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SOTO禅インターナショナルの「塔婆供養で植林支援」には、事業初年度より多くの賛同をいただき、2008年中に実にアカマツの苗木2万5千本相当の支援をいただきました。
左端・ナスカさん、右端・トプシンさん。
看板には塔婆供養で植林支援に賛同いただいた方々のご芳名が記されています
植林が行われた場所は、モンゴルの首都・ウランバートルから北へ向かい、ロシア国境に程近いセレンゲ(Selenge)県Altanbulag郡トジンナルス(Tujiin nars)地域であります。
位置関係を地図で確認してみましょう。
私たちは首都ウランバートルから途中ダルハンで一泊し、現地に到着しました。
(帰路も同様にダルハン泊を挟む行程となっております)
そもそも、モンゴルにおける森林面積は国土の8パーセントであり(1998年・モンゴル自然環境省)、国土面積の8%に過ぎません。
日本の森林面積は約70%(2000年、林野庁)ですから、いかに少ないか、逆に日本がいかに緑豊かがわかります。
さらに、その森林も違法伐採や、違法伐採に伴い引き起こされる人為的な森林火災(焚火やタバコ、故意の放火など)により危機的状況にありました。
特に1985年・89年・92年・96年には大規模な森林大火災が発生しています。
トジンナルス地域では、特に少雨と乾燥という条件が重なってしまった1996年の火災が甚大であり、実に従前の累計火災被害面積の12倍を越える森林(=トジンナルス地域の約70%)が一度に失われてしまいました。
実際に現地ではこのような焼け焦げた木を数え切れないほど見ました。
さらに、樹齢100年を越えるものも、強烈な風により何本も根元よりなぎ倒されてしまっています。
緑=は火災を免れた森林
ピンク=火災および伐採被災地
青=2002年までに段階的に植林されてきたエリア
※この地図は、植林事業が進められている時期の地図であることに留意ください。
モンゴル国政府による植林事業は1973年からスタートし、2002年からは年間2000-2500haの植林を継続的に行うことを目的としています。
写真は2004年に植樹されたエリア。
この年はこれまでで一番定着率が高く順調に育っているエリアです。つまり、5年生の苗木ですね。
大きな事業ですので莫大な費用がかかります。
基幹事業の経費負担はモンゴル国が70%、地方が30%であり、計画通りに進んでいないのが実情のようです。
そこで、この度SOTO禅インターナショナルと協働させていただいているGNCは、現地の森林・動物センターの所長であるジャムスラン氏との関係を深め、2004年よりトジンナルスへの”GNC共存の森づくり”に取り組んでいます。
このように畝を作り、そこに秋に採取したマツボックリから育てた苗木を植えていきます。
2009年には32kgのアカマツの種から200万本の苗木が育てられ植樹されました。
SZIの植林支援はこのうちの一部として位置づけられております。
植林は地元の学生、住民約100人により、1haあたり3,000本の密度で4月下旬から5月中旬にかけて行われました。
活着率は植樹後の雨量などの影響により変わりますが、おおむね70?80%の活着があると成功と見做されるそうです。
しかし、今年は雨が少なく、ざっと見たところそれより若干活着率が低いように見受けられました。
森林・動物センターによって、秋に再び補完植樹が行われる予定です。
GNCモンゴルでは、モンゴル各所で苗木生育技術が研究されています。
この写真はダルハン・ウランバートルの間にある苗木農場。
トジンナルスの森を護る 森林・動物センターの事務所。
1924年に設立され、正職員は3名。
植林のピーク時には学生や地元住民を雇用し、貧困層の生活をサポートする役割も果たしています。
森林動物センターでの歓迎昼食会において感謝状をいただきました。
森林・動物センター長 ジャムスラン(Battumuriin Jamsran)さんは、これまで41年間に亘り森林専門家としてアカマツ、ポプラなど3,000万本の植樹を実践されてきました。
1943年フブスグル県ツェツェルグ村ブルナイン アスガタン川周辺に生まれ、遊牧民の出、9人家族、子供7人、孫6人 1963年セレンゲ県スフバートル市10年制の学校卒業 1968年モスクワ林業技術大学卒業 森林経営専門家 1977年ー1982年 セレンゲ県ツァガーントルゴイ村国立苗床局長 1982年から現在まで森林・動物センター長 森林部門に36年間勤務 (GNCのホームページより抜粋)
一本の木を植えると経文を1,000回唱えるのに等しい良いこととなる。
二本の木を植えると、次の世代にまで良いことが及ぶ
(ジャムスランさんの言葉より)
植林事業がこれからも順調に推移することにより、豊かな緑が次世代に受け継がれていきますことを切に願います。
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