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確率論からのアプローチ
これまで考えてきたことをここで、確率論的に考えてみましょう。
p∧q、p∨q、p⊃q 、p≡qについて、それぞれ考えてみます。
ここで、pという命題が真である可能性をa、qという命題が真である可能性をa’とします。
また、偽である可能性はそれぞれb、b’とします。
当然 a+b=1、a’+b’=1ですね。
(ここでは可能性を検討していきますので、様相論理学の可能命題の領域とはなりますが、一応このまま論議を続けていくことにします)
まずは簡単のために、pとqとの相関係数が1または?1の場合を考えてみましょう。
pの命題とqの命題の間に矛盾関係はないですから、pが真でqが偽であるということは考えられません。
1、連言 p∧q
表1: p∧qの真偽表 (p、qの相関係数r=1 or r=-1の場合)
p | q |
1 |
a |
b |
0 |
1 |
1 |
a |
b |
0 |
a |
a
|
1:a*1 0:b*1 |
1:a*0 0:b*0 |
0
|
b |
b
|
1:b*0 0:a*0 |
1:b*1 0:a*1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
表中の値は命題が1である確率を表します。
たとえば、p=1、p=0は実然命題の場合であり、pの真偽値1となる確率は各々1、0となります。
また、p=a、p=b は、それぞれpが1となる確率はa、b (0<a<1、0<b<1)です。
pが実然である場合、命題p∧q の真偽値はqによって定まります。
qが1である確率はaですから、例えば p∧qで、 pが実然1 、qが確率aで真であるとすると、aの確率で p∧q は1∧1=1 となり、bの確率で
1∧0=0 となります。
これは a であることと同値なので、p∧q=a という結果になるのです。
同様に考えて、表をうめると上の表1:のようになります。
ここで、pとqが可能命題となる場合については上下2段にそれぞれ命題が1となる確率、命題が0となる確率を記しました。まだ途中段階です。
この作業を進め、p∧q、p∨q、p⊃q、p≡qについて表を完成させたものが下の表2?5です。
表2: p∧qの真理表
p|q |
1 |
a |
b |
0 |
1 |
1 |
a |
b |
0 |
a |
a |
a |
0 |
0 |
b |
b |
0 |
b |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
表3: p∨qの真理表
p|q |
1 |
a |
b |
0 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 |
a |
1 |
a |
1 |
a |
b |
1 |
1 |
b |
b |
0 |
1 |
a |
b |
0 |
表4: p⊃qの真理表
p|q |
1 |
a |
b |
0 |
1 |
1 |
a |
b |
0 |
a |
1 |
1 |
b |
b |
b |
1 |
a |
1 |
a |
0 |
1 |
1 |
1 |
1 |
表5: p≡qの真理表
p|q |
1 |
a |
b |
0 |
1 |
1 |
a |
b |
0 |
a |
a |
1 |
0 |
b |
b |
b |
0 |
1 |
a |
0 |
0 |
b |
a |
1 |
以上のように、確率論からのアプローチから四値の真理表を算出することができることがわかりました。
ただしここで注意するべきは、pとqとで相関係数が1または?1の場合に限られるということです。
つまり、pとqとの相互間系が明白な場合でなければ適用されません。
たとえば、 「明日雨が降るか、雷がなる」という命題や、
「明日雨が降るならば、雷がなる」という命題を考えてみると、これらの命題をそれぞれ p∨q 、 p⊃q とおいて、上記の真理表より
p∨q=a∨a =a 、 p⊃q=a⊃a=1 とすることはできそうにありません。
雨が降ることと雷が鳴ることの間の相互関係において、相関はあるとも言えないし、無いともいえないからです。
科学的事実としての確率論として考えることができるだけです。
また、たとえば「わたしは英語が好き」といった場合に、100%はっきり好きであると言うことができれば別ですが、「やや好き」などといった場合にはまさに個人の主観に左右されます。
ここでは、ファジー理論に立ち入る考察はしませんが、pとqとの相互関係が分からない場合について検証を進めていくことにしましょう。
(以下続く)