スパムメールの経済学

サクラ利用“出会えない”系サイト…1000万円支払った客も 会社社長ら逮捕

出会い系サイトで「サクラ」とやり取りさせ、料金をだまし取ったとして、京都府警と大分県警の合同捜査班は16日、詐欺の疑いで、大分県別府市の出会い系サイト運営会社「ラパン」の元会長、同市駅前町の立石正彰容疑者(59)=不正指令電磁的記録保管・同供用容疑で逮捕、処分保留で釈放=ら3人を再逮捕、同社社長の佐伯照美容疑者(62)=同市鶴見=ら3人を逮捕した。府警によると、うち2人は容疑を認めているが、立石容疑者ら4人は「よくわからない」などと容疑を否認している。
逮捕容疑は今年8月1~15日、同社が経営する出会い系サイト「おしゃべり広場」で、実際には利用者同士のやり取りはできないのに、異性をかたったサクラとやり取りをさせ、大阪府高槻市の男性(74)ら2人からサイトの利用料現金約6万円をだまし取ったとしている。
府警サイバー犯罪対策課によると6人は、同社が不正に取得した約36億件のメールアドレスから無作為にサイトの勧誘メールを送信。サクラのアルバイト約10人に利用者とやり取りをさせ、サイト内でのメールの送受信などに必要なポイントを購入させていた。課金した利用者は全国で約5600人で、同サイトは平成19年2月の開設以来、約8億4千万円の売り上げがあった。1千万円以上を支払った利用者もいたが、少なくとも合同捜査班が調べた2週間の間は、すべてサクラとのやり取りだったという。
(産経新聞 10月16日配信)


毎日のように大量に届く迷惑メール。
一向に減る気配はありません。
冒頭のニュースを元に、迷惑メールを送信することで、どれだけの利益が出るのかを計算してみましょう。

京都府警サイバー犯罪対策課による、この事件の概要は次の通りです。


■出会い系サイト運営会社が不正に取得したメールアドレス
3,600,000,000 件

■メールを送りつけられ、サイトを利用し、料金を支払った人
5,600 人

■出会い系サイトの売り上げ
840,000,000 円


3,600,000,000 件のメールアドレスがどの程度の金額で売られているかをざっと検索してみると、ある程度質の良いメールアドレスで30万円程度。
1件あたり大体 0.0001円弱といったところでしょうか。
不正に入手したアドレスということなので、さらに格安の二束三文で入手したのでしょう。


3,600,000,000 件 のスパムメールに対して、サイトを利用し、料金を払った人は 5,600人ですから、
642,857 人に1人の割合で料金が支払われました。
0.00015% の確率です。
おそらく、ただサイトを覗いただけという人の数はその10倍、あるいは100倍居るのではないでしょうか。
仮に100倍とすると、0.015% の反応率です。


さらに注目すべきは、その粗利率の高さ。
支払った人一人あたりの料金は、何と 150,000円です。
二束三文で取得したメールアドレスを送りつけた結果、スパムメール1通当たり 0.23 円もの収入を得ていたのです。
そのうち、1割程度を経費(サクラのアルバイト料支弁等)と仮定しても、粗利率9割の丸儲け。
当然、法人税や所得税は真っ当には支払っていないでしょう。
迷惑な上に、実に悪質な犯罪です。

 


以前、[コメントスパムには困ったものだ] のブログ記事で

メール1万通を送信するコストは約1ドルで、迷惑メール100万通につき約15通程度の返信が来る。
100万通につき15通のリアクションなので0.0015%という恐ろしく低い返信率ですが、メールアドレスやメールを送信するコストが低いためビジネスとして成り立ってしまいます。例えば、100万通の迷惑メールを送信した場合、必要なコストは約100ドルで15通程度の返信が期待できるので、1通につき10ドルの利益しか上がらなくても全体としては、50ドルの純利益となります。

や、

「スパムメールの採算ベースは返信率が0.001%」
スパムメールは返信率が0.001%を超えれば採算に合うため、コストがかからない。
例えば、PCが10万円、プロバイダー料金が月額4,000円、1億件のメールアドレスの相場価格が10,000円、その他の経費を含めて20万円を初期投資金額と想定する。アダルトサイトを運営している業者が2-3万円の課金請求することを目的にスパムメールを送った場合、7-10人が騙されて料金を支払えば初期投資分は回収できるという。


ということを書きました。
冒頭の記事から具体的な検証を行なってみましたが、これでは、スパムメールは無くなりませんね。
やれやれ。


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投稿者: kameno 日時: October 17, 2013 1:21 AM

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