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2005年3月 6日
医療環境が整った現在では、死亡原因として以前のように伝染病︵結核やコレラ︶が問題になることはあまりありません。
逆に、死亡原因で大きな割合を占めてきているのは﹁生活習慣病﹂と呼ばれる、ガンや脳卒中、糖尿病、心臓病等です。
死因順位︵第5位まで︶別にみた死亡数・死亡率︵人口10万対︶の年次推移︵厚生労働省︶
これらの﹁生活習慣病﹂は文字通り、食事や飲酒、喫煙等の生活習慣が主な要因と考えられています。そして、その予防には、バランスの良い食生活、さらに1日30品目以上の食品を取ることが理想とされています。
そのためには、自分自身の歯で食事をすることが大切であり、歯の健康が重要になってきているのです。
歯が悪ければ食べられるものも限られてきますし、美味しく食べることも出来なくなります。食べることは、年を取っても楽しみであり、心の健康を保つために必要です。
自分の歯が20本以上あれば、ほとんどの食べ物をおいしく食べることができます。
しかし、多くの歯を失えば、噛めないばかりではなく、全身の健康に大きな悪影響を及ぼすため、厚生労働省と歯科医師会では、﹁80歳になったとき20本以上の自分の歯を残そう﹂という8020運動を呼びかけています。
しかし、歯の健康というのは一朝一夕に出来上がるものではありません。年を重ねてから、あるいは実際に歯が悪くなって始めたのでは遅いのです。
また、乳歯の健康がその後の永久歯に与える影響も強く指摘されています。ですから、年老いてから慌てないためには、小さい頃から歯磨きの習慣を付け、さらに年齢と共にこまめな手入れを欠かすことができないのです。
歯磨きの大切さについては、永平寺を開かれた、道元︵どうげん︶禅師も指摘していました。
道元禅師の著書、﹃正法眼蔵︵しょうぼうげんぞう︶﹄﹁洗面﹂の巻で、洗面の仕方、歯の磨き方をこと細かく解説しています。
また﹁洗浄﹂の巻では、爪を切ることや、トイレの入り方などに関して説明しています。
﹃正法眼蔵﹄﹁洗面﹂にか書かれている歯の磨き方について、具体的に見てみましょう。
︹楊枝を︺よくかみて、歯の上、歯の裏を磨くがごとく洗うべし。
たびたび磨いて洗いすすぐべし。歯のもとの肉の上もよく磨き洗うべし。
歯の間もよく掻いて清らかに洗うべし。
口を漱ぐことをたびたびすれは、漱ぎ浄められる。
その後、舌をこそぎ洗うべし。
このように、歯ブラシとしての楊枝の使い方が細かに示されています。
当時の楊枝は、文字通りヤナギの小枝を使用したもので、それの先を噛んで細いすじのようにして用いました。
時代が下るとヤナギの材の先を叩いてフサのようにした、ふさ楊枝も用いられていたのです。
そして、何よりも鎌倉時代においても今と殆ど変わらない磨き方の指示をしている事にも驚かされます。
ここでいう、歯のもと︵歯茎︶を磨くというのは、現在では歯槽膿漏の予防として大きな効果があるともいわれています。
歯磨きの習慣なんて、何をいまさら、とおっしゃる方もおられるでしょう。しかし、その当たり前のことが出来ないのが、残念ながら人間なのです。
ムシ歯を持っている子供たちは、徐々に少なくなっているとはいえ、まだまだとても多いことに気が付きます。統計によれば、小学生の70%以上がムシ歯にかかっています。これだけ、多くの場面で歯の大切さが言われ、テレビでは終日歯磨き粉や歯ブラシの宣伝をしているのに・・・・・
学校保健統計調査︵文部科学省︶
健康な生活というのは、どこか遠くにあるもの、もしくは特別の環境でなければ求められないもの、という訳ではありません。日常の生活をきちんと行うことこそが重要なのです。
豊かな生活を送るためにはまず健康でなければならない、そのためには歯が丈夫でなければならない。そのことを道元禅師は800年近く前から知っておられたのでしょう。
コメントありがとうございます
数日前にtenjin95さんが関連する記事を書かれていましたが、私がコメントした部分を再校正してみました。
正法眼蔵の中には実生活に直接有益な記述がたくさんありますね。
投稿者 kameno | 2005年3月 7日 07:21