バーチャルリアリティ(VR)黎明期

昨年(2016年)は「VR元年」と呼ばれた年でした。
VRとは、バーチャルリアリティ(virtual reality)の意味であり、対象物、物体や、実物ではなけれどもその物の機能としての本質が同様に感じることができる環境を、五感の感覚刺激により作り出す技術のことを言います。
日本語では「仮想現実」と訳されることが多いのですが、この日本語訳ですと、誤解を生むこともあるかもしれません。ここでいうバーチャルとは、「仮想」ではなく、「実質的な」とでも訳したほうが正しいでしょう。

そのVR技術がゲーム業界などを中心に「東京ゲームショウ 2016」や「PSVR」「Oculus Rift」「HTC Vive」などによりある程度確立され身近なものになったのが2016年でした。

今年(2017年)に入ってからはVRはさらに進展し、黎明期を迎えたと感じます。
さて、仮想ということで今年のトピックスを挙げるとしたら次の2つでしょうか。

 


■バーチャルユーチューバーの台頭

昨年、Live2Dによるキャラクター連動の可能性 という記事を書きましたが、Live2Dやunityなどを使って、モーションキャプチャーにより「モデル」をリアルタイムに動かし、そのキャラクターになってユーチューバーとして動画の配信活動を行う架空のキャラクターのことです。

代表格は「キズナアイ」。昨年12月から活動を初め、わずか1年でチャンネル登録者数が100万人を突破しています。(この記事を書いている時点でチャンネル登録者数 1,107,869 人)
「キズナアイ」に続くのが
ミライアカリ」(登録者数 219,920 人)
輝夜月」(登録者数 131,942 人)
バーチャルのじゃロリ狐娘youtuberおじさん」(登録者数 80,181 人)
電脳少女シロ」(登録者数 63,105 人)
といった個性的なキャラクターが次々と誕生しています。
(この中では「電脳少女シロ」が登録数が一番少ないのですが、個人的には今後一番伸びるのではないかと感じます。あくまで個人的な感想です)



■仮想通貨の乱高下

仮想通貨は国による価値の保証を持たない通貨のことです。
その概念は1999年には確立されはじめ、ソーシャルゲームの中で使われはじめ、2009年には仮想通貨という表現が定着しました。
今年は特にビットコイン(bitcoin)を筆頭にさまざまな仮想通貨の人気上昇に伴って、投機的な上昇があった年でした。
日本では、仮想通貨は民法402条第1項及び第2項における通貨に該当しないため、金融商品取引法上の有価証券にあたらないとされてきましたが、昨年(2016年)に法律が改正され、電子マネーと同様に「資金決済に関する法律」の対象となったことが大きな要因です。
かつては、ビットコインの国別取引量では中国が突出して1位でしたが、中国の規制が強まったことと、上記の要因により、今年に入ってからは日本の取引量が大きく伸び、現在では取引量全体の4割ほどを占めています。
仮想通貨は国の垣根を越えて、決済を便利に行うことができるという利点があり、その部分だけをうまく活用すればよいのですが、単なる投機対象として見るのでは、「実態の無さ」ゆえに危険も大きいということを常に心しておく必要があります。
日本の資産がだいぶ仮想通貨に流れているのですが、大丈夫なんでしょうか・・・・・・


 

今年のトピックスとして挙げた上記2つの事例は、真逆の性質を持っています。

バーチャルユーチューバーは、「架空のキャラクター」を視聴する訳ですが、その向こうには「中の人」つまり実体としての「人」が存在します。
逆に、仮想通貨は、「実際に決済に使うことができる」のですが、その向こうには、何の実態もありません。


全く逆の性質をもった「仮想」が来年、どのように展開されていくのか、また、新しい「仮想現実」の仕組みが誕生していくのか、その動向には注目していきたいと思います。


■関連ブログ記事
Live2Dによるキャラクター連動の可能性

投稿者: kameno 日時: 2017年12月27日 00:44

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