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現在、サイパンには2つの仏教系寺院があります。
そのうちの1つは日本の超宗派による寺院 サイパン国際礼拝堂 南溟堂です。
移動研修の一つとして、南溟堂への拝登が行程の中に組み込まれています。
南溟堂は、静岡県出身の国際布教師・秋田新隆老師が21年前に発願、建立のための資金の殆どを負担され、さらに戦没関係者、岐阜県仏教会、信徒会の協力を得て5年の年月を費やし、平成2年10月にガラパンの砂糖王公園(シュガーキングパーク)に一角に開創された超宗派の寺院です。曹洞宗の僧侶、秋田新隆老師ご夫妻により護られておりましたが、このたび平成23年11月19日を以って退任され、日本に帰国されることとなりました。
東京宗務所の役職員、研修旅行参加者により拝登およびサイパン島戦死病没者諸精霊、中部太平洋地区戦没者諸精霊、戦役殉難諸精霊への慰霊法要を営み、その後秋田老師よりお話をいただきました。
秋田老師よりいただいた提言の中には
・無住の状態になってしまうので、サイパンに住して南溟堂を護持する後継者を求めている。
・ガラパン地区には梅花大会や講習会を開催できる公共のホールが幾つかある。ホテルも充実しているので是非サイパンを使って欲しい。
・サイパンは、日本から一番近い英語圏の島である。日本人学校は週一回だけ使っていてそれ以外は空いているので、中高生が短期留学や修学旅行に利用するには最適。もっと若い日本人にたくさん来て欲しい。
等々、具体的で切実な願いもいただきました。
近年は日本人観光客の減少で、サイパンへの航空便も減少傾向にあり、成田からはデルタ航空の757機による運行しかありません。
その反面、中国や韓国からの観光客の増加が目立ちます。
かつて数万人もの日本人が暮らしていたサイパン、そして最大の激戦地となった場所という、日本人にとってはかけがえのない大切な場所です。
私も秋田老師と同様、多くの日本人、特に教育者や学生、僧侶、寺院関係者が訪問すべき場所であると感じます。
マリアナ諸島の主要4島のうち、「グアム」と「サイパン、テニアン、ロタ」は同じようで全く性格が異なっています。
グアムは自治権のあるアメリカ準州ですが、「サイパン、テニアン、ロタ」は米国主権下における北マリアナ自治政府による内政を行い、外交・防衛等を米国に委ねるという形式をとっています。
従って、入国に関しても「サイパン、テニアン、ロタ」に関しては中国、韓国からもビザ無しで入国が可能でした。
しかし、2009年11月28日より北マリアナ諸島連邦に米国移民法が適用され、2年間の猶予期間を以って、今年11月28日よりアジア系の移民の状況ががらりと変わる(つまり中国、韓国、フィリピン系の方々が帰国せざるを得ない)ことが予想されます。
また、アメリカと同様の入国管理が適用されるようになると、日本を除く多くのアジアの国がサイパン渡航に際しビザが必要になります。
そうなると、サイパンやテニアンの観光産業への衰退は免れません。
「恩を返すとき」 北マリアナ・ロタ島で被災者受け入れへ のように、マリアナ諸島の住民は日本人の先人から多くのことを学び、多大なる恩恵と教訓を受けたと感じ、日本に対してとても友好的な感情を持っています。
だからこそ、かつての日本の戦跡は現地の住民たちによって維持されています。
移民法が改正された今、まさに日本の旅行者増加を行う意味のある時期であるといえます。
サイパンにあるもう1つの寺院は、韓国曹渓宗系の吉祥寺です。
バンザイクリフに程近いマッピ山の麓にあります。
昨年訪れた際には住職さん不在でしたが、今回は住職さんがいらっしゃいましたので拝登させていただきました。
昨年よりも施設が充実していました。
近くにはバンザイクリフで命を落とした韓国人慰霊碑もあり、多くの韓国人の方が参拝され、また坐禅会も行われています。