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2008年8月28日
近年、局地的に発生する集中豪雨が多くなっています。
今月5日に東京都豊島区で発生した下水道工事の事故は、増水によって流された作業員5人全員の死亡が確認されるという最悪の結果となってしまいました。
改めて心より哀悼の意を表します。
事故が発生した直後の午前11時53分から午後零時53分までの雨量は、平均して1時間当たり57.5mmという豪雨でした。
局地的な集中豪雨が起きる原因の一つとして挙げられるのはヒートアイランド現象です。
太陽熱を吸収、反射してその上空に湿った温かい空気が発生することにより引き起こされる都市型の集中豪雨です。
また、都市部においては地面がアスファルトやコンクリートで舗装されているため、降雨が地面に浸透せずに、そのまま下水管や雨水管や河川に流入してしまいます。
下水管や河川のある地点を流れる水の量を計算する簡易式は次の通りです。
ある地点の流量 Q = A×i×f
・流域面積 A (m2)
・降雨強度 i︵mm/hr)
・流出係数 f
このうち、特に降雨強度は都市型集中豪雨により、流出係数は都市化により数値が上昇します。
したがって、流量は一気に増大し、そのために、その増大した雨水を流すために河川能力を増大させなければなりません。
都市河川は簡単に幅を広げるわけには行きませんから、川の形状を直線にしたり、護岸の堤防を高くしたり、地下に河川を増設するなどの対策が必要となります。
降雨により一気に増水し、鉄砲水のような現象を引き起こす理由もわかると思います。
さて、では私たちには対策をとるこが出来ないかというと、必ずしもそうではありません。
降雨強度、流出係数を抑える手段を講じることができるのです。
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まず、降雨強度は、各家庭、事業所の屋根や地面からの照り返しを減少させることにより、防ぐことが出来ます。
具体的には、屋上緑化や、カバープラントの導入です。
貞昌院におけるカバープラントの実例については下記の記事で書かせていただきました。
⇒ 快適な環境をもたらす﹁グラウンドカバー﹂
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次に、流出係数の抑制について考えます。
流出係数(f)の値として、次のような数値が実例として挙げられています。
︻家屋が密集した都市中心地︼ 0.70?0.90
︻不浸透性屋根︼ 0.70?0.95
︻レンガ・木塊・アスファルト︼ 0.75?0.85
︻家屋が密集した住宅地︼ 0.50?0.70
︻普通住宅地︼ 0.25?0.50
︻砂利道︼ 0.15?0.30
︻公園・広場︼ 0.10?0.30
︻庭・牧場・農地︼ 0.05?0.25
︻芝生︼0.05?0.25
︻森林地帯︼ 0.01?0.20
つまり、例えば不浸透性屋根︵通常の屋根はそうですね︶を伝わった雨水は、係数0.70?0.95という高い係数の示すとおり、ほとんどそのまま流れ落ちて樋、雨水管を通って流れ出てしまいます。
そこで、一軒一軒からの屋根の水を、一時的に貯留する装置を設置することにより、流出係数を削減することができるのです。
実は、お寺の屋根には、このような装置が古来から設置されています。
それが﹁天水桶︵てんすいおけ︶﹂です。
下の写真は、貞昌院の天水桶の写真です。
屋根からの水を受けて、ここに貯めるわけですが、相当な水量となります。
さらに、庭は芝生、境内は森林ですから、流出係数もかなり低く抑えられていると思います。
一般家庭でも、このような天水桶︵一般的には雨水タンクや小型雨水貯留槽などとも呼ばれます︶を設置することは可能です。
庭の水遣りにも、天水桶は重宝します。
⇒ DIY-天水桶をつくろう! ︵暮らしとすまいのDIYセンター ダイシン︶
⇒ 暮らしと生活の情報︵あぜ道.ネット︶
都市型水害が、私たちの生活環境により引き起こされるものであるとするならば、私たち一人ひとりの力により、それを抑制することも出来るのです。
地方自治体により設置補助金も出ています。
⇒雨水利用タンク補助金・助成金︵あぜ道ネット︶
ご検討されては如何でしょうか。