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下写真は大阪・梅田の光景です。
エスカレーターに乗っている人々が、きれいに片側に並んでいますね。
首都圏と違うのは、それが右側だということ。
なぜ、首都圏は左側で、関西圏は右側なのでしょうか。
また、その境目はどこにあるのでしょうか。
さて、今日のテーマは、エスカレーターを右側、左側ということではなく、もう一歩根源的な「なぜ片側に並んで、もう片側を空けるのか」ということを考えてみます。
そもそも、エスカレーターというのは、その階段を歩くことを想定した設計にはなっていません。
日本エレベータ協会協会では次のように呼びかけています。
■すり抜けは危険です
すり抜けざまに他の利用者や荷物と接触して、思わぬ事故を引き起こすことがあります。
■歩いたり走ったりすると身体のバランスを崩します
バランスを崩して転倒するなど、大きな事故を引き起こすことがあります。また他の利用者を巻き込む恐れもあります。
■ケガなどで、片方の移動手すりにしか、つかまることのできない方もいます
たとえば左手を骨折していて、右手でしか手すりにつかまれない方がいらしたとします。その方はエスカレーターの右側にしか乗れませんが、右あけが慣習となっていたらとても不自由で危険です。
まあ、至極当然なことです。
特に、朝夕のラッシュアワーでも、ほとんどの駅構内のエスカレーターにおいて片側空けする傾向にあります。
エスカレーターの乗口前は、エスカレーターに乗ろうとする方々で溢れます。
エスカレーターを1列で乗ろうが、2列で乗ろうが、エスカレーターの速度は変わりません。
すなわち、片側空けせずに2列で乗れば2倍の人を運ぶことが出来るので、効率的です。
また、前後を詰めてキチキチに乗る状態も緩和されます。
【頭の体操】
長さ50メートルのエスカレーターがあったとします。
エスカレーターの速度を2km/時、歩く人の速度を4km/時とします。
問 エスカレーターを歩く人は、立っている人に比べてとどれだけ早く終点に到達するでしょうか。
さらに言及すると、エスカレーターそのものも、左右均等に荷重がかかることを想定して設計しているはずなので、不均等に荷重がかかったり、歩行ステップのような振動がかかる状態が持続されれば、思わぬ故障の原因になったりエスカレーターの寿命も短くなるでしょう。
何よりも転倒・将棋倒しによる大事故を引き起こす要因になります。
危険をおかしてまでエスカレーターの片側空けをするメリットは何でしょうか。
・急いでいる人がいるかもしれないからその人のために空けておいたほうが良い。
・健康のためには多少なりとも歩いたほうが良い。
このくらいでしょうか。
(他にある場合はご指摘ください)
ほんの僅かの人の個人的なメリットのために、効率的な乗り物を非効率にしたり、場合によっては周囲の人を危険に晒すような習慣は、本当に「マナー」と言っていいものかどうか、疑問です。
この習慣は、大きな事故が起きてからでないと改められないのでしょうか。
同様の事例として高速道路の渋滞問題があります。
一台一台が少しでも速く走ろうとして、速度の調和を乱したり、勝手なペースで走ると、却って全体的な渋滞が波及してしまい到着時刻が遅くなってしまいます。
そのために、「ペースメーカー車」を適当な間隔に配置して、全体の調和を整えると、車はスムーズに流れ、渋滞は軽減するという社会実験の結果があります。
そこで、エスカレーターペースメーカーを自主的に募って「片側空けの空いているところに敢えて立ち止まって乗る」ということを、全国一斉に継続的に行っていけば、このような悪習は無くなっていくかもしれません。
ただ、「片側空けるもんだ!」と先入観を持っている人たちが、走る権利があるとばかりに押して来たり・・ということはあるでしょうから、そういう時こそマスコミの出番です。
※今日のブログでは「片側空けが悪習である」という前提で論を進めましたが、「片側空けは当然のマナー」だと主張する方のご意見があれば是非お寄せください。
かつて首都圏のエスカレーターには「急ぐ人のために右側を空けて下さい」という標示があったような…。「片側空け」が主流になったのは、この標示が登場した時期からだと認識しています。ちなみに鹿児島では2列に立ち、歩く人はほとんどいません。
ところで、動く歩道はどうなんでしょうね?
投稿者 Seiji | 2013年2月17日 20:26
seijiさん
九州では片側空けの習慣は無いみたいですね。
この習慣はマスコミで主導だったように記憶しています。その頃から駅のアナウンスや掲示も始まって悪習を定着させることを後押ししたのではないかと思います。
桜木町や羽田空港の動く歩道も片側を空けていますね。
投稿者 kameno | 2013年2月17日 22:22