境内のサフランの花です。
主に茶室裏に生えているのですが、客殿入口玄関の前にも数厘咲いています。
ほとんどの花はもう見頃を過ぎてしまいましたが、客殿玄関前の花はまだ楽しめます。
花も美しいですが、この真っ赤な雌蕊が貴重なのです。
サフラン︵学名Crocus sativus L., 英: saffron crocus, 仏: safran︶は、地中海沿岸を原産とするアヤメ科の多年草。およびそのめしべを乾燥させた香辛料。日本では大分県竹田市や宮城県塩釜市で生産されている。
︻特徴︼
独特の香りを持ち、水に溶かすと鮮やかな黄色を呈するため料理の色付けをする際に使用される。香りの主成分はサフラナール。色素はクロシン。この色素は水溶性で油には溶けない。
南フランスの名物料理ブイヤベースや、スペインのパエリアにはかかせない。またインド料理のサフランライスでもおなじみである。
めしべは、生薬としては番紅花︵ばんこうか、蕃紅花とも書く︶と呼ばれ、鎮静、鎮痛、通経作用がある︵日本薬局方に﹁サフラン﹂の名で収録されている︶。
紀元前からヨーロッパで香料・染料として利用されていた。大変貴重でその分、値段も高い香辛料である︵1gで500?1000円程度︶。古代ギリシアではサフランの黄色が珍重され、王族だけが使う事を許されるというロイヤルカラーになっていた時代もある。
(Wikiペディア︶
このようにサフランは、その真っ赤な雌蕊が貴重な香辛料となります。
貞昌院でも、雌蕊を収穫して乾燥し、パエリアなどの料理に利用しています。
こんなにたくさん採れました。
手間のかかる作業なので、高価であるということも納得がいきます。
サフランは、旧約聖書では﹁芳香を放つハーブ﹂として書かれておりますし、古代インドから僧侶たちは法衣をサフラン色に染めました。
曹洞宗で用いる木蘭は 木蓮と木蘭 でご紹介したとおり、ミロバラン︵呵梨靱︶から作られた染料で染めます。
また佛旗では樺色で表現されているのですが、樺色は僧侶の衣、僧侶の象徴でもあります。
対して、サフランの雌蕊は上の写真のように真っ赤なのですが、染料として用いるとパエリアのライスの色でもわかるように黄色く染まります。
染められた布地は上品で明るく輝くような黄色となります。このような感じです。
ですから、木蘭や樺色とはかなり印象が異なります。
サフラン色といえばどのような色をイメージしますか?
Wikiペディアでは、サフランの花弁の色と、サフラン染めの黄色の両方をサフラン色としています。
#FFCC40 |
saffron yellow
サフラン色 |
サフランの雌しべで染めた色 |
#CEC5F0 |
サフラン色 |
サフランの花の色 |
(Wikiペディアによる分類)
しかし、欧米では、このサフランの雌蕊そのものの色をサフラン色と考えていることが多いようです。
#A91418 |
サフランの雌蕊色 |
サフランの雌しべの色 |
(kamenoが勝手に分類)
例えば、﹃サフラン・キッチン﹄の中で、本のタイトルのとおりキッチンをサフラン色に塗る場面で、サフラン色を主人公マリアムの娘、サラがサフラン色を説明するくだりでは
夕焼けみたいに真っ赤、切り傷つくっちゃったときの血の色、お母さんの指先についたヘナ、トルバートゥの土か、ゴセマールバートの土、溶岩の色、ケシにザクロ…
﹃サフラン・キッチン ﹄ ︵新潮クレスト・ブックス︶ ヤスミン・クラウザー (著)より
先のミャンマーの軍事政権に対する僧侶や市民らの抗議デモのことを﹁サフラン革命﹂というように表現する報道が欧米を中心に広がっています。
﹁サフランで染めた法衣﹂というよりは、﹁サフランの雌蕊色の法衣﹂としての印象で名づけられた呼称なのでしょう。
ミャンマーでの抗議デモに関連して、特別寄稿﹁平和を祈る﹂を、SOTO禅インターナショナルにお寄せいただきました。
ご紹介させていただきます。
こちらからご覧下さい。
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