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コピーライトとコピーレフト

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このように、コピーライト(Copyright)として著作権の主張を行うことはよく眼にしますが、このように「コピーライト」 があるのなら、「コピーレフト」という概念もあります。コピーレフトとは何かということについて考えてみます。
まずは一つの例を元に、用語を整理していきましょう。貞昌院では、寺院管理ソフトを「フリーソフト」として提供しています
ただ、「フリー」というと、「(改変や二次配布が)自由」と「無料」の両方の意味があるためにどちらかが明確になっていません。

そのために、英語表記では

「(改変や二次配布が)自由」なソフトウエアは Free Software
「無料」のソフトは free software

というように区別しています。日本語では、このあたりが混同されがちですので、どちらに該当するかを明記する必要がありますし、利用者も利用規定をよく読む必要があります。

簡単な表にまとめてみました。

自由なフリーソフトウエア 無償のフリーソフトウエア 市販ソフトウエア
誰でも無料で使える
自由に再配布できる
ソースコードが公開されている
誰が改良しても自由
開発の中心は、開発コミュニティ
サポートはボランティアが自主的に行う
誰でも無料で使える
再配布は制限されることが多い
ソースコードは非公開
改変も制限されることが多い
開発は作者が行う
サポートも作者が行う
誰でも使えるが、有料
ライセンス料金が決められている
ソースコードは非公開
開発は会社または個人が行う
サポートは有償な分手厚い


貞昌院のサイトで配布している寺院管理ソフトは「無償のフリーソフトウエア」に該当します。
簡単に言うと、「料金が無料で提供された市販ソフト」と考えたほうがわかりやすいでしょう。

さて、芸術を例に取り、生み出してきた作品がその作者にどのように還元されてきたかということを調べると、とても興味深いことがわかります。
モーツァルトやゴッホのように本人に正当な対価が渡らなかった事例も数多くあります。むしろ、その芸術作品を利用した演奏者や、美術商に金銭的な利益がもたらされた事例も稀ではありません。さらに、時代の変化は産業構造の変革をもたらし、レコードやCD、印刷技術の発達は芸術作品を大量に生産することに寄与しました。デジタル技術、インターネット網の普及によって、従来の著作権の考えでは対応できない状況にあります。誰でも自由に作品を生み出し、それを発表する環境がありますし、そして、生み出された作品は簡単にコピーでき、付加価値を付けて改変することもできます。
著作物がどのようなビジネスモデルを形成しているのか、歴史的に体系的に紐解いてみるとおもしろいですね。

さて、自由なフリーソフトウェアが、永続的に自由であるための概念として生み出されたのが「コピーレフト(Copyleft)」です。
copyleft.gif


コピーレフト (copyleft) とは、著作権 (copyright) に対する考え方で、著作権を保持したまま、二次的著作物も含めて、すべての者が著作物の利用・再配布・改変できなければならないという考え方である。1984年にフリーソフトウェア財団を設立したリチャード・ストールマンによって提唱され、初めはソフトウェアに関して用いられたが、その後、ソフトウェア以外の著作物にも適用しようという動きがある(クリエイティブ・コモンズなど)。
(ウィキペディア(Wikipedia)』より引用)

コピーレフトのソフトウエアは、配布にあたって「配布される人にソースコードを自由に取得・変更・再配布する権利を提供せずにプログラムの再配布をしてはいけない」という制約をつけることで、他人の手を経て再配布されてもフリーソフトウェアであり続けることが保証されます。

蛇足ですが、エリック・レイモンドらによって提唱された「オープンソース」という用語がありますが、こちらは「自由」という概念というよりは、むしろのソフトウエア普及における企業戦略のありかたとして提唱されたものです。ソースコードを公開することによって、作者に、あるいは企業にどのようなメリットをもたらすのか、社会にどのような役割を果たすかということを論じた概念です。

 


さて、コピーライトとコピーレフトの対比の事例としてよく取り上げられるのは

■コピーライト・・・Windows や Microsoft Office 
■コピーレフト・・・・Linux や Open Office 

私は個人的に、Word,Excel,Accessなど、Microsoft Officeを常用していましたが、使っているバージョンはOffice2000です。
セキュリティーのパッチは当てていますが、バージョンのアップグレードはしていません。
もちろんMicrosoft Officeはバージョンアップを重ねていて今は2007 Office systemが最新版となっています
1万円ちょっとでアップグレードできるキャンペーンも行っているようですが、全く魅力を感じませんし、アップグレードする気もありません。
機能的に、Office2000で十分なことと、他人とのやり取りでも今のところ不自由は無いからです。
ただ、最新バージョンの Word2007で最新の形式で保存された文書が開けないという問題が最近出てきました。互換性が失われはじめてきたというのは残念です。
 


そんな中、タイミングよく、今月16日にOpen Officeの最新版 Ver3.0,0が公開されました。

20081025-02.jpg
Open Officeは、コピーレフトのGNU LGPLにより自由なフリーソフトウエアとして公開されている Microsoft Officeのライバルソフトですが、今回のバージョンアップで格段に使いやすくなりました。


便利な機能が豊富なのですが、特に便利なものをいくつかご紹介すると、
日本だけでなく世界中で同時進行に開発されていますので、当然に多国語対応となっていること。
表計算に含まれる関数を例とすると、グレゴリオ暦、タイ仏教暦、日本の元号、アラブイスラム暦、ユダヤ暦、中国暦などにも対応していること。
Power Pointよりも高機能なプレゼンテーション作成機能。
PDF作成機能が標準で付いているのでPDF化が楽。
2007 Office systemの最新のファイル形式も扱える
などなど。
 

ほかにもいろいろありますが、自由なフリーソフトウエアですから、まずは使ってみるというのが良いでしょう。
オススメ。
詳細は、OpenOffice.orgをご参照ください



20081025-01.jpg

このような恩恵にあずかることができるのは開発コミュニティの皆さんと、多くのボランティアの皆さんのお陰です。ありがたいことです。

※今回の記事は、 Open Officeを使って書いてみました。

投稿者: kameno 日時: 2008年10月25日 12:29

コメント: コピーライトとコピーレフト

私も工人舎で「Open Office」を使っています。
本家よりも使いやすいと感じました。

詳細な解説と情報、有り難うございます。

投稿者 ゆ?じ@FreeTibet | 2008年10月25日 16:41

ゆ?じさん
今月公開された新バージョンのOpen Officeはなかなかいい感じです。
日常的に使用してみて気づいた点があれば、随時記事にしていきたいと思います。

投稿者 kameno | 2008年10月26日 09:32

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