「砂の家」 review

2月8日から16日まで、貞昌院本堂で行われた演劇「砂の家」の公演が無事千穐楽を迎えました。
今回の公演を何回か観劇させていただき、そのたびに考えさせられることがあり、新たな発見もありました。
ゲネプロなどで、私も写真を撮影させていただきましたので、全公演が終わったこの機に振り返ってみましょう。
(※内容の解釈はkamenoの個人的な感覚に基づきます)


横浜「貞昌院」で行われる国境を超えた現代人のための寓話。女が故郷に帰ると「あるもの」がなくなったことに気づく。それを探して大地を掘り続けると、或る男が待つ奇妙な場所にふとたどり着く。ときに愛の物語であり、地上の終わりを告げる警鐘の物語でもあった。帰属、移住、破壊、自然、飽和・・・、様々な言葉が世界を織りなす、衝撃のオーストラリア、日本、ニュージーランド3か国のコラボレーション作品。

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未来の世界だろうか。
宇宙を構成する原子、分子、星の子、時間、場所・・・輪になって交信のようなコーラスを繰り返している。

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ほどなく、その中心に宇宙をつかさどる存在(もしくは宇宙そのもの)が登場。

ビッグバンにより宇宙が誕生し、星たちが誕生した。
地球があり、海があり、浜辺があり、家があった。

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地球上にはさまざまな生き物、人間たちが、確かにそこに存在していた。
植物が生えていた。
貝もいた。
カニやトカゲ、子供たちがいた。

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原子の子と気体の子の叫び。

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そして、昔、人々がいた。
一人の男が鉱山で働いていた。
その惑星の別の遠い場所で、一人の女が、津波によって失った家を思って泣いていた。

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ここで劇は休憩に。現実空間に一度引き戻される。

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3分間の休憩ののち、再び演劇へ。

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津波に飲まれた女を男が助けようとする。
そして、奇跡的にその通りになった。

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違う時空から穴を掘り進んだ男女が交錯する。
男と女は異なる言語で話しているが、お互いに話を理解している。

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場面転換。
政治問題や地球温暖化についての日常の雑談。

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そして、再び未来の世界へ。
かつてあった鉱山、人々の暮らし、論議、危機、電話、会話、日常はすべて消えてしまい、錆が機械を侵食し、崩れて砂と一緒になった。
国も国境も動物も植物もない、ただただ、砂粒たちが広がっているだけ。

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宇宙の象徴が、如来となって登場。

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光明真言を唱えながら、目の前に広がる砂の一粒一粒、苦に生きる衆生を救い、そしてあらゆる御霊(みたま)を成仏せしめようと五色の光明をひろげていく。
(なお、この光明真言は、貞昌院で毎年7月26日に行っている大施餓鬼法要(おせがき)においても「諸仏光明真言灌頂陀羅尼」として お唱えしています)

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そして、最終場面へ。

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All photos by Tetsuya Kameno.


IDIOT SAVANT(演劇) × Belloo Creative(オーストラリア・演劇)
「砂の家」 House in the Dunes

作:Katherine Lyall-Watson
演出:恒十絲 Carolone Dunphy
出演:朱尾尚生 近藤康弘 新井千賀子 平子亜未 玉井沙季 しんえな 小林望 石塚晴日 新堀隼弥 須澤聖樹 本間愛良 Kirk Page他

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■貞昌院本堂で行われた過去の公演記録(IDIOT SAVANT theater company 関連) 

 彼方、蓮台野にて 点描 (2011年の公演記録)
「佯狂( ようきょう )のあとで」review (2012年の公演記録)

投稿者: kameno 日時: 2020年2月17日 21:45

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