一本の塔婆で一本の苗木がそだちます

私たちの身の回りにはたくさんの木材製品があります。
その多くは海外から輸入されています。

日本は、米国、中国に次いで世界でも有数の木材輸入国です。
(丸太輸入量に限ると、日本は断トツで世界一位です)

その輸入相手国は
アメリカ、カナダ、ロシア、マレーシア、インドネシア、オーストラリア、チリ、パプアニューギニアなどの太平洋沿岸各国が中心となっています。

対し、国内の林業について見てみると
国土の66%を占める森林面積を誇る日本ではありますが、1960年の木材輸入自由化以降、木材自給率は減少を続け、自由化以前は 86.7%だった自給率は 2005年には20.0%と激減しています。
このため、国内の木材生産量は約3分の1にまで減少し、林業就業者数に至っては約6分の1に減少し、しかも高齢化が急速に進行しています。

我が国では、国策として、戦後にスギやヒノキなど針葉樹の大規模植林が行われました。
しかし、その膨大な面積を誇る人工林も、先に述べた国内産木材需要の激減により、下草刈りや間伐、枝打ちなどの維持管理すら、ままならない状況となっています。
そのため、材木としての商品価値が失われてしまうという悪循環が発生しています。

木材の消費は、必ずしも環境に悪影響を与えるわけではありません。
適切な箇所から適切な方法で供給されることにより、木材資源は持続可能なサイクルで循環していくことが可能となります。

日本の木材需要は安さと安定性という経済的判断のみにより、安い外材を大量に消費する構造となっています。
しかし、政策面から、あるいは消費者一人ひとりが意識をもち、国内産の木材・間伐材を積極的に利用する方向に転換していくことにより、国内林業が復興され、ひいては海外で無秩序に伐採される森林面積を減少させることが可能です。

森林をとりまく状況を分かりやすいデータで解説してるサイトをご紹介します。
併せてご紹介します。
 ⇒ みんなの森
 


さて、寺院では、本堂や庫裏などの寺院建築物をはじめ、多くの木材を消費します。
また、法要で塔婆供養を行うなど、日常的に木材を利用する機会も多くあります。
そこで私たちは何ができるのか。

その具体的方策について、SOTO禅インターナショナルでは、スタッフ皆で考え、一つの事業を立ち上げました。
その名も

「塔婆供養で植林支援」 
一本の塔婆で一本の苗木がそだちます
touba.gif



地球環境の変動は、私たちの生活に深刻な影響を及ぼしはじめています。かつての大量生産、大量消費、大量廃棄という生活スタイルの見直しや、環境問題に対する関心も高まってきました。卒塔婆は貴重な自然資源である木材を使用して作られています。しかし、適度な木材の利用は逆に森林を守ることもあります。さらに新たな苗木を植え、育てていくことも必要です。
そこで、SOTO禅インターナショナル(SZI)は「塔婆供養で植林支援」を提案します。仕組みは簡単です。ご寺院様で使われる卒塔婆の本数に合わせて、一本当たり30円の環境義捐金を専用の郵便振替用紙を使ってSZIにお送り下さい。
SZIからは、その本数分の「塔婆供養で植林支援シール」と掲示用のポスターを御寺院様にお届けいたします。
各御寺院様におかれましては、法要の際に「卒塔婆」と一緒に「塔婆供養で植林支援シール」を施主様にお渡し下さい。
なお、環境義捐金はNPOを通じてシール1枚当たり一本の植林に役立てられます。
一人ひとりができることからやっていこう。── それが「塔婆供養で植林支援」というグリーン・プランの実践です。

 


動き出したばかりのプロジェクトですが、まずは小さな一歩から歩みを進めて行きたいと考えています。

投稿者: kameno 日時: 2008年5月10日 10:20

コメント: 一本の塔婆で一本の苗木がそだちます

ここではお初にお目にかかりますm(__)m

「叢林@Net」の堂頭和尚(管理人)と申します。

貴ログをいつも拝見させて頂き、日夜參究を深めております。

実は、貴ログの今回の記事に絡み、當山のブログにてSZIの活動を紹介させて頂きました。

一応リンクを貼らせて頂いた手前、ご報告申し上げます。

記事の詳細等はTBさせて頂きますので、記事自体のアップや内容等に差し支えがある場合にはご一報頂きたく存じます。

記事の訂正・削除等も含め、貴師の意向に応じて対応させて頂くつもりです。

同じ宗侶として、貴師並びに貴会の活動には共感するところが多々ございます。

いずれまた機会がありましたら勉強させて頂くつもりです。

まずは、取り急ぎご報告まで。

投稿者 叢林@Net | 2008年5月11日 18:05

叢林@Net堂頭和尚様
いつもお世話になっております。
また、この度はSZIの活動を取上げて戴きましてありがとうございます。この上ない光栄に存じます。
一つひとつの活動は小さなものかもしれませんが、それが繋がり広がっていくことにより、効果は表れていくものと思います。
また、近いうちに当会会報や当ブログで報告を行いたいと存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

※記事中でご紹介いたしましたシンボルマークのデザインもSZIスタッフの仲間により作成したものです。

投稿者 kameno | 2008年5月11日 20:57

ご無沙汰しています。菩提寺で、以前、葬儀や法事の際に出た割り箸を洗って、製紙業者に出す事をしていました。割り箸3膳でA4のコピー用紙一枚に生まれ変わるそうです。割り箸のリサイクルは結構取り組んでいる団体が多いようですね。
お塔婆やご祈祷札は木で出来ています。魂抜きをして専門の業者に出すのが良いかも知れませんね。お焚きあげで燃やしてしまうとダイオキシンの原因にもなりますから・・・

投稿者 天真 | 2008年5月15日 16:53

天真さん
コメントありがとうございます。
塔婆や祈祷札、魂抜きをしたあとの処理についてはなかなか難しいものがありますね。
木材チップにするとか、バイオマスの原料にするとか・・・理想論はいくらでも考えられますが、現実はなかなかそうも行かないですね。
今度考えていることを提言をしてみようと思います。

投稿者 kameno | 2008年5月16日 00:09

はじめまして。広島県の日蓮宗では間伐材による塔婆の利用運動をしています。昨夏より始めて1万5千本の実績ですが、ぼつぼつ拡がってくれればと願っています。貴会でもご検討のほどを。

投稿者 たのさん | 2008年6月27日 15:28

たのさんさん
間伐材での塔婆というのは良いですね。当会でも、植林支援が軌道に乗った段階で、塔婆の材料、塔婆の抜魂後の処理について持続可能なシステムにしたいと考えております。
具体的に何処の間伐材を利用しているのか、そのあたりをお教え願えないでしょうか。
相互に協力していくことによって、運動がさらに広がっていくかもしれないですね。

投稿者 kameno | 2008年6月28日 06:59

早速のお返事ありがとうございます。当地では三次地方森林組合の協力を得て、本来は山に放置される間伐材を塔婆用に処理してもらっています。間伐までは税金が投入されますが、里に下ろすと即、産廃になるため山に放置されるそうです。放置自体は土砂流出に少しは有効だそうですが、里で有効利用されるのが本来でしょう。
また、ご存知のように塔婆製造には乾燥作業がなかなかハードなのですが、地元の障害者施設(出来る仕事を探しておられます)が乾燥作業を引き受けてくださってます。

投稿者 たのさん | 2008年6月28日 16:57

たのさんさん
塔婆製造の乾燥工程にも地元の施設の方にいご協力いただいているのですね。地域産業の活性化にも繋がりますし、素晴らしい取組みだと思います。
需給バランスの関係をうまくとりながら、このような仕組みが全国的な取り組みに広がって行くといいですね。
関東地方でも多摩地方に塔婆業者があるのですが、まだ具体的に間伐材の活用を行うところまでいっていないのが残念です。

投稿者 kameno | 2008年6月28日 23:36

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