罪の名前

昨日、ニコニコ動画およにYoutubeに投稿されたryo(supercell)さんがさんの曲が話題になっています。
投稿された日から見ておりましたが、1晩で10万再生を超え、近いうちに100万再生に達するのではないでしょうか。

なぜ話題になっている(というよりも、ニコニコ動画ではお祭り騒ぎになっている)のかというと、9年前、ボーカロイド・初音ミクのブームを一気に築き上げた第一人者が8年ぶりに楽曲を投稿したからでした。
ボーカロイドが登場して、多くの才能が開花して素晴らしい音楽がたくさん生み出されてきた黎明期の雰囲気がまた戻ってきたということもあります。
そして、それ以上に曲の素晴らしさゆえでしょう。

前置きはどうでもよいので、まだ聴いたことのない方は、まずは投稿された曲をお聴きください。

タイトルは「罪の名前」です。

(ニコニコ動画晩はこちら http://www.nicovideo.jp/watch/sm29021785

 

この登場する人物は主に3人。
(1)主役となるのは容姿に問題を抱える女の子
(2)曲がったことが大嫌いな目の見えない心優しい男の子
(3)影で人の運命を暇つぶしに弄ぶ運命の女神


女の子は生まれたその瞬間に運命の女神に目をつけられます。そして人に見せられないような顔にさせられてしまうのです。
女の子は嘆きます。どうして私は私に産まれてしまったのでしょうかと。

日々疎まれ理不尽に差別される中、女の子は男の子に出会います。男の子は目が見えません。なので女の子がどういう顔なのか全くわかりません。そうしていじめられる女の子をかばい友達になってくれるのです。

女の子はたいそう喜びます。そしていつか願うようになります。この男の子のために、私は普通の女の子になりたいと。
男の子は男の子で、そんな女の子に次第に好意を寄せるようになります。そしてその女の子の気晴らしに少しでもなればいいと白いユリの花を贈ります。

そこでまた現れる運命の女神。これは面白い展開になった、と。
白いユリの花を不吉な黒に染め替えてしまいます。
そしてここで男の子の目を治して女の子の醜い顔を見せたのなら、男の子はいったいどんな顔をするのか。

全ての事象に飽きてしまった女神は残酷なことでしか自分を解き放てないのです。そして魔法をかけます。
男の子の目よ治れと。
ryoさんのあとがき より一部引用。曲の結末は、曲の中および ryoさんのあとがき でご確認ください)



タイトルの「罪の名前」には深い意味が込められていることがわかります。

生まれつき、容姿に問題があるのは、きっと罰なんだ・・・と追いつめられ、周囲かひたすら「罰」を受ける女の子。
ですが、では、女の子の「罪の名前」とはいったい何なのでしょうか。

私たちの普段の生活の中でも、見かけや表面的な浅い理解から無意味な予断や偏見を持ってはいないだろうか。
自分のイメージに合うものは、それを好意的に受け入れるけれども、合わない場合には否定してしいないだろうか。
「名前のない罪」をかけてはいないだろうか。

というように、すべての人が人間らしく生きるという、あたりまえのことですが、なかなか実現できない基本的なメッセージをも含有した内容だと感じます。

 

とにかく多くのメッセージが込められた素晴らしい楽曲なのでご紹介しました。
初音ミク(ボーカロイド)の調声もそうですが、生演奏が生み出す重厚な雰囲気も聴きどころです。
おそらく、歴史的な曲になる(現在進行形)ことでしょう。

 


 

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投稿者: kameno 日時: 2016年6月11日 21:50

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