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2006年3月 2日
<日立製作所>夢の循環型エレベーター、世界初の実験成功
日立製作所は2日、夢の技術とされてきた﹁循環型エレベーター﹂の実証実験に世界で初めて成功したと発表した。2列の昇降スペースを天井部と底部でつなぎ、最大8台の乗りかごが循環運転する。乗りかごは頻繁に到着するため、1列1台の乗りかごがそれぞれ上下していた従来型に比べ2.5倍の輸送力を確保できるという。同じ輸送力なら従来の3分の2のスペースですむ。
高層ビルが増え、エレベーターの輸送力増強や待ち時間短縮のニーズが高まっている。これまで各メーカーは、高速化や乗りかごを2階建てにする﹁ダブルデッキ方式﹂で対応してきたが、高速化には限界があり、ダブルデッキ方式も、片方のかごの乗降時に他方も停止しなければならないというムダがあった。
循環型は以前から究極の解決策と見られてきたが、乗りかごを独立して動かす技術開発が壁になっていた。電磁石で浮かせて自走する﹁リニアモーター﹂方式が考案されたこともあるが、電力消費量が膨大で経済性に難があり、停電時の安全確保が未解決だった。
日立の新技術は、20階建て、乗りかご8台を想定して開発、それ以上の構想の場合は、複数重ねる。従来型と同様にロープを使うのが特徴で、上下を固定するのでなく、4組のロープを輪にして回す。各組に対角線の位置に2台の乗りかごを設置し、各組を独立して運転させ、計8台を循環させる。同一組の2台は同時に動くので、一方のかごが停止したら対のかごも停止するが、循環するのでダブルデッキ方式より効率的に運転できる。
高さ4メートルの模型での動作実験に成功した。かご同士が衝突しない制御システムの実証や、循環式を想定していない建築基準法の改正が必要になるため、販売時期は未定。日立は﹁実用化に向けた環境整備を急ぎたい﹂と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060302-00000082-mai-bus_all
記事中の文面だとどういう構造なのか判りづらいと思いますが、これはまさにエレベータの常識を覆す画期的な実験成功だと思います。
通常、エレベーターは、一台のカゴが、上下に移動して人や荷物を運びます。
したがって、例えば6階から10階に行きたい場合、カゴが下り方向のタイミングだと、一旦下の階まで行って帰ってくるまで待たなくてはなりません。
また、高層ビルの場合は、階を飛ばす急行エレベーターを設置したり、高層階専用のエレベーターを設置したり、様々な工夫をとらなければなりませんが、結局は非効率的な部分が少なからず発生してしまいます。
そういえば、ビルを如何に効率的に構築していくかというゲームもありましたね。
THE・TOWER SP
今回の記事は、夢の技術とされてきた﹁循環型エレベーター﹂の実証実験が、世界で初めて成功したというニュースです。
簡単にいうと、上り専用のエレベータと下り専用のエレベータをそれぞれつないで、ぐるぐると一方通行的に循環させるというものです。
エレベータが一つの経路を上下に動くという概念はもはや存在しません。
イメージ図はこんな感じです。
︻主な特徴︼
■ 循環マルチカー方式
・マルチカーエレベーターは、2台以上の乗りかごが同一の昇降路を運行するエレベーターのことである
・実用化されているものは、カゴを上下に2台連結したダブルデッキ方式がある
︵しかし、2台連結のため1台が止まるともう一台も必然的に止まる必要がある︶
・本方式では、上昇専用と下降専用の2つの昇降路の上部と下部をそれぞれ連結してリング状とした。
・さらに、その中で複数のカゴが独立して運行できる。
・これにより、単位面積あたりの輸送力を通常エレベーターの2倍以上とした。
■独立循環ロープ駆動技術
・鉄道などの水平方向の交通手段では、各移動体にモータなどの駆動装置を搭載することが一般的。
・しかし、垂直方向のエレベーターでは、各カゴに駆動装置を搭載ことは駆動装置が大型化してしまい非現実的。
・本法式では、循環ロープにカゴを接続し、その循環ロープを建物側に設置したモータで駆動するメカニズムとした。
・この循環ロープを複数設けることにより、各乗りかごが独立して運行できるようにした。
■対向かごつり合い方式
・通常のエレベーターは、乗りかごを接続したロープの他方の端に重りを接続することで、省エネルギー化を図る。
・本方式では、つり合い重りの代わりに、循環ロープのちょうど正反対の位置に2つの乗りかごを接続して駆動することとした。
・本方式の採用により、乗りかごの運行の自由度は1/2に減少するが、例えば朝の出勤ラッシュ時には、下降側の乗りかごに乗客が乗ることはまれであるため、下降側の乗降で上昇側が待たされる可能性は低く、輸送力には大きな影響を与えない。
ということでありますが、特にオフィスビルのように、朝は上昇、夕刻は下降の需要が集中するような場合に特に威力を発揮しそうです。
私も以前、新宿都庁舎内に勤務していたことがありましたが、朝の出勤時のエレベーターの乗り継ぎには苦労したものです。
それと、上下にある2本の昇降路間を移動する際の乗り心地というものを是非体験してみたいものです。
ニュースリリースのPDFはこちらです。
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/03/0301.pdf