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銀座のレストランで車椅子に乗るO氏が入店拒否され、その経緯をO氏がtwitterに投稿した件で、レストランに非難が殺到し、さらに逆にO氏の態度が横暴ではないかという論争が起きています。
この件については、お互いのちょっとした「配慮」が欠けていたために起きたことだという印象ですが、実際にその場を見た訳ではなく、当該の状況を詳しく知るわけでもないので、ここではどちらが良い、悪いといったことは述べません。
最近特に感じるのですが、そのような事象が起きると、俄評論家や俄プロ市民のような者による非難の矛先が一点に集中します。
インターネットの社会の悪い側面だと感じます。
さて、そのような論争は置いておいて、貞昌院ではどうか、ということを書いてみます。
(あくまでも「貞昌院では」ということで読み進めてください)
5年ほど前に、ブログ記事 障壁を少しづつ取り払っています で纏めたように、お寺や神社というのは、バリアフリーの観点で見ると、車の入れない急峻な坂道があったり、何百段もの石段を登った先にあったりと、必ずしも参拝客に優しくない場合が多いわけです。
むしろ、わざわざそのような場所に作り、俗の世界との明確な区別をしているともいえます。
しかしながら、近年は特に高齢化の参拝者も増加しており、貞昌院でも、そのような方々に安全に、たやすくお参りしていただくことができるよう、バリアフリー化を進めてきました。
段差を無くしたり、客間を全て椅子にしたり、本堂での参拝についても椅子でお参りいただいています。
また、車椅子を利用される方については、外から車椅子で玄関に入る際に、車輪をタオルで拭いていただくことで廊下や本堂畳もそのまま通っていただけます。
本堂正面での焼香も問題ありません。
これまで何人もの方々もそのようにされてきておりますので、どうぞこれからお参りのかたも遠慮なくお越しください。
事前にお申し出いただく必要はありません。
盲導犬についても、まったく問題ありません。
客殿はもちろん、本堂参拝にも盲導犬を同伴されることが可能です。
日本人の結界に関する考えには独特のものがあります。
結界を結ぶ装置が「縁」。
縁側も、外と内とをつなぐ空間です。
(写真は舞岡公園古民家の縁側。縁側でお茶を飲みながら近所の方々と交流します)
日本人のもつ思想の特長的なものを一つ挙げるとすると、個々を明確に区分せず、このような縁側の要素を持つということがあります。
この縁側の要素により、自と他の境界を曖昧にして他人と接してきました。
それゆえ、明確な自と他の境界での衝突をすることなく、ノンバーバルな表現や、人の心を察する感受性、お互いを尊重し譲り合う精神が育くまれてきました。
縁のような曖昧な境界を持つことができるというためには、それだけ柔軟な精神を有する必要があります。
バリアフリーは、物理的な障壁を取り払うだけではなく、精神的な障壁を取り払うことでもあります。
日本人の育んできた懐の深さ、思いやりのこころを大切にしたいものです。
お知らせです。
6月8日、貞昌院を会場として、傾聴カフェを開催します。
カフェには盲導犬もやってきます。
お寺を会場に盲導犬とのふれあいも行ないますので、お時間がある方は貞昌院にどうぞお越しください。
「傾聴カフェ」
日時 平成25年6月8日(土)午後1:30-3:30
会場 貞昌院(港南区上永谷5-1-3)市営地下鉄 上永谷駅 徒歩5分
参加 無料
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