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2005年3月16日
明日︵17日︶は彼岸の入りです。
彼岸とは、ご存知の通り、春分の日を中心に前後3日間、つまり7日間が彼岸です。
今年は20日が春分の日︵彼岸の中日︶ですから、17日が彼岸の入りというわけです。
彼岸は仏教行事のように思われていますが、他の仏教国にはありませんから、むしろ日本の先祖崇拝︵ご先祖様を敬う習慣︶が、浄土思想と結びついて培われてきた、日本独自の伝統行事というべきものでしょう。
ご先祖様を敬い、お墓参りをしてぼた餅、おはぎ、お団子などを仏壇に供える良い習慣であります。
ところで、この春分の日は毎年日付が一定していませんよね。
再来年の春分の日は何日なのですか?
再来年のお彼岸っていつからいつまで?
このような質問に答えられる人は誰もいません。
なぜかというと、まだ決定されていないからです。
ん?どういうこと???
﹁国民の祝日に関する法律﹂では、春分の日は﹁春分日﹂、秋分の日は﹁秋分日﹂と定められています。
http://www.houko.com/00/01/S23/178.HTM
ここでいう﹁春分日﹂は天文用語であり、次のように定められます。
太陽は星々の間を移動していて、その通り道を﹁黄道﹂といいます。また、地球の赤道を天にまで延長したものを﹁天の赤道﹂といいます。
黄道と天の赤道は、お互いが傾いているために2点で交わり、その交点のうちの一方を﹁春分点﹂、もう一方を﹁秋分点﹂と呼びます。
そして、太陽が春分点・秋分点の上を通過する瞬間がそれぞれ﹁春分﹂﹁秋分﹂と定義され、﹁春分﹂﹁秋分﹂を含む日のことを、それぞれ﹁春分日﹂﹁秋分日﹂と呼ぶのです。
この概念は、↓ASTRO ARTSのサイトが参考になります。
http://www.astroarts.co.jp/alacarte/kiso/kiso02-j.shtml
つまり、天球上の黄道と赤道とが交わる点のうち、太陽が南から北へ通過する点の方が春分点であり、この位置に太陽がくる日を﹁春分の日﹂としているのです。
ただし、これはあくまでも天文学的な概念で、それを決定するのは政府です。
春分の日と秋分の日は、国立天文台・天文情報公開センター 暦計算室で計算された結果を元に、政府︵大臣官房企画調整課︶が春分の日をどうするかを決定します。
来年の分は、ようやく平成17年2月1日付官報に掲載されました。
http://www.nao.ac.jp/reki/youko/youko06/rekiyou061.html
つまり、まだ来年までの春分・秋分の日しか決定されておらず、再来年以降の春分・秋分の日は未定ということになります。
なぜ、2年先以降の予定が分からないのかという理由は後で書くとして、まず、春分の日が20日または21日になっている理由から考えていきます。
一年の長さは何日かご存知ですよね。
365日。
しかし、正確な365日ではなく、半端が出ます。
地球が太陽の回りを一回りする日数は、365.2421・・・・・日です。
この半端分ををどう修正するかというのが、古来からいろいろと苦労してきたところですね。
現在使われている暦はグレゴリオ暦法です。
グレゴリオ暦法では、次のようにうるう年を設け、一日プラスすることで、半端分の調整をおこなうように決めました。
■西暦が4で割り切れる年をうるう年とする。 ︵4年に1回、1日を追加︶
■上記の例外として、西暦が100で割り切れる年は平年とする︵100年に1回足すのをやめる︶
■上記の例外として、西暦が400で割り切れる年はうるう年とする。︵400年に1回、1日を追加︶
これで一年の長さの平均を計算すると、365+(1/4)-(1/100)+(1/400) = 365.2425日になります。
ほぼ近くなりました。
けれども、まだ数千年程度で1日程度の誤差があります。︵このあたりは適当なところで補正されるのでしょう︶
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このように、現在の暦は太陽暦ですから太陽の運動と暦は、ほぼ一致します。
そして、一年は365日と約6時間ですから、春分点を太陽が通過する日時は、毎年6時間づつ次の日の方向にずれていきます。
4年に一度、閏年に一日が挿入されますから、春分の日は、一気に24時間分、前日の方向に戻されます。
ここで、感の良い方はお気づきだと思いますが、
閏年の春分の日は、ほぼ20日になります。
そして、閏年の翌年は、かなり高い確率で20日。
閏年の2年後はかなり高い確率で21日。
閏年の3年後はほぼ21日。
そして閏年を迎え、一気に1日戻され、20日となる。
ということなんですね。
じゃあ、暦の法則もはっきりしているのに何故数年先の春分の日が分からないのか!と疑問がわきます。
その答えは、地球の自転・公転などの運行は、常に変化している︵一定ではない︶ためということにあります。
地球の自転・公転は微妙に早くなったり遅くなったりしています。
他の天体の影響もあるし、地球内部のマントルなどの影響もあるし、歳差運動の影響もあるでしょう。
︵歳差運動についてはASTRO ARTS 天球の回転コマの﹁首振り運動﹂をご参照ください︶
つまり、さまざまな微妙な要因が影響するため、数年後の状況は概ねの予測はつくけれども、間近にならないと確定できないのです。
太陽暦を採用しているのだから、割り切って3月20日に決定してしまうという方法もあるのに、あくまでも天体現象に忠実に、春分の日をその都度決定するという、そのこだわりは︵良い意味で︶日本ならではなのででしょうね。
TBどうも!
いつもながら分かりやすい説明ですね。勉強になります。
投稿者 kameno | 2005年3月17日 09:14