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2009年10月 8日
厚生労働省国立精神・神経センターによると、毎年全世界で約100万人が自殺により死亡しているとされます。
日本においては、1997年までおおむね2万人程度だった自殺者が、1998年には3万2863人と急増しています。
この年の急増の背景にはいわゆる金融危機があり、経済的理由が大きな要因となったとされています。
以降これまで自殺者数が年間3万人を下回ったことがありません。
ここで、注目すべき提言があります。
WHO﹁自殺予防に関する特別専門家会議﹂における Lars Mehlum氏︵WHO精神保健薬物乱用部︶の
︵1︶自殺の原因は個人や社会に内在する多くの複雑な原因によって引き起こされる
︵2︶自殺は予防できる
︵3︶自殺手段の入手が自殺の最大の危険因子で、自殺を決定づけるものである
とする提言です。
︵1︶については、個々を取り巻く一つひとつの要因について精査し、それらを取り除いていかなければなりません。根本的な問題である反面、時間がかかることだと思います。
しかし、︵2︶、︵3︶については今すぐ具体的に取り組むことができるものです。
まずは︵3︶について考えてみます。
■コピペが人を殺す……硫化水素の発生法を知った自殺者が続出
筆者の記憶では、今年に入ってまもなくのことだ。﹁練炭自殺に代わる、新しい自殺方法が開発されました﹂との書き出しのテキストが、2ちゃんねるのあちこちのスレッドにコピペされるようになった。︵中略︶ありふれた日用品を﹁狭い密閉区間でただ混ぜるだけ!﹂と、フレンドリーなアスキーアート混じりで指示しているテキストだ。自殺する気がなければ、見て見ぬふりができる内容かもしれない。
でも、人生に絶望して、﹁いつか死のう﹂﹁そろそろ死のう﹂などの考えが頭にこびりついている人が見れば、実行してみたくなってもおかしくはない。﹁MSN産経ニュース﹂によれば、今年に入ってからこの方法で命を落とした人は9人にも上るという。コピペが人を殺している。猛毒の気体だから、家族が巻き添えになるケースもあるようだ。このテキストをトップにしたスレッドが、﹁誤爆﹂といいつつ、為替取引の話題を扱う﹁市況実況2﹂にも立っていた。市況2は、大損したらしい人が﹁死のう﹂と書き込むケースがあとを絶たない掲示板だ。
︵インプレス インターネットウオッチ︶
ここ数年多く見られる報道に、自殺そのものではなく、その方法を詳細に伝えるマスメディアが続出しました。
単に危険性を訴えるだけならともかく、興味本位に取り上げることも多く目に余る状況でした。
また、それに伴い、インターネット上に﹁練炭﹂﹁硫化水素﹂など多くのワードで丁寧に自殺の方法について多数の情報が流されていました。
少なくとも昨年辺りまでは﹁硫化水素 自殺﹂で検索をかけることにより容易にその自殺手段が入手することが可能でした。
その後、プロバイダなどによる情報規制があったのでしょう。
不適切とされる情報は次々と削除されていき、また検索エンジン側もそのような情報にアプローチできないような対策が講じられたようです。
しかし、このような情報統制や検索エンジンの操作は本来好ましいものではありません。
ネット規制は、情報発信の自由を奪う可能性をも持つという諸刃の剣となるからです。
そこで考え出された一法が、SEO(Search Engine Optimization)の仕組みを利用した、いわゆる﹁木を森に隠す﹂というものです。
これは、例えば検索エンジンから、硫化水素の作り方を検索しにくくするために
・表題を﹁硫化水素の作り方 ﹂とする。
・そのページには硫化水素の作り方を書かず、自殺志願者に対するメッセージを書くなどする。
・関連サイトにそれぞれリンクを張ったり、トラックバックを打ったりする。
このようにする運動が広まった結果、現在、検索エンジンで﹁硫化水素の作り方﹂を検索する と次のようになります。
思いがけず、というより思惑通り私のブログ記事が一位にランクされるようになりました。
そういえば、検索ワードとして、このワードで辿りつく方がいかに多かったことか。
SEOは、検索エンジンの検索結果で、いかにより上位に現れるようにするかという対策・技術のことをいいますが、検索者にアプローチさせたくない情報が上位にこないようにする﹁逆SEO﹂対策も時には必要になると考えています。
次に︵2︶について。
僧侶の一人として何ができるかということを考えるに、まずは﹁話を聞くこと﹂なのだろうと思います。
﹁仏教情報センター﹂のテレフォン相談の基本的理念もそういうところにあるのだと思います。
悩んでいる方は、抱えている悩みをぶつける場所を探しているのかもしれません。
身近にそのような方がいらっしゃる方はまだ救われるほうでしょう。
多くの方は悩みをどこに向けたらよいのか判らないとしたら・・・・
そんな時、仏教情報センターのテレフォン相談は、あなたの悩みを全て取り除くことは出来ないかもしれません。
しかし、電話をかけてあなたの今の気持ちを話してみませんか?
お名前を言う必要はありません。
相談員も名前を名乗りません。
プライバシーは守られますので安心して電話してください。
テレフォン相談では、研修を受けた僧侶が一人ひとりとていねいに話をするように心がけています。
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私たちは少しでも良き話し相手になろうと考えています。
仏教情報センターでは、昭和58年の仏教テレフォン相談開設以来、仏事・信仰・人生に関わる悩みや疑問の電話が毎日寄せられています。
どうぞお気軽におかけ下さい。各宗派の僧侶がお応えしています。
電話でなくても、面接相談、手紙相談も随時受け付けております。
・・・・・・・・
先の﹁硫化水素の作り方﹂の記事でのコメントの中で、本当に悩んでいる人は電話などすらもかけることが出来ないというものがありました。
まさにその通りだと思います。
上から目線はもってのほかですね。共に悩みを共有できるようにならなければ。
そして、電話やメールを待っているだけでなく、悩みを抱えている方にアプローチするためにはどのようにするべきか。
さらに、個人や社会に内在する多くの複雑な原因とどう向き合うか。
真剣に考えなければならないことはたくさんあります。
悩みは増えるばかりで、なかなか減っていかないものですね。
■関連ブログ記事
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仏教ホスピスの会いのちの集い
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また、以前に曹洞宗僧侶になるための段階 http://teishoin.net/blog/000073.html というブログ記事も併せてご参照ください。 仏教系の大学で学ばれていらっしゃるとのことですので、今はとにかく学ぶだけ学んでいただきたいと思います。 大学で学ぶうちにきっと﹁師匠﹂を見つけることもできるでしょう。 ﹁今の気持ち﹂を忘れずにいてください。応援しています。 投稿者 kameno | 2009年10月9日 01:57