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先日、大本山總持寺御征忌会随喜の際、丁度朝課罷の御兩尊献粥諷経導師上殿の時に地震がありました。
震度自体は3?4程度の揺れでしたが、やはり大きな大祖堂の伽藍内部では、揺れが大きく感じました。
大祖堂は、昭和40年に竣工した鉄筋コンクリートの建物です。
高さ36メートル、広さ千畳敷の大きさは、国内有数の大きさを誇ります。
しかしながら、竣工から40年以上経過しており、耐震強度の観点からも、そろそろ補修もしくは建替えを視野に入れた検討をしなければならない時期に来ていると思われます。
鉄筋コンクリートの建物は、鉄筋とコンクリートが一体となって初めて地震などの外力に抵抗することができます。
また、コンクリートの中の鉄筋は通常、防錆の措置をしていません。
さらに、コンクリートは打設当初は強アルカリ性の性質をもち、水や空気などから鉄筋が錆びるのを防いでいますが、年月の経過とともに中性化が進行し、鉄筋が錆びやすくなっていきます。
鉄筋コンクリートの寿命は、主に二つの要素によって決定されます。
(1)鉄筋がコンクリートの表面からどれだけ距離をもって(かぶり厚)配筋されているか。
(2)水とセメントの量の比率のうち、水の割合(水セメント比)をどれたけ少なくすることができるか。
しかし、(1)のかぶり厚を大きくすると、鉄筋の応力に対する効率が悪くなってしまい、(2)の水セメント比を少なくしすぎると、流動性が悪くなったり作業効率が悪くなってしまいます。
ですから、耐久年数と、(1)(2)をさまざまな面で比較検討し、設計を行うわけです。
ちなみに、一般的に使われている、鉄筋かぶり厚30mm、水セメント比60?65%程度のコンクリートの中性化年数は約45年程度とされています。
鉄筋コンクリートの建替えは、木造の建物に比べて非常に大変な作業となります。
したがって、この鉄筋コンクリートの寿命の問題が解決できると、鉄筋コンクリートの建物に対する概念そのものが大きく変わります。
(1)(2)の制約から開放されるコンクリートは、いわゆる「夢のコンクリート」とも言うべきものです。
そんな夢のコンクリートに関する話題2つです。
貞昌院の庫裏も、昭和40年代に建てられた鉄筋コンクリートの建物です。
今度建替える際には、検討の一つに加えてみようと考えています。
超高強度繊維補強コンクリート「サクセム」を開発
鹿島、電気化学工業、住友電工スチールワイヤー、三井住友建設の4社は、強度、靱性においてこれまでのコンクリートの常識を覆す次世代の新材料「サクセム*」を開発し、このほど、道路橋に初めて適用しました。サクセムは特殊な鋼繊維を混入した超高強度繊維補強コンクリートで、通常のコンクリートの10倍もの曲げ強度を持ち、鉄筋による補強が不要となる夢の材料です。鹿島をはじめとする4社は、これまで培ってきた繊維補強コンクリート技術と超高強度コンクリート技術を発展させ、日本国内の技術と材料でこの次世代の材料「サクセム」を開発しました。このほど設計・施工技術を確立した上で、道路橋に初めて適用したものです。
■特長
サクセムは特殊な鋼繊維を混入した超高強度繊維補強コンクリートで、設計基準強度は驚異の180N/mm2(普通コンクリートの5?8倍)、曲げ強度30N/mm2を実現しています。特殊鋼繊維の混入により引張応力を負担することができるため、構造物に鉄筋を配置する必要がありません。また、自己充填性が高く、耐久性に優れるため、部材を極限まで薄くすることができます。橋梁の桁部材に採用した場合、上部工重量を軽量化することができ、下部工を小さくすることができます。
サクセムは、プレミックス結合材、細骨材、特殊鋼繊維、減水剤及び水とで構成されます。プレミックス結合材の開発と2種類の長さの鋼繊維をブレンドして混入するという手法により、驚異的な構造性能と優れた施工性を効率的に実現しています。また、サクセムは非常に緻密な構造であり、内部に水がはいりにくく耐久性に非常に優れた材料です。このため、ライフサイクルコスト面で通常コンクリートと比較して有利と試算しています。
http://www.smcon.co.jp/news/060524.html
建築物の長寿命化技術
耐用年数を100年から500年以上に設定可能なコンクリート
竹中では、早くからコンクリートの耐久性向上技術の研究を進め、超高耐久性コンクリート技術として確立しました。中性化の速度は、コンクリートの組織の緻密さに左右されます。また、乾燥収縮によるひび割れが中性化と鉄筋の腐食を助長します。当社開発の耐久性改善剤を使用することで、コンクリート内部の気泡や空隙を減らし中性化を抑制するとともに、乾燥収縮によるひび割れを低減することができます。また、耐久性改善剤の量を制御することにより、超高耐久性コンクリートの耐用年数*を100年から500年以上に設定することができます。
■ 特長
● コンクリート内部の気泡や空隙を減らし中性化を抑制し、コンクリートの耐久性を向上。
● 乾燥収縮を減少させ、ひび割れを低減。
● 耐用年数は100年から500年以上でニーズに合わせて設定可能。
http://www.takenaka.co.jp/techno/n34_superdcon/n34_superdcon.htm
詳しい資料が欲しいのです。
一般の建築に使いたい、価格が気になります。
投稿者 石原昌春 | 2008年3月18日 15:03
石原様
コメントありがとうございます。
サクセムに関する詳細と価格につきましては下記にお問合せ下さい。
http://www.suqcem.com/contact.php
投稿者 kameno | 2008年3月18日 18:20
前略、夢の様な情報に驚きました。これを知り合いの工務店に
話しても 相手にしてくれませんでした。浦島太郎の世界でした。 この様な コンクリートをつかつて 建築をする事は
可能なら 詳細 価格 等について 教えてください。
投稿者 岡本継男 | 2009年10月13日 11:17
岡本様
コメントありがとうございました。
まだ工務店レベルでの認知度は低いのかもしれませんね。
このあたりの技術情報は 社団法人 住宅生産団体連合会
http://www.judanren.or.jp
に集約されているようですので、そちらに問い合わせしてみてください。
上記サイトの「長期優良住宅関連ニュース」カテゴリーも参考になります。
投稿者 kameno | 2009年10月13日 11:42