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2005年3月24日
ペット供養は収益事業 寺院への課税認める
ペット供養は﹁収益事業﹂に当たるとして課税されたのは不当として、愛知県春日井市の寺院﹁慈妙院﹂が、税務署に計約670万円の課税処分取り消しを求めた訴訟の判決で、名古屋地裁の加藤幸雄裁判長は24日、原告の請求を棄却した。
原告側弁護士によると、ペット供養で課税をめぐる判決は初めて。
判決理由で加藤裁判長は、ペット供養の依頼者は宗教的意義を求め、供養は人の葬祭の形式を踏んでいると認定したが、﹁原告は料金表などを定めて支払いを受けており、民間業者と料金システムが類似。依頼者と原告は、料金の対価としてサービスを受ける関係にある﹂と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050324-00000068-kyodo-soci
さて、まず、基礎的な面からみていきましょう。
公益法人としての宗教法人が行う収益事業の考え方は、次のとおりとなっています。
■公益法人等とは、財団法人、社団法人、宗教法人、学校法人など、特別法により設立された法人のことです。つまり、宗教法人は、宗教法人法により設立されている法人です。
■公益法人等の収入は、
非課税とされる﹁非収益事業﹂﹁宗教活動﹂﹁公益事業﹂
課税対象となる﹁収益事業﹂
とに分類され、収益事業に対して課税されます。
■収益事業の範囲は、次に示された33の事業をいいます。
収益事業とは、次の33の事業︵付随して営まれるものを含む︶で、継続して事業場を設けて営まれるものをいう︵法人税法第2条、施行令5条1項︶、としています。
1.物品販売業 2.不動産販売業 3.金銭貸付業 4.物品貸付業 5.不動産貸付業 6.製造業 7.通信業 8.運送業 9.倉庫業 10.請負業 11.印刷業 12.出版業 13.写真業 14.席貸業 15.旅館業 16.料理店業その他の飲食業 17.周旋業 18.代理業 19.仲立業 20.問屋業 21.鉱業 22.土石採取業 23.浴場業 24.理容業 25.美容業 26.興行業 27.遊技所業 28.遊覧所業 29.医療保険業 30.洋裁 和裁 着物着付け 編物 手芸 料理 理容 美容 茶道 生花 演劇 園芸 舞踊 舞踏 音楽 絵画 書道 写真 工芸 デザイン 自動車操縦若しくは小型船舶の操縦︵以下 技芸という︶の教授 31. 駐車場業 32.信用保証業 33.その他工業所有権その他の技術に関する権利又は著作権の譲渡又は提供を行う事業
■公益法人の収益事業については 25%、平成14年4月1日以後開始した事業年度については22% の税率が適用されます。
■公益法人等の寄附金の損金算入限度額は、収益事業から生ずる所得の 20%とされます。
収益事業部門から非収益部門への支出は、寄附金とみなす︵みなし寄附金︶ことになっています。
■収益事業を営まなくても、住職や従業員等に支払われる給与には源泉徴収義務が生じます。
今回の司法判断は、ペット供養が宗教活動ではなく、収益事業と認められたということで、一見、きわめて意外な判断のように見えます。
古来から、日本人は動物や樹木などの生物に限らず、石や地面、水など無生物のものに対しても崇拝の対象としてきました。
ましてやペットについては家族同様に暮らしてきたわけですから、丁重に供養したいという要望はあるのでしょう。
ただし、今回の司法判断の重要なところは、
☆料金表などを定めていた
☆したがって、依頼者と寺院は、料金の対価としてサービスを受ける関係にあった
というところです。
葬儀や法要の費用は通常、布施ですから、お気持ちで…としか言いようがありません。
目安を…と聞かれても、それは、やはりお気持ちで…ということになるのでしょう。
逆に明確な定価を表示すると、それは宗教活動から離れてしまい、料金の対価と判断されてしまうわけです。
ですから、法要の際に御寺院さんへお布施を封筒に入れる際は、﹁読経料﹂ではなく、あくまでも﹁御布施﹂としていただいたほうがよろしいと思います。
さて、名古屋地方裁判所は、ペット霊園について収益事業と判断しました。
であるならば、寺院運営の面からみれば、ペット霊園にかかわる人件費、火葬炉の原価償却義、燃料費、その他諸々の経費を切り分けして、収益事業会計で独立させればそれで済む話です。
むしろ損金が多数発生して収益事業会計の利益はほとんど無くなるかもしれません。非課税事業として処理するよりは、収益事業として処理したほうが、寺院会計にとって健全な方向に向かうかもしれません。
ただ一点、家族同様にすごしてきたペットに対する供養が、宗教活動ではないと判断される点、この点だけは、宗教者としてとても残念な判断です。
これが拡大解釈されていき、あらゆる供養が費用の対価とみなされてしまうことです。
では地鎮祭は?ご神木の供養は?人形供養は?
宗教活動と収益事業の区分けは明確に出来ない部分が多いからです。
Westie さん、TBありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
投稿者 kameno | 2005年3月25日 20:09
創価学会の財務も「料金」は決まっていないようですが…
払わない人も多いようですし。
投稿者 中々 | 2006年6月29日 00:44