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一昔前は、葬儀の際に「野辺送り(葬列)」を組んで墓地や火葬場まで列をなして死者を送ることが一般的に行われて来ました。
現在ではかなり少なくなっていますが、出棺の際の葬祭場から霊柩車の間とか、納骨の際の寺院本堂からから墓地までなど、ごく一部分に葬列を組む風習が残されていたりします。
葬列の先頭には龍頭と呼ばれるものが掲げられます。
龍頭の役割は、邪:悪霊を追払うというものです。
葬列をきちんと組む習慣は、徐々に少なくなってきていますので、おそらく、これを見たことが無い方は多いのではないでしょうか。
大抵は、簡易な竹製で,紙を巻いて墨で蛇腹を描くだけなのですが、写真のように重厚な雰囲気を醸し出す龍頭もあります。
これは藤沢市K院に伝わる貴重な龍頭です。
(携帯での写真のため、画質が悪くてすみません)
一般的に行われている葬列の一例を挙げると、
大幡⇒龍頭⇒葬儀幡(四本)⇒灯籠⇒花籠⇒紙華⇒僧侶⇒位牌(喪主)⇒棺(天蓋を掲げる)・・・・などというような列となります。
ちなみに、大本山總持寺で行われた某禅師の荼毘式禮での葬列は次の通りです。
法要都菅⇒輪棒⇒高張⇒法要都菅⇒花籠⇒儀従長⇒儀従次長⇒四流彩幡⇒維那⇒手磬⇒楽鼓⇒銅ハツ⇒知事(頭首)⇒四流白幡⇒龍頭⇒十流佛名幡⇒燭台⇒提炉⇒白蓮⇒盛物⇒銀蓮⇒後堂(監院)⇒提燈⇒葬司⇒香亭(法炬)⇒法要副都菅⇒真影⇒真牌⇒三脈⇒袈裟・大衣⇒御先導師⇒真龕⇒法蓋⇒側立⇒法弟⇒側立⇒香盒・柱杖⇒遺偈幡⇒師孫⇒親随⇒佛経・祖録・如意・竹篦・拂子・芴・念珠・法鉢⇒手磬⇒楽鼓⇒銅ハツ⇒随喜衆⇒法要都菅
私の住んでいる場所は野辺送りの風習が廃れてしまいました。諸行無常などの葬儀幡は書道半紙に書いてお墓に飾ります。親戚筋には曹洞宗のお寺の檀家になっている家が多いのですが、幡は布製の彩幡で葬儀場からお墓まで持って行きます。龍頭は葬儀幡についていましたね。母方の菩提寺の住職さんがお師匠さまのお葬式の際に幡は市販の布で作ったと仰っていました。数週には意味があってやる事ですから、故事来歴等を語り継ぐ事が大事でしょうね。
投稿者 ikuo | 2006年2月11日 07:33
野辺送りの風習は、地域コミュニティーが確立されていることが必須となります。
だんだんと簡素化されて、失われていくことはとても残念ですね。
投稿者 kameno | 2006年2月12日 08:26
拙僧の地区では、未だに野辺の送りが行われております。竜頭はこのような立派なものではなく、葬儀社が用意する紙製のものを竹の先に取り付けます。その他、五色旗(大小)行灯などがあり、それらに住職が偈文を書きます。
ところが、当日の納骨は余りにも祖霊を粗末にしているようで嫌なので、49日での納骨を薦めたところ、それが主流になりつつあります。そうすると今度は葬列を組む場面が無くなり、そう言った葬具が不必要になります。
それが良いのか悪いのか、もう少し時間をかけないと解りませんが、名より実を取る、本来の死者の弔いと遺族の心の整理を49日間かけて充分にできているでは、と思っております。
投稿者 usagi | 2006年2月12日 08:41
貞昌院の周囲でも、地元の檀家さんは火葬当日の納骨をされる方が多いです。
けれどもやはり葬列を組むということは少ないです。
現在では、霊柩車を先頭にした車列のことを葬列と言ったりしますから時代の変化を感じざるを得ません。
投稿者 kameno | 2006年2月12日 09:35
1、野辺送りの際、行列参列者に「五色の紙を巻いた割り程の長さの棒」を持た せお寺までの道筋にその五色の色紙を巻いた棒を道端に置いていくという。
この道端に「五色の棒」を置いていくということはどのような意味合いがある のでしょうか。
2、お寺まで野辺送りし、お寺の本堂前に棺(または遺骨)を置き、その周りを 葬儀行列が三回まわります。本堂前に置かれた棺の周りを葬儀行列が三回まわ るということの意味合いは何でしょうか。
以上2点を教示お願いします。
参考、私の出身地は、宮城県大崎市岩出山 曹洞宗信徒で1、2、の葬儀行列の 際、30~325年前までこのような野辺送りが行われていました。
投稿者 舘内 規之 | 2016年8月12日 09:30
舘内様
現在でも住職の葬儀、特に大本山の住職(貫首)老師の葬儀においては伝統的な葬列が組まれます。
以前書いた当ブログ記事にご質問の答えが含まれておりますので、まずはこちらをご覧ください。
http://teishoin.net/blog/004361.html
http://teishoin.net/blog/003980.html
五色旗については、陰陽五行説に基づき「青・赤・黄・白・黒(紫)」のそれぞれの色が、五元素「木・火・土・金・水」を表すと考えられます。
また、住職の葬列では葬列は一円相を描き、法堂南面に設置された四門(東方発心門・南方修行門・西方菩提門・北方涅槃門)が本堂正面に設けられ、そこを遶匝(にょうそう)して真龕が安置されます。
四門は、その名前からわかるように仏教者たるものが出家してからの一生を表しています。
在家葬儀の葬列で周囲を回るということも遶匝と同じことでありましょう。
投稿者 kameno | 2016年8月12日 13:51