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平和宣言
核兵器もない/戦争もない/平和な世界を
これは大船観音の﹁平和の碑﹂に刻まれている長洲元県知事のことばです。
世界中すべての人が、等しく幸せな平和の日々を送ることを願っています。しかし、皆が幸せな平和な世界を願いながらも、それぞれが正当を主張し、武力を持ってぶつかり合う時、お年寄りや子供たちのような弱い多くの人々が犠牲になります。友を失い、愛する人を失って、かけがえの無い人間の一生が無惨に踏みにじられてしまいます。このような恐ろしいことが今、世界中で起こっています。 大船の丘から街を見守る、この白衣観音像は、1929年、世界の恒久平和を祈願して建設が始まりました。 当時は周辺諸国に進出する日本軍を讃え、戦争を正当化する世の風潮に満ちあふれていました。大船観音の建設趣意書の中には日本と中国親善を願い、平等の大慈悲心に基づき日本軍の英霊と共に同じく中国軍の戦霊をも祀るという発願も見られますが、戦争を正当化する心も少なからず含まれていました。 大船観音は建設途中で日本は第二次世界大戦に突入し、工事は中断されました。 戦後になっても建設半ばで放置されてしまい、大船観音が完成したのは戦後15年、今からちょうど50年前のことです。 敗戦を経て建立された大船観音建立の意義は、戦前戦中に亘って時の政治権力に荷担迎合し、アジア地域の人びとの人権を侵害し、民族の誇りと尊厳を損なった歴史的事実を自省し、アジア各国へ与えた数々の過ちを繰り返してはいけない。今度こそ、観音菩薩の慈悲によって平和を祈願し、世界から戦争を無くすことを誓うことであると考えます。 そして、ある一つの思想が、たとえ、美しい装いをもち、どのように完璧な理論で武装しようとも、それが他の尊厳を侵害し、他との共生を否定するならば、我々は、そのような思想と信仰を拒否する道を選ぶことを表明します。 平和は、政治的、経済的、軍事上の契約だけによって保障されるものではありません。最終的には人々の一致した誠実なゆるぎない取り決めによって築かれるものです。年齢、性別、社会的地位、宗教的帰属、または文化的背景の違いを超えて、私達一人一人が、平和な世界を創ることを求めれられています。 平和は、私たちの行動、態度、日常の行為を通してのみ達成できます。平和はすべての人が分かち合う、普遍的で私したちに共通する人間性に不可欠なものであることを認識し、私たちはそれを行動に移していくことを誓います。 お釈迦さまは﹁怨みを持って怨みに報ぜば、怨みやまず。徳を持って怨みに報ぜば、怨みすなわち尽く﹂と説かれました。 大船観音の境内には、﹁原爆の火の塔﹂や﹁戦没者慰霊碑﹂等、平和への祈りが込められたモニュメントが多く立ち並んでいます。 その碑に刻まれた﹁核兵器もない、戦争もない、平和な世界を﹂めざし、慈悲の原点に立ち返り、平和共存の実現に努めることをここに宣言いたします。 戦後65年、大船観音建立50年の区切りの年に、第12回を迎える﹁ゆめ観音・・アジアフェスティバル﹂のこの大船の地からアジアに向けて、そして、全世界に向けて、人権の尊重と平和な暮らしが共有され安心して暮らせることを願い、ここに平和のメッセージを発信いたし、開会とします。 平成22年9月4日 ゆめ観音実行委員会 |