タダほど高いものは無い


携帯ゲームGREE「無料」CM取りやめ 消費者団体「アイテム有料で法抵触」申し入れで

一律に「無料」の音声が流れていた携帯電話向けゲームサイト「GREE(グリー)」のテレビCMについて、運営会社の「グリー」(東京都)が一部のCMで、「無料」音声を取りやめていたことが20日、分かった。GREEのCMをめぐっては「無料で利用できる範囲は限定されており、景品表示法に抵触する」として消費者団体「消費者支援機構関西」(大阪市)が10月、「無料」音声の停止を申し入れていた。
CM総合研究所によると、10月までの1年間でGREEのCM回数(関東地域)は、全業種中最多の約2万4600回。一方、ライバルサイトの「モバゲータウン」も3位(約1万回)につけ、業界内のCM合戦が過熱している。
グリーによると、全国的にテレビCMを変更したのは今月に入ってから。プレー開始時には利用料がかからないが、進めていくうちに有料の道具(アイテム)などが登場するゲームについて順次、「無料です」という音声をなくしている。それ以外のゲームのCMでは、これまで通り「無料」音声を流している。
従来のCMでも「一部コンテンツは有料」という表示をしていることなどから、グリーは「違法性があったとは考えていない」(広報担当者)としながら、消費者に、より適切な理解を促す必要があると判断した。今回の変更については「社内検証の結果」で、消費者団体の指摘とは「関係ない」としている。
急成長する携帯向けゲーム市場をめぐっては、GREEとモバゲーがシェアをほぼ二分する一方で、モバゲー運営会社の「ディー・エヌ・エー(DeNA)」が今月8日、ゲームソフト開発業者の「囲い込み」をした独占禁止法違反の疑いで、公正取引委員会の立ち入り検査を受けるなど、熾烈(しれつ)なシェア争いの弊害が問題視されている。
(産経新聞 2010.12.21)



ようやく・・・といった感がありますが、テレビのCMで耳にタコができるくらい繰り返し流されていたGREEの「無料です」という音声案内がついに景品表示法に抵触するということで、中止になるようです。
モバゲーのCMでも同じような流れになるでしょう。
ただ単に「無料です」を中止するだけでなく、「初めは無料ですが、ゲームを進めるためには有料となります」と案内することを義務付けるべきだと感じます。


それにしても、GREE、モバゲーの勢いたるや凄まじいものがあります。

2010年7月末の会員数は、
■GREE 2,125万人
■mixi 2,102万人
■モバゲー 2,048万人

それぞれ2千万人を超え、GREEが一歩抜きん出て国内最大のSNSとなっています。

ページビューの数を見ると、同じ2010年7月末時点で

■GREE パソコン経由 4億PV、携帯経由 354憶PV
■mixi パソコン経由 52億PV、携帯経由 245憶PV
■モバゲー パソコン経由 0PV 、携帯経由 740億PV

圧倒的に携帯端末経由での利用が多いですね。
パソコン経由が多いmixiでも、携帯経由のほうが圧倒的に上回っています。


さらにその利益構造をみると驚愕の事実がわかります。

2010年4-6月期
■GREE 売上高 109憶(広告売上18%、課金売上82%)、営業利益 53憶、利益率 48.4%
■mixi 売上高 40憶(広告売上85%、課金売上15%)、営業利益 11憶、利益率 26.8%
■モバゲー 売上高 242憶(広告売上9%、課金売上91%)、営業利益 120憶、利益率 49.6%


GREE、モバゲー共に売上高の多さもさることながら、その高利益率に着目です。
世の中に様々な業種あれど、これだけ効率的に稼ぐことのできる業種はそうそう無いですよ。

さらに売上高の内訳を見ていくとGREE、モバゲー共に課金売上げがほとんどです。

 


実際に利用者がどのようなSNSソーシャルゲームをどのように利用しているかという利用実態調査結果をグラフにしてみました。

SNSソーシャルゲーム利用実態調査(1)

調査概要
・調査手法: モバイルリサーチ
・調査地域: 全国・調査対象: 13~59歳の男女(モッピーモニター)
:SNSのソーシャルゲームを利用している人・調査期間: 2010/8/24
・有効回答数: 1,063サンプル(年代内訳:10代 19.8%、20代 20.3%、30代 20.0%、40代 20.0%、50代 19.9%)

 

sns_kakin
ソーシャルゲーム利用者のうち、課金をしないでゲームをしている割合は多いのですが、少額の課金をして利用している割合も意外に多いことがわかります。また、5千円以上お金をかけている割合も少なからずありますね。
塵も積もれば山となる。会員数を乗じてみると数十億もの莫大な課金金額となるわけです。


SNSソーシャルゲーム利用者も、業界のビジネスモデル
■一般広告収入(広告代理店を通じて販売される広告枠)
■成果報酬型広告収入(アフィリエイト)
■有料会員料金(GREEプラス、GREEプレミアムなど)
■コンテンツ売上(アバターの着せ替えアイテム、ゲームの技、アイテム販売など)

それぞれがどのような仕組みになっているかをよく学んでから利用するべきであると思いますし、その判断がまだ出来ない子ども相手に「無料釣りゲームで利用者を釣り上げる」ような状況も好ましくないでしょう。


さらに、SNSソーシャルゲームにはユーザー間の直接コンタクト(出会い系など)の問題もあり、近年急速な伸びを示しているソーシャルゲーム市場の動向には注意していかなければならないと思います。

投稿者: kameno 日時: 2010年12月22日 10:48

コメント: タダほど高いものは無い

> kameno先生

これで、「無料」だと思うのは難しいですね。早期の適切な是正を期待したいところです。

投稿者 tenjin95 | 2010年12月22日 14:03

tenjin95様
ユーザーが納得したうえで利用しているのならまだしも、いつの間にか課金されたり、未成年の場合保護者が知らないことであったり、問題は多いですね。
SNSソーシャルゲーム以外でも、無料を謳いながら実は無料ではないという販売方法を取る事例はたくさんあります。
モラルが求められると同時に、消費者側も今まで以上に注意する必要がありそうです。

投稿者 kameno | 2010年12月22日 22:24

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