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2005年4月23日
人権擁護法が国会に提出されようとしています。
4月26日︵火︶朝の﹁政調、法務部会﹂を通過し、その日の午前10時開催される﹁政調、審議会﹂を通過してしまえば、既定路線で成立に向かってしまうでしょう。
まず最初に人権擁護法案とは・・・
︻概要︼
・出生や国籍などを理由にした差別や人権侵害の防止・救済を目指す法案。
・新設される人権委員会が相談や調停、勧告、公表などの措置を講じる。
・人権委員会は全国で2万人以上の人権擁護委員を委嘱。
・事情聴取や立ち入り検査などの﹁特別調査権﹂も付与される。
この法案については、一度、3年前の国会に提出されましたが、表現の自由を侵害する恐れがある﹁メディア規制法﹂と批判されて廃案となりました。
しかしながら、政府と自民党の推進派により、問題となったメディア規制条項を凍結することなどを条件に、同じ内容の法案を今国会に再提出し、成立を図っているわけです。
しかしながら、この法案は問題点もかなり多いことが指摘されています。
具体的には
・人権侵害の定義があいまいである
・人権委員会の権限が強大すぎる
・人権擁護委員の選考過程があいまいで国籍条項もない
などです。
このため、自民党内でも反対論議が多く、党内の調整が難航していました。
そんな中、今月21日の調整会議において大きな局面を迎えました。
法案成立を目指す推進派の古賀誠元幹事長が、合同部会での﹁一任取り付け宣言﹂を行ったのです。
■人権擁護法案の一任宣言 勝負に出た古賀氏 補選での﹁公明協力﹂盾に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050422-00000004-san-pol
この段階では、古賀氏の一任宣言に対し、平沢勝栄法務部会長が否定的な見解を示していましたが、22日になり、合同会議として法案の扱いは事実上、古賀氏に一任した形となってしまいました。
■人権擁護法案‥古賀氏に一任、与謝野氏裁定 自民合同会議
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20050422k0000e010088000c.html
一度廃案になった法案が、また名目を変えて通されようとしているこの異常な事態を、私たちは常に注視していかなければならないでしょう。
いつの間に知らないうちに法案が通っていたということは、恐ろしいことでもあります。
この法案は、メディア各社にも関係ありますが、ブログで情報を発信している私たちにも大いにかかわってくる問題です。
もちろん、情報を発信する側は、個人情報の取扱いはもとより、人を傷つけたりしていないか、差別的な表現はしていないかなど、基本的なことはきちんと守らなければならないと思います。
それが守られなかった場合は法的な処罰を受けることは、法治国家の下では仕方ないでしょう。
しかしながら、人権擁護法案では、それを判定する人権擁護委員の選考方法もあいまいだし、どういった基準で人権侵害を図るかという尺度も曖昧です。
そのような中で、人権委員会に、裁判所の令状がなくても、独自に関係場所の立ち入り検査ができるようにしたり、関係者の出頭要請、事情聴取や資料の押収でき、正当な理由無く拒否すれば過料が科せられるなどの権限を与えるということは行きすぎであると考えます。
人権擁護法が恣意的に運用されれば、人権救済の名目で新たな人権侵害すら起きかねないでしょう。
幼児や高齢者や障害者、外国人など、特定の人権侵害に限定的かつ慎重に運用するのであれば、個別の法律で対処すればいいわけです。
さらに、論点となっている国籍条項については、絶対に撤廃してはならない項目であるといえます。
提出されようとしている法案では、現行の人権擁護委員法にある国籍条項が撤廃されています。
自民党の反対派からは、﹁在日本朝鮮人総連合会の関係者が人権擁護委員になると、拉致問題への対応をめぐって政治家が朝鮮総連を批判したような場合、人権侵害と指弾されかねない﹂という意見が出されていますが、このほかにもさまざまな言論弾圧が考えられるでしょう。
全ての人が人権問題について一定の基本的ルールを遵守し、包括的、網羅的な規制の網をかけられることなく、自由に情報発信できることがどれだけ素晴らしいことか。
人権擁護法は、今の案のままではとうてい賛成できません。