X線観測天文衛星「アストロE2」打ち上げ

 X線天文衛星、予定軌道に乗る…「すざく」と命名  宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10日午後0時30分、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から、エックス線天文衛星「アストロE2」をM5ロケット6号機で打ち上げた。衛星は予定の軌道へ投入され、「すざく」と命名された。  国産大型ロケットM5の打ち上げは2003年5月の小惑星探査機「はやぶさ」を積んだ5号機以来、約2年ぶり。  今後は観測を行う高度へ移動し、4日後に太陽電池パネルを開き、観測機器の調整へ入る。1か月後には試験観測を始める見込み。  アストロE2は軌道上での全長6・9メートル、重さ1・7トン。天体から放射され、宇宙空間でしか観測できないエックス線を高精度でとらえ、ブラックホールなど活動的な天体を調べる高性能の科学衛星。国産のものとしては5基目となる。2000年2月に打ち上げに失敗した「アストロE」を作り直した。「すざく」は、古代中国で天を守る想像上の鳥の名前。  日本のエックス線天文学は国際的に評価が高い。2000年以来、自前の観測手段を失って、空白期が続いていただけに、今回の成功は“お家芸”の復活へ弾みになりそうだ。 (2005年7月11日12時14分 読売新聞) http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20050711ik01.htm

Astro-E2
日本の5番目のX線天文衛星として計画されているASTRO-EII衛星は、その優れた分光能力と、軟X線からγ線までの広い帯域(0.3?600 keV)を観測できることが特徴です。高い分光能力と、広い観測帯域は、ブラックホールや超新星といった、宇宙の高エネルギー現象を物理的に解明する上で極めて重要であり、「あすか」の例にも(「あすか」科学的成果:参照)示されている通り、日本のお家芸でもあります。ASTRO-EII衛星はこれを飛躍的に発展させたものです。

この衛星によって、宇宙プラズマの状態への理解が画期的に進むだけでなく、これまでの観測装置では難しかった、ドップラー効果の高精度の測定や、粒子加速の現場を直接とらえることで、活発に動き回る宇宙を鮮明にとらえることができます。これにより、宇宙最大の天体「銀河団」が衝突・合体する様子や、巨大ブラックホールに吸い込まれる直前の物質からの放射などを観測し、宇宙の進化や、一般相対論的な時空構造の解明など、多くの科学的な貢献が期待されます(「科学的目標」を参照)。
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/astro-e2/


「アストロE2」(Astro-E2)衛星はわが国5番目のX線天文衛星で、2000年2月10日に打ち上げに失敗したAstro-E衛星の2号機です。 X線観測衛星として、他国の比ではないほどの分解能を誇ります。 衛星の打ち上げは、どうやら順調に推移しているようです。 日本の新しい宇宙技術時代の幕開けを期待します。


AstroE2_image_medium.jpg
Computer Graphics: Courtesy of JAXA

投稿者: kameno 日時: 2005年7月10日 13:09

コメント: X線観測天文衛星「アストロE2」打ち上げ

無事に打ち上がって良かったです。この後、軌道上でX線望遠鏡を伸展させるという難関がありますが、それを乗り越えてチェックアウトが終われば観測できるようになるでしょう。楽しみです。

ASTRO-Eを失った5年前、X線天文学者の失望ぶりは見ていて痛々しかったです。ここに至るまでの彼らの奮闘ぶりは感動的でした。苦労があったからこそ、自前の観測装置を手にする喜びはひとしおでしょう。

「すざく」は、解像度こそNASAの「チャンドラ」には及びませんが、分光能力(エネルギー分解能)が優れていて、物質の元素組成やその運動を詳細に調べることができる、とてもユニークな観測装置です。私も観測申込書を出しましたけど、競争率がとても高く、採択されませんでした。でも、もっと面白い結果が生み出されることでしょうから、ワクワクしています。

投稿者 seiji | 2005年7月11日 22:06

打上げ現場の苦労を知っていると、なおさら成功のニュースはうれしいでしょうね。
太陽電池パネルや観測装置の伸展が順調に行くことを願っています。
未知の世界を探るという重要なミッションですから、今後の展開が楽しみです。
ブログのURLを紹介しておきますね。
http://homepage.mac.com/kamenoseiji/iblog/index.html

投稿者 kameno | 2005年7月11日 23:11

コメントを送る