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2008年7月30日
日頃お世話になっている方からビールをいただきました。
ありがとうございます。
ビールといえば、横浜がビール発祥の地として知られています。
明治2年(1869年)、横浜の外国人居留地︵現在の横浜市中区︶に﹁ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー﹂という醸造所を作ったのが日本最初のビールということになっています。。
また、その1年後には、アメリカ人ウィリアム・コープランドが、山の手にある天沼︵現在のキリン園公園=横浜市中区︶でビールに適した湧水を見つけ、﹁スプリング・バレー・ブルワリー﹂を設立しました。
ところが、﹁ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー﹂と同じ年の明治2年(1869年)に、品川縣︵後述︶において、当時の品川県知事・古賀一平氏が、金融恐慌に苦しむ人々に職を与えるため、現在の京急立会川駅にあった土佐藩下屋敷跡にビール工場を設立したとの記録が品川区教育委員会により発見されました。
そこで、立会川商店街を中心に研究会が発足し、茨城県内の業者に醸造を依頼したものが、冒頭の﹁品川縣ビール﹂なのです。
⇒品川縣ビール公式サイト
ただし、品川縣ビールは、実際に工場でビールが製造されていたかどうかが今一つはっきりしません。
対し、﹁ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー﹂は、きちんとしたビールのラベルや新聞広告により、販売についての証拠は充分に揃っています。
さて、品川縣という聞きなれない県名がでてきました。
ここで品川縣とは何かを見ていきましょう。
■基礎知識
明治2年︵1869年︶ 版籍奉還
<府藩県三治制>
明治4年︵1871年︶ 廃藩置県
この間、武蔵知県事の管轄区域(旧・武蔵国︶にあった諸藩は下記のとおり
岡部藩 安部家 20,000石
久喜藩 米津家 11,000石
忍藩 阿部家 松平(奥平)家 他 100,000石
岩槻藩 阿部家 大岡家
川越藩 松平(越前)家 他
六浦藩(金沢藩) 米倉家 12,000石
これを踏まえて・・・・
武蔵知県事
1868年︵慶応4年=明治元年︶5月3日︵旧暦4月11日︶の江戸城開城を経て江戸周辺の支配権をほぼ掌握した明治新政府は、同年6月30日︵旧暦5月11日︶、新政府軍の軍政下に置いていた江戸市中の旧町奉行支配地域を管轄する﹁江戸府﹂を設置した︵9月3日︵旧暦7月17日︶に﹁江戸﹂が﹁東京﹂に改称されるとともに、江戸府も﹁東京府﹂に改称された︶。
一方、江戸︵東京︶近傍の農村は旧幕府代官の山田政則、松村長為、桑山效の3人にそれぞれ従来の支配地域を引き続き管轄させ、8月7日︵旧暦6月19日︶に山田と松村を、さらに8月27日︵旧暦7月10日︶には桑山をそれぞれ武蔵知県事に任じた。山田は武蔵国内の豊嶋・足立・埼玉3郡で約11.4万石、松村は荏原郡を中心に武蔵国内で約10万石、桑山は葛飾郡を中心に武蔵国および下総国内で約13万石の旧幕府直轄領︵天領︶等を管轄した。同年10月︵旧暦︶には、3知県事が管轄する荏原・豊島・葛飾各郡のうち東京市街に近接する町村が東京府に移管された。
これに前後して、同年8月︵旧暦︶、松村知県事が古賀定雄︵一平︶と、12月︵旧暦︶に桑山知県事が河瀬秀治と、翌1869年︵明治2年︶1月︵旧暦︶に山田知県事が宮原忠英とそれぞれ交代している。
新政府の支配が安定した1869年︵明治2年︶、3知県事の管轄区域は正式な﹁県﹂となり、大宮県、品川県、小菅県が設置された。
︵出典‥Wikipedia)
明新政府の支配が安定すると、武蔵知県事の管轄区域の3知県事の管轄区域は、それぞれ正式な﹁県﹂となりました。
それが品川縣、小菅縣、大宮縣・浦和縣です。
うち、品川縣は、日本で最初のビールが製造されたとされる明治2年(1869年)3月21日︵旧暦2月9日︶に設置されました。
なぜ﹁品川縣﹂という名称になったかというと、縣庁を立会川近辺︵現在の東京都品川区︶に置くことが予定されていたことによります。
品川縣庁が正式に設置されるまでの間は、縣庁は、暫定的に東京日本橋浜町・旧旗本小笠邸に置かれました。
その範囲は、当時の東京府や韮山県、川越藩などとの管轄区域の交換を経て、下図のように武蔵国荏原・豊島・多摩・新座・入間・高麗各郡内の旧幕府直轄領および旗本支配地等を管轄しておりました。
明治4年(1871年)の廃藩置県により、同年12月25日︵旧暦11月14日︶に東京府および小菅県と合併して東京府となり、多摩郡および新座郡、入間郡内部分は神奈川県および入間県に移管されました。
品川縣は僅か2年で姿を消してしまったのです。
立会川に品川縣庁が設置されることもありませんでした。
それにしても、何という広大なエリアだったのでしょう・・・・
品川縣ビールは、赤色の美しいビールです。
心なしか少しほろ苦い味わいでした。
■関連サイト
関東の諸藩 クリッカブル・マップ