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| 金沢文庫企画展 描かれた寺社 »
2009年1月19日
本日発売された﹃週刊ダイヤモンド﹄1月24日号で ﹁寺・墓・葬儀にかかるカネ﹂ ? 60兆円産業に再編・買収の嵐が吹き荒れる? が特集として取り上げられています。
昨年も1月早々から﹁寺と墓-誰も知らない巨大ビジネス﹂が特集化されておりましたので、新年恒例の特集記事になるかもしれません。
どんなにカネ持ちでも﹁死﹂だけは避けて通れないが、カネがあれば盛大な供養を営むことは可能だ。しかし、その多くは寺や業者などの思惑が優先し、故人の思いが本当に反映されているとは限らない。現状の問題点を明らかにするとともに、従来型とは一線を画した新たな動きも取り上げた。
なるほど・・・・・・早速購入して読んでみました。
■序章 ムダなカネを払っていないか 今から考えたい供養のあり方
葬儀の準備を事前に進めておくことは、これまでタブーとされる傾向にありました。
結果、死を迎え、家族近親者がなんだか分からないままに、葬儀社の言うがままに葬儀を進めてしまい、振り返って考えると﹁こうしておけば良かった﹂と反省する事例が増えています。
超宗派の僧侶で設立した団体の相談窓口には
﹁葬儀社の請求にびっくりした﹂
﹁葬儀に来てもらった僧侶と連絡が取れなくなった﹂
など、葬儀にまつわる不安が多数寄せられています。
寺・墓・葬儀の考え方として、
︵1︶どんな供養をして欲しいのか ---﹁寺﹂
︵2︶どんな墓に眠りたいのか ---﹁墓﹂
︵3︶どんな葬儀にしてほしいか ---﹁葬儀﹂
ということを前もって真剣に考えておく必要があると指摘しています。
このキーワードをもとに、特集の項目が並べられています。
■Part1 ﹁寺﹂ 加速する仏教離れ、寺離れ 檀家依存の収入基盤は崩壊
ここで目を引くのは﹁︻大図解︼数字で見る数字で見る、寺の収入モデルと迫り来る危機﹂という図です。
寺を中心に、お金がどのように動いているのかということを図解しています。
寺の収入として、その大部分を占める檀信徒からの布施収入、そして、出入業者からのキックバックが描かれてます。
ここで、注意するべきは、出入業者からのキックバックです。
例えば仕出し業者から寺に5?30%のキックバックが寺に入るとしています。
返礼品業者は10?50%、このほか石材店、葬儀業者など…
このキックバックは次のColumnと関係してきますが、檀信徒の信頼関係を損なうものです。
もし、キックバックを平然と受け取るような寺院なり僧侶がいるとすれば、それは問題です。
逆に、お寺や僧侶の見極めをするのであれば、この辺りがキーワードになって来るでしょう。
次のColumnへと続きます。
◆Column 資格なしの﹁ニセ坊主﹂も跋扈 僧侶の質の低下でクレーム多発
特に都市部に多いのですが、地方から都市部に越してきた方の多くは菩提寺を持っていません。
そこで、葬儀社や霊園、専門の僧侶派遣会社に頼むことになることがあり、その場合いい加減な僧侶が少なからずま紛れているという指摘です。酷いケースでは、葬儀社が実質的に僧侶を社員として抱え込んでいる場合もあるようです。
ニセ坊主の見分け方として
︵1︶自分の寺を持っていない
︵2︶何宗の僧侶資格を持っているか言わない
︵3︶どんな宗派の葬儀でも執り行えると明言
︵4︶自分の連絡先を言わない
︵5︶戒名をつけるために事前に連絡を取らない
︵6︶読経、法話が下手くそ
︵7︶袈裟が着られない
などをポイントして列挙しています。
まさに、これは葬儀費用の不透明化、質の低下の最たる原因となるものです。
菩提寺を未だ持っていらっしゃらない方は時間のあるときに近くの寺院を実際に巡って、そのお寺の住職・僧侶と話をしてみると宜しいと存じます。
お寺めぐりは伽藍を眺めるだけでなく、その寺院の僧侶とお話しする楽しみもあるのです。周囲にはきっと様々なお寺があります。新たな発見も多いことでしょう。
そのような信頼関係を予め作っておくことがトラブルを防ぐ基本的なこととなります。
記事は、いくら多くの僧侶がちゃんと活動しても、こうした構造にメスを入れなければ仏教界全体の信頼は落ちていくだろうと指摘しています。
次の特集では﹁寺が変わる!﹂としての寺の取組みの具体例です。
◆取り組み 本来の機能・役割を取り戻せ 始まった原点回帰への模索
知多四国霊場会︵愛知県︶/喝破道場︵香川県︶/宝蔵寺︵茨城県︶/ビハーラ21︵大阪府︶/超光寺︵埼玉県︶
Column 生と死を歌で伝える女性僧侶/都会人の心癒やす﹁坊主バー﹂
ここに、知人の関わる取組みも紹介されています。
特に5日間で2万人の参拝者を集めた霊場サミットの例は、保守的な寺院からは反対の声もあったものの、時代に即し社会から支持を集める活動をどのように進め、成功に導いていったのかが特集されています。
特集は、この後、Part2﹁墓﹂ Part3﹁葬儀﹂と続きます。
■Part2 ﹁墓﹂ 継承者難で家墓が崩壊? 変貌を遂げる終の棲家
Diagram 墓の価格を押し上げる石材店儲けのカラクリ
Column 墓石のベンツと呼ばれる庵治が高い理由は希少性
弔い方 墓を作らない人が急増中 安さと自然回帰に人気集まる
永代供養/納骨堂/散骨/樹木葬/手元供養
Column CO2排出量基に森林保護に寄付 供養の場でも広がるエコロジー
改葬 意を尽くして住職に説明必要 費用は200万円前後覚悟を
ペット供養 同居墓から出張火葬まで 愛好家につけ込む業者に注意
■Part 3 ﹁葬儀﹂ 不透明な価格の裏に潜む闇 悪徳業者の手口と見分け方
Diagram 遺族を悩ます不明朗な葬儀費用のカラクリ
新潮流 生花祭壇や高級死装束も人気 簡素化・こだわりがキーワード
オフィスシオン/ニチリョク/日比谷花壇/ビューティ花壇/リコルド田園調布︵メモリアルアートの大野屋︶/一文
Column 専門学校で葬儀のプロ育成 数少ない有望市場に人材送る
戒名料 ﹁高額﹂﹁不透明﹂と槍玉に挙がる寺院関連費用の相場を公開
遺産相続 肉親には揉め事を残さない! 相続で気をつけたい4ヵ条
時代の変化は墓、葬儀のあり方にも大きな影響を及ぼしています。
特集記事は﹁価格﹂面からのアプローチを行っていますが、一つの手法として客観的に物事を捉える上で知っておくことは必要だと思います。
不明朗な費用にはきちんと説明を求める姿勢も必要でしょう。
特に、P.61の﹁こんな葬儀社には要注意!﹂というチェックリストはここでは列挙いたしませんが必読です。
これまで供養に関するしきたりや習慣は小さな共同体の中で共有・継承されてきた。暗黙のなかで伝わっていく場合も多く、わからなければ知恵者に聞けば教えてくれた。
その中心にいたのが菩提寺や住職であり、檀家との寺檀関係を通じてしっかりと結び付けられていた。
ところが地方から都会に移り住む人が増え、そこに住みつくなど人口の流動化で地域コミュニティーが希薄化したり、少子高齢化で後継者がいなくなったりしたことで透明性を求める動きが強まっているのだ。
とりわけ不満が強いのが金銭面での大きな負担である。
普段はなにもしてくれない寺が事があると急に擦り寄ってきたり、悲嘆に暮れている遺族が知識不足と見るや、それにつけ込んで寺や業者が結託し、ぼろ儲けを図ろうとすることも珍しくない。
︵P.32より引用、下線はkameno︶
菩提寺をお持ちの方は、生前から寺院の僧侶と話をして疑問点があれば遠慮なくぶつける
菩提寺を持っていない方は、生前に出来るだけ多くの寺院を巡り、僧侶と話をしてみる
そして、信頼の置ける寺院、葬儀社、石材店を予め見つけておく。
ちょっとしたことが無駄な出費を抑えトラブルを防止するきっかけになるのです。
週刊ダイヤモンドの記事がきっかけで寺・墓・葬儀を取り巻く問題が改善の方向に進むことを期待しています。
追記
特集の一つ P.53﹁CO2排出量基に森林保護に寄付・供養の場でも広がるエコロジー﹂に、SOTO禅インターナショナルで進めている﹁塔婆供養で植林支援﹂の紹介が掲載されていました。
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