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2016年11月10日
11月8日午前5時過ぎ、JR博多駅前の地下鉄工事現場で発生した大規模道路陥没事故は、その規模の大きさから日本中に衝撃を与えました。
陥没した穴の大きさは約30メートル四方、深さ約15メートルに及び、もしもその上に通行車両や人の往来があったら多数の人的被害があったことでしょう。
事故発生から2日経過し、今日︵10日︶午前中には穴の埋戻しがかなり進み、地上から約3メートルの深さまで土が入りました。
ここまで埋戻されれば、水道、下水道、電気、ガスなど地中に埋設されているライフライン復旧工事が本格的に開始されます。
左︶11月10日午前:西日本新聞のサイトより、右︶10日午後3時:高島福岡市長のFacebookより
※現在の様子はNHKのリアルタイム生中継でご覧いただけます
博多駅前大陥没、復旧急ピッチ 水道管や通信ケーブルも修復へ
福岡市のJR博多駅前の市営地下鉄七隈線延伸工事現場で起きた道路陥没事故で、福岡市は10日も急ピッチで復旧作業を続けた。地表から3メートルの深さまで埋め戻した現場の穴では、セメントを混ぜた特殊な土が固まるのを待っている状況。工程が順調に進めば、同日午後にも地中で破損した水道管や通信ケーブルなどの修復作業に入る。
現場ではトラックやクレーン車が行き来し、9日夜までに投入した土の上に砕石を敷いたり、隣接するビルのむき出しになった基礎部分に土のうを置いたりした。市は埋設物の工事業者と打ち合わせながら、施工計画を進めている。
今後、14日までに道路を含むライフラインの仮復旧を完了し、車道と歩道を通行できるようにする。市交通局は﹁作業は予定通りに進んでいる。なるべく早く復旧できるよう、全力で取り組みたい﹂としている。
︵2016/11/10 西日本新聞︶
それにしても、事故発生から1週間も経たずしてライフラインを含め、道路を通行できる状態まで復旧させるというのは凄いことです。
日本は地震、台風をはじめとした自然災害の多い国です。
それに迅速に対応するための体制が培われていること、世界に誇る土木技術の粋を結集することによってこのような対応ができているということは誇りに感じます。
大規模な事故であったにもかかわらず被害が最小限に抑えられたことは、熟練された作業員の臨機応変の対応による功績でした。
﹁肌落ち﹂道路陥没、予兆あった 作業員のとっさの判断、人的被害防ぐ
大きく陥没したJR博多駅前の道路=8日午前9時41分、福岡市博多区︵本社ヘリから︶
九州の玄関口にある大通りに突如、巨大な穴が出現した。8日未明、福岡市博多区のJR博多駅前の市営地下鉄七隈線延伸工事現場で発生した道路陥没事故。オフィスビルは基礎がむき出しになり、停電やガス漏れで一帯は立ち入り禁止に。すり鉢状に崩れた穴は茶色く濁った下水で池のようになり、変わり果てた街並みに人々は息をのんだ。
崩落には予兆があった。午前4時25分ごろ、地中の工事現場で作業員9人が掘削をしていると、トンネル上部の土砂がパラパラと崩れる﹁肌落ち﹂という現象が起きた。土砂を固める吹き付け処置をしたが止まらない。
同5時ごろには水が出始めた。身の危険を感じた作業員たちが地上に退避すると、道路の一部がへこみ、やがて路面が崩れ始めた。
作業員のとっさの判断で人的被害は免れた
同5時10分ごろ、作業員の自主的な判断で三角コーンを立てて道路を封鎖し、同14分に﹁道路が陥没している﹂と110番。
作業員の男性は﹁いきなりだった。早めに作業を止めていなかったら︵穴の中に︶落ちていた﹂。通勤ラッシュの時間なら大惨事となった恐れもあるが、作業員のとっさの判断で人的被害は免れたといえる。
同6時ごろ、犬の散歩をしていた同市博多区の会社員古賀朗さん︵25︶は、道路がごう音を立てて陥没する瞬間を目撃した。﹁下水の臭いがして、滝のように水が激しく流れる音もした﹂。目の前にあった信号機も穴の中に消えた。同6時40分ごろ、近くの不動産会社に出勤しようとした女性︵28︶は警戒中の警察官に制止された。穴の端が少しずつ崩れ、みるみる巨大化していった。地響きを感じ、どぶとガスが混ざったような臭いが付近に立ちこめていた。
初めは道路の左右2カ所に開いていた穴は徐々に広がり、道路は細い橋のように真ん中だけが残った。
同7時20分すぎ、会社員男性︵50︶が近くのビルから現場を見ていると、ドドドという地鳴りがして、土煙を上げて幅が約30メートルある5車線の道路全体が崩れ落ちた。
男性は﹁信じられない光景だった。自分たちのビルも危ない、避難した方がいいのでは、と不安になった﹂と振り返った。
︵2016/11/09付 西日本新聞朝刊︶
災害や事故の直前には、何らかの予兆があることが多いのですが、それをきちんと感じ取って、対応することができるかどうか。
それが被害の大小に大きくかかわるということです。
もう一点、災害後の対応についての情報発信力も素晴らしい。
例えば、福岡市長・高島宗一郎さんは Facebookを通して、事故当日にはすでに的確に情報を発信しています。
︻続報︼11月8日投稿。
﹁安全﹂については土木などの関係する業界関係の皆さんに、市役所としても復旧にかかる全ての協力を行うので、最速での復旧に協力頂けるように改めてお願いしました。
﹁安心﹂については、私も技術面は詳しくないので、私からの質問に対策本部の工事担当者から答えて頂いた内容を皆さんと共有します。
①穴に溜まった水は抜かないのか?
A.水は抜いてはだめ。逆に地下水レベルまで水が溜まったので地盤が安定した。土砂崩れは穴が空いた部分と周りの地下水を含んだ土のレベルが違うので土砂の移動がおきる。陥没事故対応の基本は水を入れること、とのこと。
②水はこれ以上増えて溢れないのか?
A.周辺の地下水と溜まっている水のレベルが同じになった。また下水の大きな排水管部分までの水位になったので、そこから排水される。
②道路復旧までの手順は?
A.まずは穴を埋めるために流動化処理土というものを入れる。これは水の中でも固まるもの。地上近くの地下埋設物︵電気、電話、ガスなど︶のレベルまで埋めて、固まったら中に入って電話や電気、ガスを復旧して、さらに埋めて車が通れるように仮復旧する。
③何日くらい掛かるのか。
A.埋めるのに最長3日。あとは電気や電話を繋ぐなどの復旧の時間が未知数だが、さらにそこを上から埋めれば通行可能になる。
④陥没を埋めるための流動化処理土を投入する量を増やして時間を早められないのか。
A.特殊な薬剤なので福岡市だけで一日に作れる量が限られている。他都市に支援を頼んでも持ってくる間に固まってしまう。全てこの薬剤ではなく、現在は他のものが使えないか検討している段階。
⑤下の基礎がむき出しになっている建物もあるが、大丈夫なのか。
A.交差点沿いの建物は全て地盤まで杭が届いている。計測しているが現在のところは時間が経過しても傾きなどは発生していない。
以上が私が現場の対策本部で聞いた最新の話です。同じ疑問を持つ方もいらっしゃると思いますので情報を共有します。
︵2016/11/08 高島宗一郎・福岡市長のFacebook投稿より︶
︻陥没発生3日目︼10日15時投稿。
地盤となるセメント混合土は昨日無事投入が終わりましたので、固まり具合を確認して、現在は砕石による表面の埋め戻し作業中とのことです。今後の流れについて、現場に確認したことを含めて共有しますね。
①穴はいつ塞がるの?
日曜日です。
②車はいつから通れるの?...
全てのライフラインは日曜日までに仮復旧させて、月曜日には道路の舗装や白線を引きます。合わせて専門家を入れて安全性に問題がないことが確認されれば、月曜日の夜にも全面的に通行再開となる見込みです。
③信号は時間が掛かると言っていたが?
一番時間が掛かると言われていた信号も警察の全面的な協力で同じ月曜日には立てることができる見込みです︵点灯には少しタイムラグがあるかもしれません︶。
④一週間以内に終わるというのは、工事が早すぎるのでは?
日常生活や経済活動に多大なご迷惑をお掛けしていますので、一刻も早い復旧に全力で取り組んでいます。そのために今回は二段階での復旧︵仮復旧と本復旧︶に分けることで事業者等にご理解を頂き、例がないほどの協力連携体制で取り組んでいるのでかなり早く作業が進んでいるのです。
⑤早いのはいいが、安全面は大丈夫?
安全第一で、絶対に2次被害を出さずに復旧することを工事関係者にお願いをしています。立ち止まる勇気も含めて。また道路が出来ても専門家などに強度を確認して頂き、ゴーサインが出ない限り通行許可はしません。その時は通行を月曜日より遅らせます。
10日の午後3時で、電気やガス、水道、下水道は、陥没現場の立ち入り禁止ビル3棟へは一部未接続なものの、それ以外は復旧しました。
通信は未だ一部不通エリアがあり、現在回線を順次復旧中で12日までには完全復旧と通信会社から報告を受けています。
︵2016/11/10 高島宗一郎・福岡市長のFacebook投稿より︶
災害が起こってしまったことは残念なことですし、その原因究明と再発防止はしっかりして欲しいところですが、災害に対する対応については、それら一つ一つの行動によって、適切に進められていることが感じられます。
一日も早い復旧を望みます。