鶴岡八幡宮大銀杏の復活を願う

鶴岡八幡宮:大銀杏倒れる…樹齢千年、実朝暗殺の舞台

10日午前4時40分ごろ、神奈川県鎌倉市雪ノ下の鶴岡八幡宮(吉田茂穂宮司)の本殿前にある県指定天然記念物「大(おお)銀杏(いちょう)」が、根元付近から折れて倒れているのを警備員が見つけた。9日夕から続いた強風が原因とみられる。けが人はなかった。大銀杏は鎌倉幕府三代将軍、源実朝(さねとも)の暗殺事件の「隠れ銀杏」として知られる。同八幡宮関係者は「あり得ないことだ」とぼうぜんとしている。
八幡宮によると、大銀杏は幹回り6.8メートル、高さ約30メートルで樹齢は1000年とされる。午前4時15分ごろ、当直の警備員が3回ほど「ドンドン」という音を聞いた。警備員は「積もった雪が落ちる音だと思った」という。その後、落雷のような音がしたため、様子を見に行くと大銀杏が倒れていた。市消防本部によると、当時の最大瞬間風速は12メートルだった。
大銀杏をみた東京農業大の浜野周泰教授(造園樹木学)は、2月以降の雨で地盤が緩んでいたことに加え、9日夕からの強風が原因と指摘。雪まじりの風は、通常の数倍の力がかかるとされ、傾きを支えられずに折れたとみられる。土壌が薄い石段脇の斜面に立っていたことも影響したらしい。浜野教授は「根元の状態から回復は不可能」とのコメントを出した。
八幡宮では09年末から保全に向けた検討を始め、浜野教授が診断したが、生育に問題はなかった。
八幡宮側は「吉田宮司はコメントを出せる状況ではない」と話し、午前5時に駆け付けたという神職も「あり得ないことだ。驚いている」と動揺を隠さない。倒れた大銀杏に米をまいたり、酒を供える神職もいた。
大銀杏は、同八幡宮のシンボル的存在で、1219(建保7)年1月、鎌倉幕府三代将軍、源実朝が僧侶の公暁(くぎょう)に暗殺された際、公暁が潜んでいた「隠れ銀杏」とも呼ばれる。1955年に県の天然記念物に指定された。
毎日新聞 2010/3/10


先日吹き荒れた雪混じりの暴風によって、鶴岡八幡宮の大銀杏が倒れてしまいました。
「源頼朝の挙兵」「鎌倉幕府の成立」「静御前の舞」「道元禅師の鎌倉入り」「実朝惨殺」・・・・それぞれを見守ってきたであろう歴史のある大銀杏ですし、個人的にも馴染みのあった木だけにショッキングなニュースでした。
建物への被害や怪我人が出なかったことは幸いでした。


昨日ちょうど近くへ行く用事があったので、帰りに鶴岡八幡宮に立ち寄ってきました。

平日にもかかわらずたくさんの方が参拝に訪れています。
銀杏を心配して来られた方も多いようです。

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本殿に続く階段は閉鎖され、銀杏の周りがシートで囲われていました。
手前にある柵の外側から見ることは出来ました。


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幹の中に大きく空いている空洞が、銀杏の老齢化を物語っています。


本殿のある石段の上が一部開放されており、そこからも見下ろすことが可能です。
20人ほどの列が出来ていました。
携帯に収める人も多かったけど、明治神宮の清正井みたいな感覚もあるのでしょうか。


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この日は、倒壊した幹を保存し、枝の部分を切断する作業が行なわれていました。
傍らでは神職の方が見守っており、お神酒を捧げる姿もありました。


松沢県知事も視察に来られたようです。
鎌倉市、神奈川県教育委員会、鶴岡八幡宮では、ご神木の保存と活用のあり方を話し合う検討組織を設置し、可能な限り再生させ次世代の銀杏を育てる方向のようです。

具体的には
・神奈川県自然環境保全センターでご神木のクローン苗を育てる
・幹の下部を約4メートル切り取り、枝を払い地面に植えてみる
・残った根からのヒコバエが生えるのを見守る

という何通りかの方法を同時進行で試みるようです。


銀杏の生長は意外に早いものです。
再び鶴岡八幡宮のシンボルとして、ご神木として復活することを願って止みません。
 

※なお、土日は参拝客がかなり多くなると思います。
※くれぐれも立ち入り禁止のエリアには入らないよう心がけたいものです。


追伸

グラビアアイドル・東原亜希さんのデスノート伝説の1つとして、この件が噂されているようです。
偶然とは恐ろしいものです。

投稿者: kameno 日時: 2010年3月13日 06:16

コメント: 鶴岡八幡宮大銀杏の復活を願う

> kameno先生

拙寺でも8年ほど前に大雪の影響で、樹齢400年以上の杉やヒバが数本倒れました。師匠は、長年の歴代住職が守ってきた木が倒れてしまったことを非常に嘆いており、すぐ後に亡くなってしまいました。

しかし、その後、行ったことは同じ場所に、同じ木の実生を植えておきました。多分、400年後には同じ大きさの木になっていることでしょう。

投稿者 tenjin95 | 2010年3月13日 09:43

tenjin95様
雪の重みは相当なものになるようですね。
永谷天満宮でも数十年前に御神木の杉が倒れてしまったことがあります。歴史ある木が倒れてしまうと何だかぽっかり穴が開いてしまったような感じがしますね。
新しい実生が順調に成長いたしますことを願います。

投稿者 kameno | 2010年3月13日 22:28

kameno様

 ニュースで見ました。樹齢千年のご神木が一夜にして倒れたと聞いてびっくり何か気を付けなければいけないのかなーなんて思いました。当山の銀杏も樹齢何年か分かりませんが隣接の学校を建て直すとき根を切られたのか銀杏が小さくなりました。12日はお団子作り、いつもお昼ご飯は混ぜご飯です。今年はなぜか銀杏ご飯と決めていました。
大銀杏を偲び25人で美味しく頂きました。
ひこばえが育つことを心から願います。

投稿者 ゼラニウム | 2010年3月14日 10:19

ゼラニウム様
寺社の境内に銀杏が植えられていることが多いですね。
やはり防火の意味合いが強いのでしょうか。
木は地上に生えているのと同じ分だけ地下に伸びているといいます。根が切られてしまったらその分勢いが無くなるということも当然ですね。
樹木を守っていくということは大変なことですが、大切なことでもあります。
お団子づくり、お疲れ様でした。

投稿者 kameno | 2010年3月14日 20:21

> kameno先生

その後、農林業関係者で知り合いのブロガーさんに教えていただいたのですが、どうやらこの樹、樹齢1000年というのは「あり得ない」ことだそうで、しかも、輪切りにしてその辺に置いてしまうと、そこから「本当の樹齢」が分かるということで、再生を目指すそうです。樹の専門家から見ると、このイチョウ、せいぜい樹齢3?400年とのこと・・・

投稿者 tenjin95 | 2010年3月15日 08:04

tenjin95様
>樹齢1000年というのは「あり得ない」ことだそうで

まあ、このあたりは仏像の行基伝説のようなものでしょうね・・・
地元では、そもそも仮に1000年だったとしても、鎌倉時代には幹廻りが相当細く隠れていることなど出来なかっただろうという冷静な声もありました。

銀杏はとても成長が早く、100年くらい経過すればあの位の背丈になりますし、幹廻りや乳瘤も300年ほどで堂々としたものになるようです。
実朝暗殺の舞台という夢は年輪による樹齢測定という「現実」の前に儚くも消えましたが、見なかったことにするか、もしかするとこの木は実朝暗殺の木の二代目かもしれないということにしておきたいものです。
となれば、次世代の銀杏も思ったよりも早く再生されそうです。

投稿者 kameno | 2010年3月15日 08:17

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