總持寺祖院門前の蕎麦屋さん

能登半島地震発生から半年余り、震源に近い大本山總持寺祖院周辺の街並みはあちらこちらが更地となっていたり、建物の被害、特に屋根や壁がブルーシートで追覆われている姿が目立ちました。
また、各所に設置されている仮設住宅での生活を余儀なくされている方も多数いらっしゃいます。

そして震災に力強く立ち向かう姿も街のあちらこちらに見られます。

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總持寺通り、祖院門前の蕎麦屋さん「手仕事屋」は、古い民家を改築したお店です。
阪神淡路大震災の教訓を元に、数年前に耐震のため、大きな筋交いをいくつも入れて補強しました。

それが功をなし、能登半島地震の際にも倒壊を免れ、震災約一週間後には最後のライフライン、下水が復旧したのを機に、真っ先に営業を再開することができたそうです。
そのことがどれほど被災地の方々に力と希望を与えたことでしょう。

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写真に見える黒い色の筋交いは、能登半島地震の前に入っていたもの。白木の補強材は能登半島地震後に入れたものです。


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店主の星野さん。

もともと手仕事屋は、明治時代から続く伝統的な豆腐屋さんでした。總持寺に精進料理の材料として納めていました。
星野さんの代になってから、「手仕事屋」として、能登の伝統工芸を集め紹介する蕎麦・豆腐屋として地域の中心となって店を盛り立ててきました。
ちょうど新蕎麦のシーズン。
コリコリとした歯ごたえのある蕎麦の食感がと豊かな香りが食欲をそそります。
また、蕎麦に付いてくる豆腐(とをふ)が絶品です。
毎朝3時に起きて、無農薬の大豆を使い大豆から搾った豆乳に海水から作られたにがりを加えてそのまま固めた、昔ながらの製法によるものです。
一口含むと豊かな大豆の甘みが口いっぱいに広がります。


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ぶっかけ蕎麦。合鹿椀によそわれ、風味豊かなカツオ節がたっぷりかけられています。

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もりそば。輪島塗に使われるアテの木(あすなろ)の葉に盛られています。
おかわりをして二種類の蕎麦を戴いてきました。


能登「手仕事屋」
總持寺能登祖院門前徒歩1分
営業時間 午前11時から午後4時。毎週火曜定休。


能登半島地震には全国各地から義捐金が寄せられました。
手仕事屋の星野さんはじめ、門前町の方々は、總持寺の方が大変だし、町にとって大事なお寺だということで、その義捐金を、お寺にお寄せになったそうです。
自らの復興よりもまずはお寺の復興を願うという篤い信仰心を感じます。



手仕事屋から總持通りをはさんだ位置にある曹洞宗の寺院。
残念なことに震災により全壊してしまいました。
復興への力強い一歩一歩の歩みを進めているとはいえ、まだまだ震災に立ち向かって頑張っている方々がたくさんいらっしゃるということを忘れる訳にはいきません。

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「再生に向けて」

平成十九年三月二十五日午前九時四十二分、寺は能登半島地震に被災し全壊しました。
そして、
山門と地蔵様と賽銭箱だけが残りました。
これだけが寺の伽藍のすべてです。
ここから再生に向けての一歩が始まります。
仏弟子の初心に還りたいと思います。
どこまでやれるのかわかりませんが、やってみようと思います。
皆様の安寧の日々を祈りつつ。合掌。

<山門前の立て札より>



能登地方にはこんなユニークなお祭りがあるのですね。
能登を訪れた前日の開催だったようです。
地震に負けない大らかさも感じられます。
いつか見にいきたいものです。


いどり祭り「もちまで地震に遭ったみたい」

神社に奉納するために作ったおもちの悪口を言い合うユーモラスな祭り、「いどり祭り」が7日夜、能登町で行われました。
「いどり祭り」は能登町鵜川に500年以上前から伝わる秋祭りです。
「いどり」とは「けなす」という意味で、おもちの悪口を言い合うことにより、次の年は、より精進しようという願いが込められています。
今年の当番が作ったおもちが運ばれてくると、さっそく、 「今年はいい米がとれたけどケチったんじゃないかね」 「もちまで地震に遭ったみたいや」 などと周りの人たちが難癖をつけ始めます。
そのあと運ばれてきた大きな鏡もちについても、 「もっときれいに仕上げないとただれたみたいやね、表面が」 と注文をつけます。
当番の氏子は 「白くてきれいなもちだ」 などと言い返し、集まった人たちの笑いを誘っていました。
(テレビ金沢ニュースヘッドライン)

投稿者: kameno 日時: 2007年11月 9日 21:03

コメント: 總持寺祖院門前の蕎麦屋さん

>その義捐金を、お寺にお寄せになったそうです。
自らの復興よりもまずはお寺の復興を願うという篤い信仰心を感じます。

「自未得度先度他」の実践ですね。
富山にいるころ感じたことですが、自分の菩提寺だけでなくほかのお寺さん(他宗も含めて)の勧募にも快く応じていました。

仏心の篤さを感じたしだいです。

投稿者 うずま | 2007年11月10日 06:42

うずま様
自分や自分たちの身の回りのことで精一杯の中で、他を思いやる心を持つ(持てる)ということの大切さがよくわかります。
門前のお寺さんの「皆様の安寧の日々を祈りつつ」ということばもまさにそうですが、お互いがお互いを思いやるこころが復興に大きな原動力となっているのだと思います。

投稿者 kameno | 2007年11月10日 12:24

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