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六本木・東京ミッドタウンの「ザ・リッツ・カールトン」、六本木ヒルズの「グランドハイアット」、丸の内には「フォーシーズンズホテル」、日本橋には「マンダリン・オリエンタル」、汐留には「コンラッド」というように、近年、高級ホテルが次々と開業し、過剰なまでの競争を繰り広げています。
対して、帝国ホテルやニューオータニなど、老舗のホテルも負けてはいられません。
新しいアイディアを出して対抗しています。
その中で、注目すべきプロジェクトがホテルニューオータニで現在進行中です。
その名も、 「エグゼクティブハウス“ZEN(禅)”(仮称)」
まずは、ホテルニューオータニの「ハイブリッドホテルプロジェクト」について見てみましょう。
ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町、総支配人 清水 肇)は、お客さまの安全や快適性と、地球環境への配慮の両立をめざし、2005年11月から2007年10月の2ヵ年、3期計画、総事業費約100億円で推進している「ザ・メイン」(本館)のリニューアル「ハイブリッドホテル プロジェクト」の第2期オープンを2007年4月11日(水)に迎え、プロジェクトでリニューアル予定の総室数のうち約70%、435室の営業を順次開始します。■ハイブリッドホテル プロジェクトとは?
「地球環境への配慮がお客さまの真の快適さにつながるホテルづくり」という、業界初のリニューアルコンセプトで取り組んでいる当プロジェクトでは、「安全」・「環境」・「快適性」をキーワードとして、以下のような具体的な施策を実現します。「安全」 ・・・ 最新技術の導入による耐震性強化構造体への制振ブレース取り付けや耐震処置により、阪神・淡路大震災を想定した震度6強以上の大地震に対しても建物の安全性を確保。
「環境」 ・・・ 環境レベルの飛躍的向上オリジナル新空調システム「AEMS(エイムス)」により、総エネルギー使用量を22.7%、CO2排出量を28%削減しながら、お客さま一人ひとりの要望にきめ細かく対応した室内空調環境を実現します。
また、ザ・メイン2階及び16階屋上部分(総面積約2,800?)の「屋上緑化」により、ヒートアイランド現象を緩和します。「快適性」 ・・・ 抜群の眺望とITインフラの拡充リニューアル前に比べて約2倍の大きさとなった、壁全面ガラス張りの窓「フルハイトウインドウ」は、開放感溢れる空間演出をするとともに、Low?Eペアガラスという3層の複層構造により、断熱性にも優れ、紫外線を約50%カットします。
また、全客室にセキュリテイレベルの高い高速インターネット回線とビデオ・オン・デマンドによる80タイトルの映画や、11チャンネルの外国語放送を行うテレビシステムを導入します。
計 画: 2005年11月着工、2007年10月竣工予定
総事業費: 約100億円
設計監理: 株式会社日建設計、エヌアールイーハピネス株式会社
内装デザイン: 株式会社スタジオ・エム、株式会社日建スペースデザイン
施工: 大成建設株式会社
構造: SRC + S造(地上17階、地下2階)
建築面積: 8,359.00?(延床:84,411.40?、施工床:48,145.00?)(プレスリリースより引用)
この壮大なプロジェクトの中の一つが「エグゼクティブハウス“ZEN(禅)”(仮称)」です。
ザ・メインのタワーのうち、11階と12階をこの「エグゼクティブハウス“ZEN(禅)”」専用のフロアとし、客室87室と、専用ラウンジを設置した最高級クオリティーのサービスを提供する計画で、専任のスタッフによるコンシェルジュサービスを超えたバトラーなみのカスタマイズサービス等を提供するそうです。
10月にこのフロアはオープンするそうですが、それに先立ち、案内をしていただきました。
なお、デザインを手がけるのは、京都のデザイン会社 スタジオ・エムの柴田嘉夫さんです。
やはり、禅というと水墨画のイメージなのでしょうか。
改装の一番のポイントは窓の開口を広げた事。
腰の高さまであった壁を、全面窓とし、足元の庭園の光景も飛び込んでくるようになっています。
ニューオータニ全体1500室のうち、禅プロジェクトの対象となるのは87室。
写真でご紹介した部屋は、その中で最も広い115?の部屋です。
ちなみに、室料は16万円。
ドアの向こうは、廊下のモノトーンの世界から、モノトーンを主体にしつつも金や紫をアクセントとした上品な華やかさを持った世界になります。
室内には、炭、盆栽などが置かれています。
どういった部分が「禅」として差別化されているのか。
その捉え方は、私たち僧侶にとってもとても参考になります。
例えば、欧米のインテリア装飾は、原色を基調とした色鮮やかな装飾が基本ですが、そのような中で、モノトーン、シンプル、侘び寂びという、「あっさり」を極めた日本の伝統文化は、新鮮に感じるのでしょう。
その根底には、複雑化する社会の中で、ミニマリズム・ナチュラリズム・ヒューマニズムという、いわゆる精神的な心地よさをそこに見出しているのだと思います。
ただ、日本文化をそのまま取り入れるのではなく、欧米それぞれのもつ文化と融合し、日本の禅とはちがう、「Zenスタイル」「Zenトリートメント」「Zenガーデン」・・・・といった、アメリカ流、ヨーロッパ流のZENという形になって表れています。
このように、海外では ZEN がブームになっておりますけれども、この「禅プロジェクト」は、その捉え方ともまた違ったアプローチです。むしろ、欧米化された日本の現代において、改めて日本文化、禅を見直す流れの中でのアプローチであり、日本人デザイナーがどのように「禅」というものを捕らえているのか、その自由な発想は、日本の禅宗の中で過ごしている私たちにとって、逆に新鮮です。
きっと、東京グランドホテルで「禅」をテーマに部屋をつくると、全く違うものになることでしょう。
さて、話を元にもどしますが、ここでの食事は、10月にできる専用ラウンジで取ることができ、朝食は 洋食 または お粥、スープとなるとのことです。
ちなみに、典座教訓ってご存知ですか?と準備室の方に尋ねたら、ごめんなさい、知りません、勉強中です・・・とのことでした。
ハードの面はだいぶ完成されているようですが、10月にどのようにソフト面の整備がなされていくのか、全面完成が楽しみです。
この禅 プロジェクトは、新聞雑誌などで紹介されることも多く、先日の朝日新聞でも次のような記事が掲載されておりました。
ホテルニューオータニ エグゼクティブハウス“禅”プロジェクト
コンシェルジュ・ ****さん(**歳)
一人一人に合ったもてなし
帰国前夜に「マグロの刺し身を持ち帰りたい」と言い出す国賓の宿泊客。名前と東京23区在住という記憶だけを頼りに、「20年前に日本で働いていたときの同僚に会いたい」という外国人客もいる。
そんな無理難題にもコンシェルジュとして奔走してきた。その姿勢が評価され、ニューオータニの2フロアを改装して今秋オープンするホテル・イン・ホテル「エグゼクティブハウス禅(ZEN)」の準備スタッフに抜擢(ばってき)された。
ホテル業界を志したのは学生時代の体験から。タイを旅行中、タクシーでホテルに帰ったとき小銭がなく、運転手に英語も通じず困っていたら、ドアマンが察して小銭をパッと差し出してくれた。上智大チアリーディング部の夏合宿では「買い食い禁止」がルールで、それを知る旅館のおかみさんが風呂上がりに「サプライズ」でアイスを用意してくれた。
(朝日新聞記事より、記事中名前部分は**としました)