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曹洞宗においては、仏両祖のみ教えを基本に、深く時代を見極め、「宗門に何が求められているのか、何をなすべきか」を熟慮し、布教綱領「まごころに生きる」の実践の一つとして、地球環境を守り自然と共に生きていく、「グリーン・プラン」運動を進めているところです。
振り返ってみれば、もともと禅寺は自給自足が原則の生活を営んでおりましたし、究極のリサイクルシステムが確立しています。
大本山永平寺には「杓底の一残水、流れを汲む千億の人」という石碑が門前に建っています。自然は大切であり、今使わせていただける水は、必要以上に使って無駄にしてはならない・・・・後の世の人のために半杓のお水をお返ししたいという心が、何百年も綿々と受け継がれています。
では、今の私たちには何が出来るのでしょうか。
高度経済成長の進展は、生活の豊かさをもたらし、寺院においても様々な電化製品が導入されるようになりましたが、資源を大切にするという意識はもとより、資源を自ら生み出すということは、自ら食する米や野菜を庭で育てることと同様の意義があるはずです。
本日、宗門の研究所の方々が研修のため貞昌院にお越しになりました。
平成15年度新エネルギー非営利促進事業として設置導入した太陽光発電設備の見学がその主たる目的です。
丁度、偶然にも一時間前に発電設備設置でお世話になった(株)スカイテックの担当の方が施設点検のためにお見えになっており、一緒に施設見学を行いました。
施設見学の後は、環境談議に花が咲きます。
■まとめと提言
環境問題への意識の高まりとともに、太陽光発電設備の全国における累計設置発電容量は、2004年までに住宅用、公共産業用合わせて113.2万キロワット(総合資源エネルギー調査会調査)と、急速に増大している。また、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法に基づく基本方針に掲げる導入目標において、2010年に482万キロワットという設定がされている。
このような背景のもと、「グリーンプラン」の実践として、全国の曹洞宗寺院に新エネルギーによる発電設備、特に太陽光発電装置を導入していく事例が増えている。これまでは、寺院個々の「点」としての活動であった。しかし、その設置事例が増えていくにしたがって、それぞれが連携して「面」としての情報として体系化することは重要である。
特に、全国に1万4千もの寺院と多くの檀信徒をもつ曹洞宗は、環境施策においても大きな力を発揮する事ができるだろう。寺院の有する境内地を活用するだけでも計り知れない可能性を持っている。
宗門が主導率先し、各寺院・檀信徒が連携して新エネルギー導入を推進していく事は、「グリーン・プラン」の実践として重要な案件である。また、その情報を宗門がリアルタイムに把握し、発信していくことにより、その価値をさらに高めることができる。
そのために、新エネルギー設備導入にあたり、初期投資費用の補助や、技術的導入の指針、宗費減免や褒章制度など、普及推進に向けた具体策を実現させていくことは重要な施策といえよう。これまでの実績を踏まえ、今後どのようなことが可能かを列挙する。
(1) 新エネルギー発電設備導入に際する具体的なガイドラインを作成する。
(2) 公益法人・非営利法人に対する公的補助は、営利企業や一般住宅に比べて優遇されているが、その利用に関する情報を寺院に向け発信する。
(3) 全国寺院に発電設備がどれだけ設置運用されているかを把握し、発電実績を集約して体系付けて公表する。
(4) グリーン電力証書システムを活用し、化石燃料削減・ CO2排出削減などといった価値を全国レベルで具体化させる。
(5) 新エネルギー発電設備に関する補助金を曹洞宗独自に設定する。
(6) 宗費減免や褒章制度を宗制として定める。
(7) 宗門各機関や寺院がISO14001の認証を取得することをめざして活動を展開する。
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