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2007年1月12日
不二家 Xマス商戦前の公表遅らせる 期限切れ問題発覚も
期限切れの牛乳でシュークリームを製造していた大手菓子メーカー・不二家は、洋菓子販売の全面休止を余儀なくされた。問題を昨年11月に把握しながら、公表を遅らせ、ケーキの大商戦であるクリスマスシーズンまでやり過ごした責任は重い。少子高齢化や健康ブームで菓子業界全般が苦戦する中、主力の洋菓子事業で赤字にあえぐ同社の再建の道のりは険しさを増した。
同日会見した藤井林太郎社長は﹁安心と安全を保障するため﹂として、全国の不二家チェーン約900店舗で洋菓子販売を休止すると発表したが、安全のための品質管理体制はあまりにお粗末だった。
最初に発覚した11月8日に、期限切れの牛乳を使っていたのは同工場で数十年勤めたベテランの60代の男性パート職員で、﹁においなどで判断し、問題ないと思った﹂と話しているという。工場には原料使用の基準を定めた管理マニュアルはあったが、作業に当たる職員1人がチェックするだけで済む仕組みだった。
複数でチェックする体制に切り替えたのは問題発覚後。そもそも、﹁牛乳が余ることは想定していなかった﹂︵同社︶といい、牛乳の廃棄方法の規定さえ存在しなかった。
今回の問題が、経営に深刻な影響を及ぼす可能性もある。菓子業界は、消費の伸び悩みで厳しい環境に直面している。不二家の洋菓子事業も03年3月期から4年連続で営業赤字。同事業の立て直しを急ぐ同社は、誕生日用ケーキの販売強化などで、今年度黒字化を目指していた。同社の洋菓子の売り上げは年間約270億円で、休日なら1日に約1億円。今回の洋菓子販売休止は、﹁最短でも1週間﹂︵藤井社長︶に及ぶ。この間の減収に加え、安全性への不信から消費者の不二家離れが広がれば、経営への打撃は深刻さを増す。
藤井社長は﹁失われた社会的信用を復活させたい﹂と述べたが、消費者の健康と命を預かる食品メーカーとして、その信頼を裏切ったツケは重い。
2006年10月と11月の計8回にわたって、埼玉県新座市の同社埼玉工場でシュークリームを製造する際に、消費期限が切れた牛乳を使っていた。このことは、同11月までに社内プロジェクトチームの調査によって判明していたが、不二家では﹁マスコミに知られたら雪印乳業の二の舞になることは避けられない﹂などと隠蔽を指示する内部文書を配布するなどして、公表を行わなかった。
結局、このことが公になったのは、クリスマス商戦終了後の翌2007年1月のことであった。
不二家側は同年1月11日に行った藤井社長らによる釈明会見で、消費期限切れの牛乳使用の責任は現場の一作業者にあったとした。また公表が遅れたことに関しては、﹁この問題に関する認識が甘かった﹂と釈明した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070112-00000002-maip-bus_all
1910年、藤井林右衛門氏により創業した洋菓子の老舗、不二家が、消費期限切れの牛乳を使ってシュークリームを作っていたことや、細菌基準を越える品質基準未達成品を出荷していたことが発覚、さらに、これらの不祥事発覚後の処理に関する隠蔽体質が明らかになり、全国すべての洋菓子関連の工場を閉鎖して製品の製造販売を一時中止する事態になっています。
まもなく創業100年を迎えようとする老舗食品メーカーの今までの信頼の蓄積が、一瞬にして崩れてしまいました。
消費者の信頼を裏切ることにより、これまで、集団食中毒事件を発端とする雪印乳業、そして、無許可の添加物を使用した肉まんを販売していたミスタードーナツなど、食品メーカーは、﹁食﹂を扱うがゆえに、企業のコンプライアンス︵法令を遵守すること︶が他分野以上に求められていることは明白なはずです。
消費期限切れの材料を使うことや、細菌基準を超える品質未達成品を出荷することは、もちろん許されることではありませんが、さらに、それを隠蔽する体質は、論外だといわざるをえません。
不二家は、昨年11月に、社内調査を行い、事態をある程度把握していました。
しかし、社内報告において、それが発覚すれば7年前に集団食中毒事件で業績が大きく落ち込んだ雪印乳業と同様の事態に陥ると、警告されていたといいます。
その社内向け警告文書が、朝日新聞12日朝刊に写真で掲載されておりました。
内容を書き出すと次のようなものです。
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推進委員会外秘
埼玉工場の期限切れ原材料使用問題
□近年、企業のコンプライアンスに関する不祥事は、
その多くが内部告発に端を発するものであり、
消費期限切れ原料の使用がマスコミに発覚すれば、
雪印乳業の二の舞となることは避けられない。
”11月7日消費期限の牛乳4ロット分を11月8日に
使用した”との証言あり。
﹁牛乳はうちが一番良く使うから、他︵の部署︶で余ったら、
ここ︵オンレーター︶に持ってくるんだよ。
使いきれなかったら?ニオイを嗅いで、品質的に
問題ないと判断したら使ってる。
11月7日期限の分?11月8日に使ったよ。
捨てたら怒られるし﹂
︵オンレータ原料仕込み担当者︶
朝日新聞1月12日朝刊34面写真よりテキスト化
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この資料を、社員は、いったいどのような心持で作成したのでしょうか。
また、推進委員会のメンバーは、この資料を見て何と思ったのか。
クリスマス商戦間近だから、売り上げが落ちるとまずい。だから、このことは絶対に口外してはならないという口裏合わせのために、推進委員会を開催したのでしょうか。
不二家では、この問題の他にも、賞味期限切れの材料を使ったアップルパイや、食品衛生法が定める基準の10倍︵社内基準の100倍︶を超す細菌が検出された洋菓子、そして、賞味期限表示を偽ったプリンなどといった問題が次から次へと発覚しています。
食品業界は、品質管理に関する企業倫理が特に求められます。
そのことを認識しているからこそ、不祥事を隠蔽してしまう。
とても残念な事件だと思います。
企業の社会的責任 ( CSR=Corporate Social Responsibility ) は、単なる宣伝文句ではなく、それをきちんと守り実行していくことが大切なのですから。
関連トピックス
http://teishoin.net/blog/000556.html
不二家は﹁賞味期限切れ牛乳使用問題﹂の波紋広がり続急落
2007年1月12日︵金︶11時22分
不二家︵2211︶は前場、22円安の189円と3日続落となった。前引け段階の東証1部値下がり率ランキングでは第2位となった。11日に伝えられた同社埼玉工場での賞味期限の切れた牛乳でシュークリーム2000個分を製造した不適切な原料管理問題が、さらにりんご加工品に広がったうえに、細菌検査で出荷基準に満たない洋菓子も出荷していたことまで判明、洋菓子5工場の操業と全国のチェーン店での洋菓子販売のそれぞれ休止による業績急悪化懸念が強まり、売り急ぎの動きとなった。とくに市場では、同社工場に製造管理記録が残されていなかったことなどから組織的な隠ぺい工作も憶測され、経営再建中の雪印乳業が連想されている。雪印乳は、2000年6月の食中毒事件に続き、2002年1月には子会社による牛肉偽装事件が発覚、株価は1200円台の高値から150円安値まで急落し、ついにはグループ解体、事業縮小にまで追い込まれた。同社株は、かつて大物仕手に買い占められた経緯があり、このところ食品業界にはM&A思惑も底流しているが、前日には信用規制が強化され新規売りが停止されており、株価の先行きは予断を許さない
http://biz.yahoo.co.jp/column/company/tyo/070112/kth/070112_biz009.html
マスコミは、一つの事件が発覚すると、その企業の問題点を過剰なほどに取上げていきます。
消費者行動もそのような性質があります。
確かに、そのようなマスコミ報道の、悪い面もあることは否めませんが、今後の動向に静かに注目して行きたいと思っています。
天真さま
食品会社におつとめになった経験のある方だと、この報道の受け止め方も複雑なんでしょうね。
投稿者 kameno | 2007年1月19日 15:53