ミーム:利己的な遺伝子

ミーム(meme)とは、文化が「変異」「遺伝(伝達)」し「選択(淘汰)」される様子を進化になぞらえたとき、遺伝子に相当する仮想の主体である。例として災害時に飛び交うデマ、流行語、ファッション、言語など、すべてミームという仮想の主体を用いて説明できるとする。

ミームは、「進化論というアルゴリズムに支配される遺伝子」というパラダイムの、文化への適用という形で提案された。「利己的な遺伝子」(リチャード・ドーキンス 1976)で始めてこの語が用いられ、定着した。ドーキンスは「ミーム」という語を文化伝達や模倣の単位という概念を意味する名詞として作り出した。模倣を意味するギリシャ語の語根 mimeme から遺伝子 gene に発音を似せてミーム meme としたという。以降、進化論・遺伝学で培われた手法を用いて文化をより客観的に分析するための手段として有用性が検討されている。

訳語としては 摸倣子、摸伝子、意伝子 がある。

文化が遺伝子のような単位で伝達されるという考え方はドーキンス以前にもあった。旧制度学派経済学者のヴェブレン Veblen は社会や経済の進化がダーウィン的 だという考え方を持っていた。人類学者クロークは、1975年に断片的な「文化的な指示」を人々が模倣しあうことで文化が伝達されると考えた。最近では、イギリスの生物学者ジュリアン・ハクスリーやドイツの生物学者リヒァルト・ゼーモンらも、20世紀初頭に類似の概念を提唱していたことが指摘されている。とくにゼーモンは1904年に「ムネーメ mneme」という用語を提唱している。さらに歴史をさかのぼると、18世紀の啓蒙思想による社会や文化の進歩思想の影響が大きい。もともと生物の進化論は社会の進歩論を自然界に適用したものであり、ミームの考えかたは、進化生物学経由でもういちどこの考えかたが社会現象や文化に回帰してきたとみなすこともできる。
また、ミームなどの文化的な複製子による文化の進化と遺伝子による人間の生物的な進化とが相互に影響を与えあって共進化するという考え方(二重伝承理論)が、ロバート・ボイド Robert Boyd とピーター・リチャーソン Peter Richerson によって1985年に提唱され、注目を集めた。 日本では佐倉統(東京大学情報学環)などが研究している。

Wikipediaより


【おすすめ図書】

meme.jpg

利己的な遺伝子 科学選書
リチャード・ドーキンス (著), 日高 敏隆 (翻訳), 岸 由二 (翻訳), 羽田 節子 (翻訳), 垂水 雄二 (翻訳)
出版 : 紀伊国屋書店
サイズ : 四六判 / 548p
ISBN : 4-314-00556-4
発行年月 : 1991.2

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4314005564/250-4853537-9757810



「ミーム」とは?

遺伝子といえば、生物学で言うのDNA遺伝子がおもい浮かびますが、その他に、「利己的な遺伝子」、つまり「ミーム」があります。
ミームは、「文化遺伝子」とも訳されており、ドーキンスは、文化は、人間の脳を乗り継いで繁殖していく「利己的な遺伝子」であると考えました。


「楽曲や、思想、標語、衣服の様式、壺の作り方、あるいはアーチの建造法などはいずれもミームの例である。」『利己的な遺伝子』P306より

文化は全て、何らかの形で伝達されていきます。とすれば、遺伝子が自分の種を残そうとすることと似たものであると考えられるのです。
情報は、私たちの脳に伝わり、それが、さらに他の人に伝わり、次々と繁殖していこうとします。
遺伝子が、生物という乗り物に乗っかって、次々と伝達されていくのと同様に、ミームは脳を乗り継いで繁殖を続ける情報なのです。
これがミーム学の基本です。


人は死んだら何処へ行くのか、お釈迦様は答えなかったし、死後の霊があるかどうかはわかりません。霊があるかもしれないし、無いかもしれない。
ただ、確実な事は、その人の行い、思想などは、その人が生きてきた証として、他の人々の脳裏にミームとして刻まれるということです。
その大小は、物理的な時間・距離の大小にはあまり関係しません。
例えば、何千年も前の人々の残した著書が、私たちに大きな感動を与えることもあります。


 表:遺伝子とミームの特徴の比較

遺伝子 ミーム
4種類の塩基配列(AGCT)で記述される メディアの種類により非常に多種多様。
(石版・木簡・紙・音譜・音声・映像など)
親から子へ順繰りのバケツリレーである 何千年もの時を飛び越えて世代に関係なく直接に伝わる
垂直遺伝(親から子へ、という一方通行)である 全世界的に飛散するというように水平遺伝することもある
拡散の速さはほぼ変わらない 情報通信技術の発達に伴い、拡散が速くなる

このあたりは、私の弟が、ブログにて詳細に記述していますので、併せてご参照ください。
http://homepage.mac.com/kamenoseiji/iblog/C249759088/index.html



最後に、宗教に関連したミームの特色をご紹介いたします。

【伝統】過去に行われたこと、信じられていたことを継続させる戦略的ミームは、自動的に自分を長く生き延びさせる。その際、その伝統の善し悪しや重要性は関係ない。
【伝道】ミームの中でも、そのミーム自身を他の人に広めるという考えを含んだものは、特に有利である。伝道や布教は、そうした使命のミームに結びついていることがあり、そのことが伝道をより強力なものにしている。伝道では「できうる限り、このミームを広めよ」と伝えられるのである。
【信念】それ自身を盲目的に信じることを要求するミームは、どんな攻撃や議論に突き当たっても、あなたの信念システムから撃退されることはない。
【懐疑】懐疑は信念の裏返しであるが、それによってプログラムされた心に対して非常に似たような効果を発揮する。

投稿者: kameno 日時: 2005年11月 8日 00:51

コメントを送る