大相撲を統計的に検証

米学者が八百長証明!「7勝」対「8勝」千秋楽の勝率は?

ケータイメールが動かぬ証拠となった大相撲の八百長問題。相撲協会の放駒理事長は「過去には一切なかったこと」と言うが、実は米名門大の経済学教授が過去の膨大な取組を分析し、八百長の存在を経済学的に証明している。その気になる中身は-。
大相撲の八百長を分析したのは、米シカゴ大のスティーヴン・D・レヴィット教授。ジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナー氏との共著で2006年に出版、07年に増補改訂版が出た『ヤバい経済学』(東洋経済新報社刊)で、ヤクの売人や出会い系サイトなどを経済学的に解き明かし、ベストセラーとなった。その第1章で大相撲も取り上げている。
レヴィット教授は1989年1月から2000年1月までに開かれた本場所の上位力士281人による3万2000番の取組から、14日目まで7勝7敗と勝ち越しがかかる力士と、8勝6敗と勝ち越している力士の千秋楽での対戦をピックアップした。
過去の対戦成績では、7勝7敗の力士の8勝6敗の力士に対する勝率は48・7%と5割を少し下回る。ところが、これが千秋楽の対戦になると7勝7敗の力士の8勝6敗の力士に対する勝率は79・6%と大きくはね上がるというのだ。
これだけなら7勝7敗の力士のモチベーションが高い結果といえなくもないが、次の場所での取組(どちらも7勝7敗でない場合)では、前の場所で勝った7勝7敗の力士の勝率は約40%と大幅に落ち込む。この2人の力士が次の次の場所で対戦すると勝率は約50%に戻ると指摘する。
同書では「一番理屈に合う説明は、力士たちの間で取引が成立しているというものだ」とする。
興味深いことには、日本のマスコミで八百長報道が出たすぐ後に開かれた本場所千秋楽では、7勝7敗の力士の8勝6敗の力士に対する勝率はいつもの80%ではなく、約50%に下落。「データをどういじっても出てくる答えはいつも同じだ。相撲に八百長なんかないとはとても言い張れない」と結論づけた。
レヴィット氏は米紙ワシントン・ポストで相撲の八百長に関するコラムを読んだのをきっかけに分析を始め、英語の相撲雑誌「スモウ・ワールド」のバックナンバーを15~20年分取り寄せたという。放駒理事長は反論できるのだろうか。
(朝日新聞2011/2/4)


 

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話題の本がこちらです。

『ヤバい経済学』 [増補改訂版] [単行本]
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー (著), 望月衛 (翻訳)


この『ヤバい経済学』(内容は全然ヤバくないです)では、「常識」だと考えられがちなことに「本当にそうなのか?」と疑問を持ち、先入観無しの視点から物事を検証しています。
例えば、酔っ払って歩くのと飲酒運転と、どっちが危険なのでしょうか。

一般常識では、飲酒運転のほうが重大な結果をもたらし、危険であると考えられています。
ですから飲酒運転には厳罰が設けられていますし、酔っ払って歩くことには特にペナルティーは科せられていません。

しかし、統計学的に検証すると、酔っ払って歩くことは、飲酒運転に比べて死ぬ可能性が8倍の危険性があるそうです。
まあ、その真偽は各項目検証していく必要があるとしても、とにかく「ものの見方」として、固定概念に捕らわれない視点を持つことが大切でしょう。

相撲界が今回の八百長問題にどのように取り組んでいくのか、注目されるところです。
徹底的に自浄できる組織にならなければいけないですね。

さて、こんな統計データもあります。

平成15年から八百長疑惑が表面化する平成21年夏までの期間、7勝7敗で千秋楽を迎えた大関の勝敗の記録です。

平成15年9月 秋場所
●魁皇
朝青龍(横綱)○
平成16年9月 秋場所
○千代大海
若の里(関脇)●
平成18年3月 春場所
○魁皇
白鵬(関脇)●
平成18年5月 夏場所
○琴欧州
千代大海(大関)●
平成18年7月 名古屋場所
○琴欧州
栃東(大関)●
平成19年1月 初場所
○魁皇
栃東(大関)●
平成19年3月 春場所
○魁皇
安馬(小結)●
平成19年3月 春場所
●千代大海
朝青龍(横綱)○
平成20年1月 初場所
○琴光喜
安美錦(関脇)●
平成20年3月 春場所
○琴光喜
千代大海(大関)●
平成20年5月 夏場所
○琴光喜
魁皇(大関)●
平成20年9月 秋場所
○琴欧洲
千代大海(大関)●
平成20年11月 九州場所
○琴欧洲
千代大海(大関)●
平成21年1月 初場所
○千代大海
豪栄道(前頭三)●
平成21年5月 夏場所
○千代大海
把瑠都(関脇)●
平成21年5月 夏場所
○琴光喜
魁皇(大関)●
平成21年7月 名古屋場所
○千代大海
鶴竜(関脇)●

 

綺麗な統計データですね~
法則に当てはまっていない取組みが2つ・・・どちらも白星朝青龍ではないですか。

相手を負越しにしてしまったことが朝青龍が角界から追い出された真の原因でなければよいのですが・・・・
角界が一生懸命相撲に取組む力士が馬鹿を見る世界であったとしたら悲しむべきことです。
他のどの世界であっても、それは言えます。

投稿者: kameno 日時: 2011年2月 4日 23:08

コメント: 大相撲を統計的に検証

八百長の成功報酬の出所が、問題ですね。
関西では、昔から、野球と並んで、相撲が賭博の対象となっていたと、聞いたことがあります。
賭博の存在がなければ、このような統計数字は出てきません。

投稿者 Tadashi | 2011年2月 9日 07:54

Tadashi さん
統計データは「冷静に」物語っていますね。
それにしても相撲取りに限らず、豊かになり過ぎるとハングリー精神を綺麗さっぱり忘れてしまうようです。

投稿者 kameno | 2011年2月 9日 16:06

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