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2005年8月11日
まもなくお盆︵旧盆︶の時期を迎えます。
お盆については、まず、こちらをご覧ください。
お盆・盂蘭盆会︵うらぼんえ︶
お盆は、古来より各家庭で毎年行われており、日本人の風物詩としてこれほど生活に密着した仏教行事はないでしょう。しかし、一方で地域差や各家庭によって様々な形式が見られるのです。それは、長年に渡る幾多の変遷があったからです。
そのような中で、お盆の行事に関して、お寺によく質問される問題を列記してみたいと思います。
1.新盆と旧盆
最初に、お盆を﹁新盆=7月盆﹂で行うのか﹁旧盆=8月盆﹂で行なうかという質問です。これは、まず御盆の元来の時期を知らなければなりません。
インドの仏教教団が、雨期に集団で修行を行なった際、その終わりの日に阿難尊者が亡き母のために修行中の僧侶の供養を行ったのが、その始まりといわれています。ですから、この安居とよばれる集団修行の最後の日、つまり7月15日に行なうのが正式でした。しかも、この時期は、日本では農閑期でもあり、古来から伝わる祖霊信仰と結びつき、仏教伝来と同時に盛んに行われるようになりました。
ところが、これは旧暦と呼ばれる﹁太陰暦﹂の7月で、明治以降の新暦﹁太陽暦﹂では一月遅れの8月に該当します。
多くの農家では、田の仕事が忙しい7月ではなく、一段落つく8月のお盆を﹁旧暦﹂のまま行う伝統が続いていたのです。
近年では、都会に住んでいるので﹁新盆﹂で行い、夏休みの取れる8月には田舎で﹁旧盆﹂を迎える方も多いようです。
2、お盆棚の祀り方
御先祖様を迎えるためにお盆棚︵精霊棚︶を作りますが、仏壇で祀ってはいけないのですか、と質問されます。
皆様は、各御寺院で﹁施食会︵施餓鬼会︶法要﹂を行うとき、大きな精霊棚を見たことがあるでしょうか。各家庭に準備する物は、あの棚を小さくした物が基本となります。古くは、縁側に机を出して、まこも等を掛け、竹を正面に立てたりしました。縁側の無い家庭も増えましたので、部屋の隅、または仏壇の脇などに作る方もいます。
また、仏壇の前に小さな、机を出して祀ったり、仏壇をそのまま利用する場合もあります。
それぞれの家庭の事情もありますので、必ずこうしなければならない、ということはありません。要は、御先祖様を迎える気持ちと、そのための準備をしっかりと行う事が中心なのであり、その形式に引きずられる心配は無用です。
お盆棚の実例につきましては、T寺さんのブログが参考になります。
3、迎え火
迎え火の焚き方についてです。
時期は、12または13日の黄昏時と言うのが一般的です。玄関先において、麻幹︵おがら︶を焚きます。また、墓前で焚いたり、墓地まで提灯を持って迎えに行く地方もあります。いずれにせよ、御先祖様が帰ってくる道を間違えないようにという意味で焚きます。
さて、最近では団地やマンション住まいで迎え火が焚けない、という話を聞きます。火災の危険が有りますので、無理にとは申しませんが、素焼きの鉢︵ほうろく︶等を用意して少量の麻幹で結構ですから、迎える気持ちを表してみてはいかがでしょうか。
4、送り火
次に送り火についてです。
この時期に関しては、地域差がありますが、このあたりでは、15日の夕方という風習が多いようです。また、京都の大文字焼きに代表されるように16日の夜という地方も多いですし、15日の深夜という場合もあります。このように送り火の時期に関しては様々ですので、その御家庭の伝統を重視するのがよいでしょう。
また、迎え火と同様に麻幹を焚きますが、送り提灯と言って、墓地までお盆棚に掲げた提灯や灯籠をお供えに行く地域もあります。さらに、灯籠流し︵精霊流し︶も送り火の一種です。
5、お供え物
お供え物で代表的なのが、ナスの牛とキュウリの馬でしょう。これは、御先祖様の乗り物として、迎え火の時に玄関先に用意し、焚いた後でお盆棚まで持ってきます。さらに送り火の時に外に出します。
その他、灯明に模したホオズキを供えたり、季節の野菜・果物等をお供えします。
この様な物を供えなければならないという決まりは特にありません。仏様の喜ぶ物、好きだった物をお供えし、その感謝の気持ちを表しましょう。
* * * * *
お盆の諸行事に関する様々を述べてみました。しかし、地域や御家庭、寺院によって様々な考え方や風習があります。分からないことは、お寺に気軽に御相談下さい。また、その家や地域の伝統やしきたりも大事にして頂ければと思います。
ぼんぼんさん
そういえば次のような記事も書いておりました。
併せてご紹介いたします。
http://teishoin.net/blog/000843.html
投稿者 kameno | 2008年6月27日 00:39