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2011年4月15日
放射性物質‥顔料使ってセシウム汚染水浄化 東工大が開発
医薬品などに使われる市販の顔料で、原子炉から発生する放射性物質のセシウムに汚染された水を浄化する技術を、東京工業大原子炉工学研究所長の有冨正憲教授︵原子力工学︶らのチームが開発した。東京電力福島第1原発の事故で発生している汚染水の処理のほか、周辺の池や沼の浄化にも活用できるといい﹁一日も早い地域の生活、農業再建に役立てたい﹂としている。
チームは、青色顔料の一種﹁紺青﹂の主成分﹁フェロシアン化鉄﹂に、セシウムを吸着する働きがある点に着目。汚染水にこの顔料を混ぜ、遠心力で分離した後、セシウムとともにフィルターでこし取るシステムを開発した。
実験では、化学的な性質が同じで放射線を出さないヨウ素、セシウム、ストロンチウムを海水に混ぜ、同原発の高濃度汚染水に相当する模擬汚染水︵ヨウ素、セシウム各10ppm=1ppmは100万分の1︶を再現。模擬汚染水100ミリリットル当たり顔料1グラムを入れたところ、処理後の水から検出されたセシウムの濃度は1万分の1以下となり、ほぼ100%除去できた。
ヨウ素とストロンチウムは除去できないが、ヨウ素は半減期が8日と短いため問題は小さく、ストロンチウムもセシウムに吸着する性質を使って除去率を上げることは可能だ。
泥水の浄化などに使われる既存の可動式装置を使えば毎時最大300リットルを処理でき、処理後の水は原子炉の冷却水に再利用する方法が考えられるという。
有冨教授は﹁福島原発で発生している汚染水に適用が可能だ。土壌の浄化にも応用したい。日本の科学の英知を合わせて復興に取り組むべきだ﹂と話す。
︵毎日新聞2011/4/15︶
福島第1原子力発電所から発生する高濃度の汚染水。
長期間に亘り、この汚染水を処理しながら原子炉を冷却していかなければならない状況で、期待のできる技術が開発されました。
濃紺の化合物が日本を救うことになるかもしれません。
記事中にあるフェロシアン化鉄︵紺青・プルシアンブルー︶は濃紺の顔料として一般的に用いられている化合物です。
︵上図はウィキメディアより引用︶
フェロシアン化鉄はセシウムと結合しやすいという性質があるため、例えば原子力関連の事故で誤ってセシウム137を経口摂取してしまったなどは、フェロシアン化鉄を服用することにより体外への排出を促進させる治療が行われます。
チェルノブイリでの事故の際には、家畜︵肉牛・乳牛など︶の飼料に混ぜて使用したこともあるようです。
今回開発された技術は、汚染水をフェロシアン化鉄によりろ過することにより、セシウムをほぼ100%除去する仕組みです。
吸着した放射性物質を遠心分離機で分離して放射性物質のみを除去するということが画期的といえます。
この技術が即座に運用できるのであれば、問題解決の大きな一歩となることでしょう。
さらに、周辺地域の土壌汚染の除去にも力を発揮しそうです。
蛇足ですが、有冨正憲教授は、内閣官房参与に任命されてから、それまで福島第一原発で行われていた海水注入について﹁緊急避難としてはやむを得ない措置であるが、塩分が炉内に溜まることにより冷却能力が低下して腐食が進んでしまうので、早急に真水に切り替えなければならない﹂と提言され、それにより、ようやく政府や東電が真水注入に切り替えたという経緯があります。
海水注入のような対処療法的なことをいつまでも続けていては問題解決に繋がりません。
ここからはピンチをチャンスに変える期待を込めた蛇足ですが、もしも、この汚染水処理技術により汚染水問題を克服し、技術確立ができた場合は、日本は逆にこの技術を通して核汚染で苦しむ他の世界各地を救うことにも繋がるはずです。
そのような期待も込めて、問題解決に歩みを進めることができる対策が着実に進むことを節に望みます。