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リュウゼツランとハッカチョウ

環状二号線上永谷駅前交差点のリュウゼツランから花茎が突然伸び始め、まもなく開花しようとしています。
上永谷駅入口のリュウゼツラン


片側3車線の交通量の多い幹線道路にかかる駅前の交差点の真ん中に生えているということで、テレビや地元紙の報道などもあり、多くの方に注目されるようになりました。
万一、長い花茎が倒れてくる可能性を考え、安全のために道路管理者によって支柱も設置されています。

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このリュウゼツランは、正式には「アオノリュウゼツラン(Agave americana)」という種類でアメリカ大陸中南米に主に生息する植物です。
テキーラの原材料としても有名ですね。
センチュリープランツという別名がある通り、100年に1度開花するということですが、実際は、もう少し早く、十数年から数十年程度でも開花するようです。
花を咲かせると、その株は枯れてしまいます。

リュウゼツランは、鑑賞用に育てられることも多いので、植物園や大きな公園などでも見ることができます。
日本全国にどれだけの株が生息しているかわかりませんが、仮に1万株あるとして、平均20年で開花すると仮定した場合、日本のどこかで毎年500のリュウゼツランの花が見られる計算になります。
また、地球温暖化の影響で、熱帯性の動植物にとって生育しやすい環境になっていることから、リュウゼツランの数も以前に比べて増えてきていることも推測されます。
今年は特にリュウゼツラン開花の報道が多いので、花の当たり年になっていることや、1つが注目されることにより、普段注目されていない株が注目されるなど、波及効果もあるのでしょう。


その上で、上永谷のリュウゼツランの特異性について言及すれば、
(1)公道の植栽植込みの中で
(2)自然発生的に発芽し
(3)植栽管理、草刈りの際にも生き残り
(4)十数年ゆっくり育ち
(5)突然太い花茎を何mもの高さに伸ばし
(6)今まさに開花しようとしている

ということにあると思います。
植物園や公園で育っているのであれば、それぞれリュウゼツランを管理をしながら育てているのですが、上永谷のリュウゼツランはそうではないからです。
普通であれば、道路管理者により、排除されてしまっていたことでしょう。
実際、この周囲に何株かのリュウゼツランが道路の緑地部分生えていたのですが、他の株はいつの間にか無くなっていました。


では、なぜ、公道の植栽植込みの中でリュウゼツランが生えたのでしょうか。


当ブログ記事の2011年10月 9日 上永谷のハッカチョウ で書いたのですが、2011年から2012年にかけて、ハッカチョウ(八哥鳥)というムクドリの仲間の外来種の鳥がこの交差点近辺のケヤキの街路樹に大量に棲息して、朝どこかに飛んでいき、夕方には街路樹に戻り、大騒音をたてていた状況が続きました。

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2011年kameno撮影

あまりにも多くのハッカチョウが群生していたため、周辺住民の苦情によりケヤキの剪定が行われたため、2012年以降はハッカチョウはそれほど多く群れることは無くなりました。(少なくなったとはいえ、現在でも姿はよく見かけます)
このハッカチョウですが植物の種(特にマメ科の種子)が大好物ということです。
また、リュウゼツランの実は数ミリの大きさの黒い種です。
なので、きっと、2011年ごろ、ハッカチョウ(他の鳥の可能性もありますが)が周囲のどこかで咲いたリュウゼツランの種子を食べ、フンと一緒に植込みに根付いたものが、ゆっくり育っていったのだろうと推測します。
もちろん、他の理由もあると思いますが、いずれにしても、意図的に植えられたものではないでしょう。

■種子散布者として期待できる野鳥20種:ムクドリ(ムクドリ科)
ほぼ全国的に見られ、多くの種類の木の実を集団でついばみます。種子散布への貢献度はかなり高いといえます。
(日本野鳥の会のサイト:種子散布者として期待できる野鳥20種 より引用)
※ハッカチョウはムクドリの仲間です※


Google Street viewで確認すると2010年にはリュウゼツランは確認できません。2014年にはリュウゼツランが確認できます。

私自身も、この場所にリュウゼツランを確認したのは2012年以降なので、ハッカチョウが群生していた時期と一致します。
この周囲にも何株か育っているので、鳥などが種を運んできて自然に育ったものと考えて良いでしょう。

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また、この交差点以外にあった何株かのリュウゼツランは、いつの間にか無くなっていますので、道路管理の中で刈り込まれたか、自然に枯れてしまったかという事だろうと思います。
現在、花を付けようとしている株と、そのすぐ隣にあるもう一株は奇跡的に生き残りました。

リュウゼツランは、花を咲かせると、その株は枯れてしまします。
上永谷駅入口交差点のリュウゼツランは、12年ほどかけてゆっくりと育ち(あまりにもゆっくりとした成長なので、気に留めている方はほとんどいなかったと思います)、5月に入り、急に花茎が大きく伸びてきたことで、5月終わりごろには徐々に人の目に留まるようになりました。
交通量の多い交差点の真ん中のリュウゼツランなので、SNSもそうですが、報道などによって、多くの方に見守られて、まもなく満開になろうとしています。

満開になると、黄色い花で花茎が彩られます。
きっと遠くからも良く見えるような花を見せてくれることでしょう。

投稿者: kameno 日時: 2024年6月21日 14:36

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