今回の宗務所主催檀信徒研修旅行は雲仙温泉に宿泊する行程としました。
雲仙一帯は国立公園第1号であることから分るとおり、火山群によるダイナミックな地形と、豊かな温泉地、はっきりとした四季の変化が楽しめる日本有数の観光地です。
歴史あるゴルフ場もありますし、由緒あるホテルには、国内外から数多くの著名人も訪れています。
雲仙温泉街は、点在する「地獄」の間近の位置にあります。
旅館の中にまで硫黄の匂いが漂い、窓からはダイナミックな水蒸気を望むことができます。
掛け流しの温泉は濃厚な乳白色の「硫酸塩温泉」でした。
旅館の庭の池・・・・ではなく、これも温泉源。
窓の外は「雲仙地獄」の入口です。
しかし、このような豊かな温泉も、20年前の雲仙普賢岳大噴火では大打撃を受けました。
それは、火山による直接的な被害ではなく、「風評被害」によるものでした。
雲仙普賢岳の大噴火による火砕流、土石流は火山の東側の島原地区には災害をもたらしましたが、西側に位置する雲仙温泉にはほとんど噴火の影響や被害はありませんでした。
しかし、「風評」は無情です。
あたかも雲仙地方全体が壊滅的被害を受けて、近づくことのできない危険な場所であるという印象が日本全体に植えつけられてしまったのです。
雲仙を訪れた観光客は、噴火の直前の1990年には約550万人、うち宿泊者は138万人とされていましたが、噴火が始まるとともにパッタリと落ち込み、徐々に回復基調にあるものの、2008年は観光客が388万人、宿泊者は67万人に留まっています。
雲仙温泉はとても良い温泉でした。
そして、宿泊した宮崎旅館の「もてなし」のこころも満喫しました。
風評被害の解消までには20年の月日を経てもまだ不十分なのかもしれませんが、「正しいものの見方」が広まっていくことを切に願っています。