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ルネサンスの三大発明の一つと言われる活版印刷(あと二つ羅針盤、火薬)ですが、東洋ではルネサンスよりずっと以前に活字を用いた印刷が行われていました。
例えば11世紀の工人畢昇により発明された回転活字台によって印刷が行われていたようです。
明確なものでは、高麗の『詳定礼文』、現存する書物では高麗末の1377年頃、清州の興徳寺において印刷された『白雲和尚抄録仏祖直指心体要節』などがあります。
活版印刷の発明者とされるグーテンベルクの偉業は、それまでに培われてきた印刷技術をシステム化したことに大きな意義があります。
書籍は、かつては社会のごく一部の上流階層のものでありましたが、活版印刷によりそれ以前とは比較にならないほど安価かつ手軽に印刷できるようになったことにより書籍の普及は目覚しく、一般へと流布し、社会に大きな影響力を持ち始めました。
そのような活版印刷も、現在ではその姿をみることは殆んど無くなってしまいました。
コンピュータによるデジタル製版が可能になり、手間隙のかかる活版印刷は絶滅に近い状態です。
活版印刷を行うということは、単純に文字を文面どおりに並べるだけでも大変です。
一つひとつの活字を棚から探し出し、拾っていって綺麗に揃えることですら熟練を要します。
ましてや、日本語は何千種類もの活字があり、さらに字体、ポイント…扱う活字が増えるにしたがってそれを管理し、不足があれば活字を補完する必要があり、印刷段階そのものよりも、それ手前の工程において、大量の資材と人手が必要です。
さらに、個人レベルでの印刷が手軽にできるようになったため、印刷業界全体における経営も良好な環境にあるわけではありません。
今日ご紹介した活版印刷の写真は、いつもお世話になっている印刷会社に残る貴重な活版の機械です。
エントリータイトルは、「時代とともに消え行くもの」としましたが、その中で、元気に活版を守る印刷会社があることをご紹介させていただきました。
活版印刷には、デジタル印刷には無い人間味と温かさがあります。
いつまでも存続していくことを願います。
教区の出版物『生きる力』は、ここの印刷会社にお願いしています。
まもなく編集会議が行われます。
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