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古刹「承天寺」隣にマンション計画 「景観損なう」地元波紋墓所に眠る音二郎も心配!? 歴史の町 乱開発危機 福岡市博多区
鎌倉時代に創建された福岡市博多区博多駅前の禅宗の古刹(こさつ)「承天寺(じょうてんじ)」の隣接地に、マンションの建設計画が浮上し、地元が「歴史的景観が壊される」と危機感を募らせている。同寺は、うどんやそばの伝来、博多祇園山笠の発祥の地として知られ、墓所には「列車の見える地に葬ってほしい」と遺言した明治期の俳優川上音二郎が眠る。住民らは「マンションが建てば、景観が損なわれ視界も狭まる。音二郎も泣いている」と、反対運動を展開する構えだ。
マンションは、東宝住宅(北九州市小倉北区)が承天寺北側にある社有の駐車場に建設を予定する。108戸の賃貸住宅が入居し、高さは約43メートルになるという。
住民らは17日、博多祇園山笠振興会や川上音二郎忌世話人会などの代表が名を連ねた「願い書」を携え、承天寺のすぐ近くにある東宝住宅福岡支店を訪問。計画見直しを申し入れた。福岡市にも対応策を講じるよう求める予定で、建設反対の署名活動も計画中だ。同支店の担当者は住民の求めに、マンション建設の方針を重ねて表明。取材に対し、「(景観への配慮については)市と協議したい」と述べた。
承天寺のある御供所地区は、日本最初の禅寺・聖福寺や空海に由来する東長寺など歴史的な寺社が連なり、戦災を逃れた町家も残る。福岡市は1999年1月、同地区を市条例に基づく「都市景観形成地区」に指定。建物を新設・変更する場合、高さや屋根瓦の色などについて、市への届け出を義務づけた。
承天寺周辺の建築物はガイドラインで「寺社境内の建築物や樹木の高さを考慮するなど寺社境内からの眺望に十分配慮した高さとする」と規定。同市都市景観室は「承天寺隣接地ならば、マンションの高さは20メートルが目安。それを超す新築の届け出があれば、強く指導する」と説明する。ただ、違反した場合の罰則はなく、強制力は乏しい。
2011年の九州新幹線全線開通と新博多駅ビル開業を控え、承天寺周辺は地価上昇が際立つ。住民は「今回、マンション建設を認めれば、乱開発に歯止めがかからなくなる」と懸念する。
世情を風刺する「オッペケペー節」で人気を博した博多出身の音二郎を顕彰する「音二郎忌世話人会」会長を務める漫画家長谷川法世さんは「開発を手掛ける業者は、地元の文化や歴史に配慮してほしい。音二郎も悲しむだろう」と話している。
(2007/05/19付 西日本新聞夕刊)
承天寺は、臨済宗東福寺派の寺院で、山号は万松山。開山は聖一国師。仁治3年(1242)、宋の貿易商・謝国明により創建された古刹です。
2005年に、福岡周辺の古刹名刹へ拝登させていただいたことがありますが、本当に素晴らしい伽藍と庭園です。
そのときの記事はこちらです。
承天寺は、JR博多駅から徒歩圏内にある項立地条件の場所にありますから、このようなマンション計画がいつ立ち上がっても不思議ではありません。
拝登させていただいたときも、広い民間の駐車場が隣接地にあることが見えていましたので、逆についに来たか・・・という感じがいたします。
Googleマイマップで承天寺とマンション計画地の地図を作成してみましたので併せてご参照下さい。
(赤い部分がマンション建設計画地)
↓
拡大地図を表示
それにしても、日本人の景観に関する意識の希薄さというのは悲しむばかりです。
今年6月に凱旋門屋上から眺めたパリ市外の景観を思い出します。
日本の都市の、看板広告が溢れ、乱雑無秩序に建物が乱立する街並みと、どうしてこんなに違うのでしょうか。
確かに、会社は利潤を追求する事が目的の一つですから、できるだけ効率的な建物を作るということはある程度仕方がないでしょう。
しかし、歴史的に重要な建築物のある周囲に、その景観を阻害するような建物を計画する際には、充分な配慮をしていただきたいものです。
特に、承天寺のある御供所地区は、日本最初の禅寺である聖福寺や、古刹である東長寺など、歴史的に重要なな寺社が連なり、「都市景観形成地区」に指定されている地区でもあります。
それでも、多少明るい兆しも見えてきました。
承天寺隣接地のマンション計画 住宅会社が見直しへ鎌倉時代に創建された福岡市博多区の承天寺(じょうてんじ)の隣接地に高層マンション建設が計画されている問題で、事業主体の東宝住宅(北九州市)は27日、福岡市に計画を見直す方針を伝えた。景観への影響を危ぐしている地域住民に配慮し、「市の都市景観条例を順守しながら計画を作る」と表明した。
福岡市は1999年、古い寺社が残る承天寺周辺を都市景観条例に基づき、新築建物の高さなどを規制する都市景観形成地区に指定した。承天寺隣接地は20メートルが限度だが、今回のマンションは高さ約43メートル(15階建て)で、住民が歴史的な景観が壊される」と反対している。
市と同社によると、同社福岡支店の幹部は27日、「現計画にこだわることなく、地域に貢献する形で計画を見直す」と市都市景観室に報告した。住民と近く協議の場を設ける。市は「人選や日程を中立の立場で調整する」と話した。
承天寺はJR博多駅から北西へ約500メートル。同社は北側にある社有駐車場にマンションを建設する予定。市はこれまで、都市景観条例を踏まえて同社に計画変更を指導したが、強制力がないため、地元住民が危機感を強めていた。
(西日本新聞 2007/06/28)
少しでも良い方向に進みますことを心より願っています。
この問題は承天寺だけの問題ではありません。
むしろ全国各都市に満遍なく起こっているというほうが正確でしょう。
身近なところでは、大船観音寺に隣接する山に計画のある12層建てのマンションもあります。
こちらは、計画自体がストップされており、現在工事現場は無残にも掘削されたままの状態で放置されてしまっています。
実は、貞昌院の東側にも19階建てのマンション計画があったのですが、こちらは地域住民の要望により13階建てに計画変更されました。
このように、特に寺社の周囲には緑地が多く残されており、それ故にマンション業者のターゲットになりやすいということも否めません。
無秩序な開発計画をされないように、事前に寺社周辺の土地の状況を常に把握しておいて事前対策を施していくなどの自衛手段を講じないとならない時代になってしまっているのですね。
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