サイパン国際礼拝堂南溟堂拝登

今回の旅行はSOTO禅インターナショナル(SZI)主催により行なわれました。
昨年末の元国際布教師OB会・SZIに集まったメンバーの、次はサイパン結集でという一言が発端となり実現に至ったものです。
目的の1つは、サイパン国際礼拝堂(以下南溟堂)(Nanmeido: The Saipan International House of Prayer)への拝登でありました。


南溟堂は、静岡県出身の国際布教師・秋田新隆老師が20年前に発願、建立のための資金の殆どを負担され、さらに戦没関係者、岐阜県仏教会、信徒会の協力を得て5年の年月を費やし開創された超宗派の寺院です。


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平成2年10月に落慶法要がニューヨーク、シアトル、岐阜、愛知、静岡県から400人もの参列により盛大に厳修されました。

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大導師は岐阜県仏教会会長・正眼寺住職・谷耕月老師、導師は秋田老師とニューヨーク大菩薩禅堂・嶋野栄道老師が勤められました。
(余談ですが、先週は嶋野老師をお招きしてSZI主催の講演会を開催させていただいております。これもご縁だと感じます)

昨年2月まで秋田老師はハワイ・ヒロ大正寺の住職として着任されており、任期を終えられ、南溟堂を護持するためご夫妻でサイパンに移られました。


地元の新聞『Saipan Tribune』のインタビューに師は「南溟堂はサイパン市長事務所により管理されていたものの何年も無住だった。これからは戦没された方々の、アメリカ人、日本人、現地の方の区別なく、み霊を慰めるために寺を護持することが私の義務であると思う」「私は、生涯このお寺を護持するためにサイパンに居ることを決めた」と答えられています。

Japanese who built House of Prayer returns to Saipan『Saipan Tribune』

 
 


SZI会長導師により拝登諷経並びに慰霊法要を営ませていただきました。


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天徳巍々 慧日遠照三千界
玄猷耿々 慈光遍及万億年
 仰冀洪霊 俯賜臨照
上来 諷誦経呪 所集功徳 

サイパン島戦死病没者諸精霊
中部太平洋地区戦没者諸精霊
戦役殉難諸精霊

回向報地荘厳
伏願
万邦和楽 万難消滅 火盗潜消 所縁吉祥

 


法要後、秋田老師に由緒縁起をお話いただきました。

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暑い南の島で水も思うように飲めないまま散華した軍人、民間人、原住民、また闘いに明け暮れた相手国の人々・・・・サイパンには慰霊碑は数多く建てられているけれど、どれも野ざらしとなっています。
せめて屋根のついたお堂でゆっくり水を飲んで貰い、ゆっくり供養したい・・・秋田老師は南溟堂発願の動機を静かに語っておられました。

南溟堂の本尊は慈母観音。左右に梅花観音、阿弥陀如来をお祀りしています。20人ほどが坐ることができる坐禅単もあります。
本堂天井の中心からは大梵鐘が吊り下げられています。
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この大梵鐘は岐阜県仏教会の呼びかけにより造られ、船でサイパンに運ばれてきました。
サイパンの地から平和を願う佛声は、世界に向けて響き渡っています。


拝敷の上に梵鐘があるという一寸珍しい光景ですが、屋外に梵鐘を置くと悪戯の被害にあってしまうためこのような構造になっているということです。

実際、秋田老師がハワイに居られて住職不在の時期には心無い何者かに本堂のガラスが壊され進入され、仏具の一部(仏像の光背、獅子吼など)を破壊されてしまいました。
現在も傷跡が残されています。
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秋田老師夫妻を囲んで・・・

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南溟堂は砂糖王公園の中にありますが、一番奥に位置するためにツアーのルートには入っていません。

 「訪問者、旅行者、地元住人も、毎日開いている寺に参詣して祈りを捧げてくださるようお願いしたい」(秋田老師のことばより)

サイパンへ旅行される方は、是非南溟堂へお参りされることをお勧めします。


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(上の地図ではThe Saipan International House of Prayerと表記されています)

投稿者: kameno 日時: 2010年2月28日 12:05

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