« モンゴルの植林地を訪ねて | 最新記事 | 幸せって何だろう »
GNCモンゴルの植林エリアに向かう途中で、心を痛める光景を眼にしました。
広大な土地に植えられた膨大な数のアカマツの苗木が茶色に変色してしまっています。
枯れてしまっているのです。
この場所には、GNC以外の別の団体が植樹していったそうです。
その植樹方法は5年生程度のある程度成長した苗木を、個々に穴を掘り埋めていくというものでした。
森林・動物センター長ジャムスランさん曰く、この地にこれほど大きな苗木を植えるためには灌漑などの設備がないと無理であり、その管理ができない場合にはこのような植え方をしては絶対にいけないということです。
対し、GNCの植樹エリアを比較してみましょう。
このように、きちんと掘り込んだ溝の中に二年生程度の苗木を植樹しています。
植林に関しては、潅漑や農薬などなど、土地に負担のかかる方法は可能な限り避け、人力を用いる平易な方法により全ての人々が作業に参加出来るよう考えられています。
手間隙かかる植樹方法でありますが、歴然とした結果として現れます。
5年経てば上の写真ほどに成長しますし、10年もすれば沢山の松ぼっくりを実らせます。
当地における植林活動は、単に「木を植える」ということだけではなく、「木を植える人を育てる」という重要な役割も担っていることが感じられました。
森林の減少により土地保水力の低下、森林に当たる強風など、森林に悪影響を与える要素は増大し、負のスパイラルが発生してしまいます。
逆に、植林を行うことの意義を列挙してみると
・土地の保水力、川の水量が増え、豊かな土地となる
・森林育成や農作物栽培の障壁である風を防ぐ役割を果たす
・防砂林の役割を果たし、砂漠化の進行を防ぐ
・地域住民の参加により、雇用機会拡大の一助となる
・環境教育を体験を通して広めることにより、森林大切さを伝えることができる
・森林を育てる人材を育成することにより、持続可能な森林保護環境を構築できる
・違法伐採や森林火災を減少させることができる
などなど。
自分たちの世代ではなく、次世代、その次の世代まで視野に入れた活動でなければならないのです。
目先のことばかりに捕らわれて、「植樹をした」という行為にだけ自己満足して終わってしまうと冒頭のような結果をもたらしてしまうのでしょう。
GNCでは、村内中心部の温室及び郊外において常駐の技術者と臨時職員により苗木の育成とともに村人や現地を視察された人々に対する環境教育、勉強会を定期的に行っているとのことです。
きっと、日常何気なく見過ごされている光景を見ても異なる感じ方ができる人材が育っていくことでしょう。
(左)ダルハンにある木材ストックヤード (右)ウランバートル市内の石炭火力発電所
SOTO禅インターナショナルでの植樹支援はまだまだ始まったばかりですが、これからもずっと活動を共にしていきたいものです。
植林を行うということは佛種を蒔くということにも通じるのですね。