道元禅師入宋の地・寧波-天童山

日本曹洞宗の開祖、道元禅師は、24歳の春(1223年)、明全和尚と共に宋へ渡航します。
もちろん、当時は飛行機などあるわけもなく、小船で一ヶ月以上かけてそれこそ命がけで海を渡ったのでしょう。

宋代には、明州は広州・泉州とで三大貿易港の一つであり、道元禅師はこの明州慶元府(現在の寧波市)に到着されるのですが、上陸の許可があるまでの間、しばらく船中に留まることとなります。
この期間は、道元禅師・明全和尚共に中国の言葉を学ぶ良い期間であったのかもしれません。
そして、日本からの輸入品を仕入れに来た阿育王山広利寺の老典座との出会いもこの港でありました。

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当時の入国管理事務所のあった場所は、現在、「寧波世界貿易中心(寧波ワールドトレードセンター)ビル」が建っています。写真の左端の黄色いビルです。
道元禅師はここから上陸されたのでしょう。

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道元禅師が上陸された付近(上の写真の右端・橋の付近)に、1998年、大本山永平寺宮崎奕保禅師発起人として、記念碑が立てられています。

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碑には次のように記載されています。

南宋嘉定16年(1223年)4月、日本僧道元禅師、海を渡りこの明州慶元府(寧波市)に着き、商船内で阿育王寺の老典座と相見された。 宝慶元年(1225年)道元禅師は太白山の景徳禅寺(太白山天童寺)にて住持如浄禅師に相見し、その膝下で一生参学の大事を成就された。 日本に帰国された道元禅師は、永平寺を創建し、日本曹洞宗の開祖と仰がれている。 謹んでここに記念碑を建て、日中両国の文化交流と人民の伝統友誼の証とする。


記念碑の脇は、交通量の多い幹線道路(山東路)となっています。
宋代の様子とはずいぶん変わっていることでしょう。

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道元禅師は宋の地を踏んでから、禅宗五山を初めさまざまな地を巡り、やがて、天童山景徳寺に籍を置き、無際了派禅師の元で修行をされます。

明州の港から天童山への道は、その途中に800年前と変わらない黒瓦屋根の集落が見られます。
道元禅師が辿った道を、私たち一行のバスも進んでいきました。

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天童山に続く参道。
背後の山々は、道元禅師の頃とあまり変化がないのではないでしょうか。

その後、禅宗五山を初め、各地に遍参し、同行していた明全和尚が亡くなった直後に再び天童山に戻り、新しい住持(三十一世)・如浄禅師に師事することになります。
した。
道元禅師は、如浄禅師との出会いの印象を 「我 人に逢うなり」(『正法眼蔵』「有事」)と残しています。
五カ月後に如浄禅師から仏祖正伝菩薩戒脈を授けられます。


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法堂にて拝登諷経

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昼は点心の精進中華料理をいただきました。
印象的な料理をいくつか。


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[左]白い砂肝のようなものは蒟蒻。歯ごたえが心地よいです。
[右]魚の形をした擬似豆腐。

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山門?天王殿?仏殿?法堂 と直線状に配置し、、そして東西に禅堂を周囲を回廊で結ぶという様式となっています。
(宋代の伽藍配置とは多少異なります)
法堂の上は蔵経楼。
大般若経他たくさんの経典が収蔵されています。

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法堂付近より、仏殿・天王殿方向の天童山全景。
境内の井戸、大楠や竹林などを除いては、道元禅師の修行されていた頃の伽藍は、残念ながら現在は残されていません。
そして、最盛期には、千人を超える修行僧たちも、文化大革命にり、全て還俗させられてしまいました。
その後、少しづつ復興され、1979年、日本曹洞宗の援助により伽藍の修復がなされました。
修行僧たちも徐々に増え、現在は100余人もの修行僧たちが在籍しています。

投稿者: kameno 日時: 2007年3月 6日 16:18

コメント: 道元禅師入宋の地・寧波-天童山

3月中旬に同僚と3人で、
天童山、阿育王山などを訪ねたいと思っています。
何かアドバイスを願えれば幸甚です。

投稿者 大道魯参 | 2009年1月27日 16:32

大道様
コメントありがとうございます。
私どもは檀参として訪問いたしましたが、3人であればかなり小回りの利く旅ができると思います。
交通の便から言うと、浙江省は日毎に交通路が整備されていくといっても過言で無いほどであり、バスを使うのであれば快適に移動できます。
天童山では、あらかじめ拝登の予約、打合せを役寮クラスの方としておくと良いと思います。寺院拝登旅行に長けた旅行社を利用することも一法だと存じます。
アドバイスといえるほどの返信が出来たかわかりませんが、何か参考になれば嬉しいです。良い旅行になります事をご祈念申し上げます。

投稿者 kameno | 2009年1月27日 21:36

kameno 様

 中国壇参の旅、読ませていただきました。有意義な旅だったことと拝察いたします。禅ZEN、見てきました。内田有紀の印象が強くて子供と一緒じゃなくて良かったと思いました。道元禅師の教えがとても分かりやすく、当時の時代背景もよく分かりました。徹通禅師700回遠忌も終わったばかりなのでとても身近に感じられました。中村勘太郎の演技には心を打たれました。阿育王山の典座和尚の文字と修行 を弁道と何だったか忘れてしまいました。

投稿者 ゼラニウム | 2009年1月30日 09:33

ゼラニウムさん
もう2年も前のこととなりましたが、とても充実した旅行でした。
映画をご覧になった後、道元禅師の足跡を尋ねて中国を旅行するのも良いと思います。
勘太郎さんは実直な方ですから、道元禅師の役にぴったりですね。出演者に恵まれた映画だと感じます。

>阿育王山の典座和尚の文字と修行を弁道と何だったか忘れてしまいました。

もう一度観にいかなければなりませんね^^)

投稿者 kameno | 2009年1月30日 10:33

早速のご返事有難うございました。
その後全部で6名のグループで天童山景徳寺、阿育王寺、如浄禅師の浄慈寺、その後竜門石窟などを訪ねたいと思っております。何かアドバイスがあればお聞かせください。

投稿者 大道魯参 | 2009年2月25日 00:36

大道様
コメントありがとうございます。
いよいよ出発されるのですね。良い旅行になりますことを心より祈念申し上げております。

投稿者 kameno | 2009年2月25日 14:23

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