さらに特にサンマの場合は豊漁が加わって、小売価格を下げないと売れないという現状があります。スーパーの販促商品として使われるということがあるとすれば、それもその一つなのだと思います。
小売価格を下げなければ売れない中で、卸値の引き上げがなされることは到底考えられません。
どこにしわ寄せが来るかというと、漁業者の所得の部分に来ます。さらに燃料費の高騰により、漁業者の窮状は相当なものであると思います。
コストの増加分を小売価格に上乗せできない流通の構図と、魚を消費しない現代の食卓事情を改善するだけでかなり状況は変わってくるのではないかと考えます。
投稿者 kameno | 2008年10月27日 09:33
すみません、長文を書いて投稿したらエラーになってしまいました。「なんだかわからないけどエラー」というメッセージが出ました。こういうメッセージは初めてでしたので笑いました。
なので、今書きなおしです。
その50円のサンマというのは、冷凍ものではないでしょうか?
旬の生サンマが50円だとしたら、漁業者も仲卸も立ちいかなくなってしまうのではないでしょうか?
おおよそ、そのようなことを書きました。
投稿者 うさじい | 2008年10月27日 17:16
うさじい様
サンマは、写真にあるとおり、刺身でも食べられる新鮮なものです。
売場の方に伺うと漁港から直送されたものとのこと。
それで、漁業を営んでいる方が成り立つのかというのがこの記事の旨とするところです。
コーヒーもサンマも、違った内容とはいえ、売れれば売れるほど生産者が苦しむ構図ということが共通のようです。
エラーの件は失礼しました。サーバーの性能を上げたのですが・・・
投稿者 kameno | 2008年10月27日 18:33
>サンマは、写真にあるとおり、刺身でも食べられる新鮮なものです。
そうですか、例え漁港直送で仲卸による中間搾取がないにしても厳しいですね。漁業従事者はどのような思いで出荷しているのでしょう。日本は、漁協、農協による中間搾取の多いところですし。
また、企業の倫理観も問われることだと思いました。
>エラーの件は失礼しました。サーバーの性能を上げたのですが・・・
老師のせいではなく、私が長文を書いたためのランタイムオーバーかと思います。このメッセージも老師が書かれたものなのでしょうか?大変に面白かった。
投稿者 うさじい | 2008年10月28日 08:03
うさじい様
>そうですか、例え漁港直送で仲卸による中間搾取がないにして>も厳しいですね。漁業従事者はどのような思いで出荷している>のでしょう。日本は、漁協、農協による中間搾取の多いところ>ですし。
>また、企業の倫理観も問われることだと思いました。
漁業従事者は本当に苦しいと思います。(漁業に限らず、第一次産業全般に言えることですが)
どのような流通経路によって、目の前の食料品が届いているのかを知っておくことは大事なことだとつくづく感じます。
>老師のせいではなく、私が長文を書いたためのランタイムオー>バーかと思います。このメッセージも老師が書かれたものなの>でしょうか?大変に面白かった。
原因は、おそらく数日前から来ているスパムコメントの影響だと思います。対策を施したいと思います。
メッセージは私が作りました。専門用語では「500 Internal Server Error」というエラーです。原因が不明なのであのようなメッセージとさせていただきました。もしかしたらサーバーの中の人の心の叫びなのかもしれません。
そうならないように改善していきます。
投稿者 kameno | 2008年10月29日 09:07