真実は一つ 解釈はさまざま 尖閣編

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ある事象を捉え、解釈するときには、とかく自分の都合の良い視点でものごとを見がちです。
さらに、国家や報道機関が情報を統制してバイアスをかけた報道を行なった場合、真実を見抜くことはさらに困難となります。

先の沖縄県の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件では、中国国民は概ね下記のような情報ソースにより事件の状況を判断しています。
情報メディアを批判的に読み解いて、その真偽を見抜く力は残念ながら今の中国国民には期待できないでしょう。


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(日本巡逻船钓鱼岛撞我渔船示意图 来源:新華社通信他)

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(来源:搜狐
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「日本船からぶつかった」「日本の俳優が演じている」「倭寇の被害」…中国の反応

沖縄・尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件の状況を撮影したビデオとみられる映像が、5日未明にインターネット上に公開されたことを受けて同日、最高検と海上保安庁が調査に乗り出した。石垣海上保安部(石垣市)が撮影した映像は、海保が編集した数種類のバージョンが存在。その中に、今回流出した計44分間のものとほぼ同じ長さに編集した映像があったことが判明した。映像は検察と海保しか持っていないため、内部流出の可能性が高まった。「犯人」をめぐり、永田町ではさまざまな憶測が飛び交っている。
ビデオ流出問題で、最初に動画が投稿されたサイト「ユーチューブ」への接続は、中国国内では当局により規制されており視聴できないが、すでに別のサイトには転載されており、同国内でも出回ることになりそうだ。

ある中国語動画サイトにもコピーとみられる問題の動画が数本に分けて掲載され、5万回以上も再生されていた。中国語の書き込みでは「波を見れば分かるように、日本船からぶつかってきている」など、映像を素直に見ていないものが多いが、中には「日本の俳優が演じている」「偽物ではないのか」と中国船がぶつける映像が“でっち上げ”だと主張するものも。「明朝の時代からわが国は、倭寇(海賊)の被害を受けてきた」と問題をすり替えるコメントまであった。

中国共産党機関紙の「人民日報」は、日本の報道として、事実関係を伝えるにとどめている。だが、同紙系の「環球時報」は「中国の領土権と漁業権を侵害した日本の不法性は、覆すことができない」などと、やや感情的に述べている。
(2010年11月6日 スポーツ報知)


同じ衝突事件の状況を撮影したビデオを見ても、中国人の中にはこのような見方をするものも多いわけです。


翻って、日本であっても安心はできません。
マスメディアの流す情報が本当に正しいのか、バイアスが掛かっていないのかを真剣に考え、必要な情報を引き出し、適切に取捨選択して活かさなければなりません。

人間っていう生き物は、どうしても正確に事象を捉えることが困難であることを予め知っておく必要があるでしょう。
この記事の一番上にある渦巻き模様の「青」く見える部分と「緑」に見える部分が全く同じ色に見えるということが信じられますか?


世の中に溢れる情報を的確に読み取る力が、特にこの情報化社会では重要であるといえます。


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投稿者: kameno 日時: 2010年11月 5日 08:18

コメント: 真実は一つ 解釈はさまざま 尖閣編

中国政府も、尖閣列島に対する日本の領有権は認めた上で、過去の侵略戦争の賠償で取ったと、国民には説明しているようです。
侵略戦争の賠償をした上で、領有権は主張すべきだと思います。

投稿者 Tadashi | 2010年11月13日 14:10

Tadashi様
二枚舌国家の最たるものですね。
これが本当だとして、それに対し抗議をしない政府もどうかと思います。

投稿者 kameno | 2010年11月14日 10:11

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