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天神山貞昌院晋山結制 2日目
晋山式(しんさんしき)
晋山式の「晋」は、すすむという意味です。曹洞宗の管長猊下より新たに住職に任命された者が、寺院へすすみ住む就任の儀式、それが晋山式であり、寺院にとっては一世一代の大きな行事です。
本日、このお寺に新しく命ぜられた住職を「新命和尚」と呼び、貞昌院三十一世に命ぜられた哲也新命和尚は、この晋山式が済みますと、名実共に貞昌院の正式な住職となります
新命住職は晋住する前に安下処(檀家総代宅)に到着し、法要を行います。
1.稚児行列 (ちごぎょうれつ)
新命住職は檀家総代のお宅で法要を行なった後、永谷天満宮神楽殿から総代世話人とともに「稚児行列」を行ないます。稚児という呼び方は平安時代にお寺に預けられ行儀見習いや僧侶の手伝いをしていた子共たちに由来します。
子供には神々が降臨するとも考えられており、古くから信仰の対象とされてきました。また、子供達の無病息災を願い、豊かな心を持って欲しいという願いも込められています。
永谷天神囃子の先導により、檀家様や近隣の子供たち60名が行列を作りました。
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住職を退くことを退董といいます。住職退任後は東堂(とうどう)と称されます。
晋山・晋山開堂
1.山門法語
新命和尚は稚児行列により貞昌院に到着し、貞昌院の入口でもあるこの山門をのぞんで、自身の覚悟の程を法語として唱えます。
山門の儀式が終わりまして、本堂の太鼓がとどろく中、いよいよ新命和尚は、出迎えの方々を先頭に本堂に進みます。
1.緋衣被着許状授与
新命和尚は、貞昌院の本尊様に対して新任の御挨拶の法語を述べます。その後、仏前に進み、浄らかな香を焚き、御本尊様へ心からの礼拝を三度いたします。この礼拝は、古くインドから五体投地の礼として伝わるものであります。
1.土地堂法語(どじどうほうご)
続いて、仏法の守り神である招宝七郎大権修理菩薩様の御前で、貞昌院の山門繁栄と檀信徒皆々様のお家の安泰と諸縁吉祥をお祈りいたします。
1.祖堂法語
次に禅宗の開祖といわれる達磨大師に御挨拶の法語を唱え、焼香礼拝いたします。達磨大師は、前述のとおり、お釈迦様から数えて二十八代目の祖師様で、インドから中国に初めて正しい仏教をお伝えになった僧侶です。
1.開山堂法語
続いて新命和尚は、開山堂に向かいます。開山堂には、本尊釈迦牟尼仏、十一面観世音菩薩、道元禅師(高祖承陽大師)、瑩山禅師(太祖常済大師)、そして今から約430前、貞昌院を開かれた御開山大和尚より二十九代の歴代住職がお祀りしてあります。新命和尚は、本尊様の前において法語を唱えて焼香礼拝し、就任の御挨拶をいたし、心から報恩感謝の礼拝をささげます。
1.下語・須弥登座
晋山開堂という「国の隆昌発展を祝ってこの堂を開く」という儀式です。寺院は、常に地域社会の平和と幸福を祈ってあらゆる活動を行ないます。
そこで、新命和尚は晋山と同時にこの本堂を広く開放して、皆様方の信仰と修養の為の道場とすることを宣言いたします。
新命和尚は須弥檀に登り、特別に用意したお香を四回焚きます。その一がお釈迦様、高祖道元禅師様、太祖瑩山禅師様に供養し奉り、その功徳をもって国の平和と人々の幸せを祈願するものであります。
1.報恩香(ほうおんこう)
次に、天正十年、貞昌院を開かれた明堂文龍大和尚、貞昌院歴代の御住職方に報恩の香語を唱えて香を焚きます。哲也和尚は、本日めでたく当山31世として晋山の儀式をあげることが出来ますのも、御開山をはじめ歴代の住職が身をもってこのお寺を護ってこられたご遺徳のお陰であります。
1.檀越香(だんのつこう)
次に、檀信徒の皆様方の御先祖を供養し、更に各家の隆昌発展と子孫の長久、諸縁吉祥を願って御焼香いたします。
1.嗣承香(しじょうこう)
次に、自身の師匠に対し、本日この祝典をあげ得た喜びを感謝し、心からその慈恩にむくいるお礼の焼香をいたします。
これより新命和尚と、大勢の和尚様方に法を説く問答が始まります。
これに先立ち、問答開始をお願いする礼拝のことを五侍者問訊と申します。
はじめに出てこられた五人の方々は、常に新命和尚の側について所用を勤める侍者と呼ばれる役の方々であります。その筆頭が焼香侍者です。
1.頭首・知事問訊(ちょうしゅ・ちじもんじん)
次に、両班の和尚様方が順に礼拝をなさいます。
1.代衆請法(だいしゅうしょうぼう)
続いて焼香侍者和尚は、大間中央に立って深く問訊されます。これを代衆請法といい、どうぞ我々に仏法をお説き下さい、との礼拝であります。
1.白槌(びゃくつい)
白槌師が須弥檀右側に進み、問答開始を宣言されます。白槌師は西堂老師です。
1.垂語(すいご)
新命和尚に問答をかける僧侶が本堂正面に集まり、いよいよ大問答が始まります。
1.問答
首座・弁事をはじめ、様々な和尚が新命和尚に問答をかけます。
1.堤綱・自序・謝語・拈則・結座
新命和尚は、自身の修行の境涯を述べ大問答は終わります。続いて唱える香語(堤綱・自序・謝語・拈則・結座)は、曹洞宗の宗旨の大要を説き、そして自身の経歴を述べ、白槌師をはじめ御列席の皆々様に感謝の言葉を述べ、問答終了を告げます。
1.白槌
白槌師が槌をふるって、新命和尚の説法が大和尚に相応しいものであったことを証明して下さいます。これは、お釈迦様在世中、説法が終わると文殊菩薩が座より立って、仏法の尊さを証明されたという故事に由来しております。新命和尚はここにめでたく「大和尚」となることができるのです。
1.下座・祝辞・祝電
1.散堂