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2018年12月29日
福井県で、檀務に向かうために僧衣で車を運転した僧侶が交通違反で反則切符を切られたという報道がありました。
記事中では、所属する宗派︵曹洞宗ではないようです︶も反発する異例の事態になっているとのこと。
ここで、報道された新聞記事で注目するべき点に下線を付して引用してみます。
﹁僧衣で運転﹂に青切符、法事行けぬと宗派反発
福井県内の40歳代の男性僧侶が9月、僧衣を着て車を運転したことを理由に、同県警に交通反則切符︵青切符︶を切られていたことがわかった。県の規則が﹁運転操作に支障がある衣服﹂での運転を禁じているためだが、僧侶の多くは日常的に僧衣で運転しており、男性は﹁法事に行けない﹂と反則金の支払いを拒否。所属する宗派も反発する異例の事態になっている。
県警や男性の説明によると、9月16日午前10時過ぎ、福井市内の県道で、男性が軽乗用車を運転していたところ、取り締まり中の警察官に制止された。警察官は﹁その着物はだめです﹂と告げ、青切符を交付。違反内容は﹁運転に支障のある和服での運転﹂と記され、反則金6000円を納付するよう求められた。男性は法事に行く途中で、裾がひざ下までの僧衣を着ていた。20年前から僧衣で運転しているが、摘発は初めて。
男性に適用されたのは、福井県道路交通法施行細則にある﹁運転操作に支障を及ぼすおそれのある衣服を着用して車両を運転しないこと﹂との規定だ。
警察官は、男性が着ていた僧衣の袖や裾が運転に支障があると判断したとみられるが、県警交通指導課は﹁僧衣がすべて違反ではなく、状況による﹂と説明。基準は明確ではない。
(2018/12/29(土) 7:16配信 Yahoo!ニュース、讀賣新聞︶
この新聞報道の内容が正しいと仮定すると、まず最初の下線の部分ですが、﹁裾がひざ下までの僧衣を着ていた。﹂とある部分です。
曹洞宗では、法要の際に着用する﹁直綴︵じきとつ︶﹂と、移動の際に着用する﹁改良衣︵かいりょうえ︶﹂を分けていて、徒歩、電車、車などの移動の際は﹁改良衣﹂を着用し、法要の直前に、﹁改良衣﹂から﹁直綴﹂に着替えることがほとんどです。
どのようなものかをデジタル大辞泉の図を基に加筆作成してみました。
改良衣は、簡単に言うとワンピースのようなもので、裾の長さは確かにひざ下までありますが、移動用に作られた衣ですので、運転に支障が生じることはないはずです。
もしも、改良衣での運転が交通違反だと判断されたのであれば、女性がワンピースで運転することも違反に問われかねないということでしょうか。
︵改良衣ではなく、直綴での車の運転は、振袖で運転するようなものですので、その場合は確かに運転に支障があると考えて良いと思います︶
この事案のもう一つの大きな問題点は、﹁県警交通指導課は﹁僧衣がすべて違反ではなく、状況による﹂と説明。基準は明確ではない。﹂の部分です。
明確な基準が無く、現場の主観的な警察官の判断に任せられるのであれば、僧侶側には何の対応のしようもありません。
あくまでも違反であるということであれば、具体的にどの僧衣が違反に該当するのか、明確に回答が出ることを望みます。